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マンション三種の神器


 ⒉地球温暖化は大家さんを苦しめる

 

 さてこの手の物理的トラブルは比較的容易に解決可能と書いた。しかしながらトラブルの内容によってはけっこう大事になることもある。テレビが見られないとか、お湯が出ないとかならまだしも、緊急性の高い事例、たとえば突然の大量の漏水や真夏のクーラーの故障などはその最たるもの。まあ戸内の大量の漏水の場合は、各戸のメーターボックス内にある水道の元バルブを閉めれば応急的にはなんとかなる。その後、室内に洩れ出た水は、その程度にもよるけれど、できる限り住人に掃除してもらうとして、後はその故障箇所、たとえばキッチンの水栓(蛇口)の破損や、配管の抜け等、大出血している部分を業者に交換修理してもらえば良い。

 但し、洗濯機については注意すべきことがあるので後から書いてみたいと思うが、ここではまず、より重要なエアコンの故障事例について書いてみたいと思う。

 うちのマンションは、エアコン完備が売りの一つになっている。そうでない賃貸物件(欲しかったら居住者さんで買ってね)もあるけれど、最近は大抵のマンションでエアコン完備が当たり前になりつつある。オートロック、エアコン、バストイレ別、この三つは今や賃貸マンションを選ぶ上で必須条件になってしまった。僕はマンション三種の神器と呼んでいる。きっと他の大家さんもそう思っているはずだ。うちのマンションは、三種の神器のうち、オートロックとエアコンはあるが、残念ながらユニットバスと言う大きな落とし穴があった。この件に関しても後から詳しく愚痴ってみたいと思う。まずはエアコンである。そして当然ながらエアコンには寿命があり、家電の中ではメンテナンスを必要としていて壊れやすい設備の一つだ。

 エアコンの故障はヤバイ。これはよくニュースなどにも挙げられている昨今の自然環境の問題である。真夏に地球温暖化云々で日中の気温が爆上がりすると、特に屋上の照り返しでオーブントースターの中にいるような最上階の部屋は、夜中でも室温が三十度を下回ることがない。高齢者や小さな子供にとって、エアコンが止まったりしたら下手すると即、命に関わる。できるだけ早急に修理や交換が必要だ。

 ところがそんな時期には電気屋も一番の繁忙期であるので、こちらが故障したからと言っても、おいそれとは来てくれないものだ。そこでこう言う時こそ日頃からの義理堅いお付き合いが物を言う。「○○テックさん、えらい忙しい時やと思いますが、何とか……」と、無理を聞いてもらえる。本当に有難いことだ。

 これは僕の持論で申し訳ないが、エアコンに関しては、いや、エアコンに限らず、今の家電全般に同じようなことが言えると思うけれど、普通、簡単な掃除ぐらいはするのだろうが、分厚い説明書をめくってそこに記してあるメンテナンスをきっちりしている人はどれだけいるだろう。説明書を一度も目を通さずに捨ててしまったり、どこかに失くしてしまったり、などと言う人(特に女性の方)もきっと多いはずだ。何もしなければ、十年ぐらいの使用を目処にだいたい壊れる。そして「修理するより安いので」を理由にほとんどが買い替えることになる。ちょうど十年で壊れるように時限自爆装置でも付いているんじゃなかろうかと思う。当然ながらその費用もお安くはないが、まあ無理に修理してもすぐにまた壊れるだろうし、交換する方が電気屋も喜ぶ。それこそ母ではないが「上手しとくねん」である。渡る世間はギブアンドテイクだ。

 さて、肌で感じるお金の話を書いてみる。うちのマンションのエアコンは全部で二十五台もある。十年経った頃から次々に壊れ出すので、仮に交換寿命を十年と設定、交換費用は一台で約七万円と計算すれば25×7で百七十五万円。それを十年ですべて交換するとすれば一年あたり約十七万五千円。つまりエアコンの維持費だけで実際に年十七、八万円は掛かる計算になる。

 そして経年劣化や寿命による故障で、修理ではなくその物を交換しなければならない設備はエアコン以外にもたくさんある。備え付けのガスコンロや水道の蛇口、換気扇など、いろいろあるけれど、おそらく交換したことのある方ならおわかりだろうと思うが、その中で最も値の張る設備は、ずばり〝ガス給湯器〟だ。こいつは住宅必需設備の中で間違いなく王様である。

 玄関横のメーターボックスをパカンと開ければ、その神々しいお姿を目にすることができる。こちらは戸数分必要となるため、うちでは全部で十六機設置されている。その寿命は、中には二十年以上持ってくれる大家思いの大変やさしいやつもいるが、使い方、使用頻度によって、だいたい十年から十五年で天に召される。費用の方は、交換工賃込みで一台約十二、三万円ぐらいだ。こちらも新築から十年経ったあたりから、年に一、二台の割で壊れてくれる。一年当たりの経費にすれば二十万円ぐらいか。高い!

「あの、大家さん、お湯がね、出ないんですけど」を聞くと、うわー来たぁ! とついつい口に出してしまう。過去、二台いっぺんに壊れた時はその費用の工面にとても苦労した。交換お急ぎ度は、エアコンほどではないが冬場なら早急に対応しなければならないだろう。

 風呂やシャワーはもちろん、食器洗いもままならない。しかし給湯器はそうそう壊れるものでもないし、エアコンみたいに超集中する時期もないので、業者はほぼいつでも対応してくれる。と言うよりも値の張る物なので、電話するとホイホイやって来る。

                                       続く


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