1.はじまり
―願い―
ささやかな願い。
希望に溢れた願い。
他者を想う願い。
たくさんの
光に溢れた願い。
あなたは、
願いが叶うなら
なにを願いますか?
---
ある静まり返った真夜中。
ザクザクと、深く積もった雪の中を
頬を真っ赤に染めて、白い息を吐きながら
自分の古屋へと帰るために、歩いている少年が1人。
ふと、見上げれば、
宝石を散りばめたように、
小さな星がたくさん輝いている。
すると、
キラキラと輝いていた星々が、
どんどん下へと落ちるように流れてくる。
流星群。
空が一面、流れ星で埋まっていく。
少年は、初めて見る光景に、
驚きと胸の高鳴りを感じた。
手を伸ばせば取れるのではないか。
そう思い、指先まで冷えて赤く染まった両手を空へと伸ばす。
小さな流れ星が一つ。
少年の両手へと、
ゆっくりとゆっくりと
温かな光が落ちてくる。
少年は、光を両手に閉じ込める。
腕を下ろし、
そっと光を発する正体を見ようと、
ゆっくりと両手を開く。
輝いてた光は落ち着き、
キラキラと光る
小さなガラスのような石が一つ。
他にもないかな、と
辺りを見回してみるが、
この雪では、落ちていたとしても
見つけるのは困難。
大事に大事に両手に包んだまま、
転ばないよう、足元に気をつけながら、
急ぎ帰る。
これを見せよう。
幼馴染に見せてみよう。
どんな顔をするのだろうか。
きっと、綺麗だと
笑顔になるはずだ。
幼馴染の笑顔を想像しながら、
早く明日にならないかと
心躍らせる。