第六話【大好きな二人との再会】
ベンチに座っていると懐かしい声が聞こえてきた。
――志穂ちゃん!!!!
ずっとずっと会いたかった二人だ。
祖父も元気そう。祖母も昔のように優しい笑顔だ。
昔の私の大好きな二人のままだ!!
懐かしくて嬉しくて涙が止まらなかった。
――志穂ちゃん、久しぶりだね!!
転生の儀式、お疲れ様。
車に轢かれて痛かったでしょう。大丈夫かい?
「お婆ちゃん、久しぶり。大丈夫だよ。
お風呂に入って辛さも痛みもなくなったよ!」
――そうかい、良かったよ。
生前は心配をかけて本当にごめんねぇ。
せっかく初めてお婆ちゃんに作ってくれたご飯も食べてやることが
出来なくて本当に申し訳なかった。
この世でじいさんと再会した時、めちゃくちゃ怒られたんだ。
ワシの大切な孫に心配をかけて、孫が初めて作ってくれた料理も食べないで
何をしとるんじゃ!ってね。
~当たり前だ。
お爺ちゃん、志穂の作った料理を食べるのがずっと夢だったんだ。
でも癌になって夢は叶わなかった。
だからお婆ちゃんにその夢を託したんだ。
でもお婆ちゃんは心を閉ざして
せっかくお爺ちゃんの夢だった志穂の料理を食べられるのに
それをしなかったお婆ちゃんに腹が立ったんだ。
「仲の良い二人しか見たことが無かったから驚いた。
喧嘩することもあったんだね」
~いや、生きていた頃は喧嘩などしたことは無かったよ。
志穂の料理があまりに美味しそうで
でもそれを食べないお婆ちゃんを見て初めて喧嘩したよ。
「なんか恥ずかしいなぁ。でも嬉しいよ。
あの時、まだ他にもお婆ちゃんのために自分が出来ることは
あったんじゃないかって後悔してたんだ。
二人のその気持ちだけで私の後悔の気持ちは無くなった。
救われたよ、ありがとう!」
~優しい子に育って本当に良かった。
志穂はいつまでも儂らの大切な自慢の孫だぞ。
転生後もお爺ちゃんとお婆ちゃんは上から見守ってるからな!
あの時はめちゃくちゃ志穂のことを怒ってごめんなぁ。
怖かっただろう?
「気にしないでよ。
確かに怖かったけど、二人の教えのおかげで正しい道を歩めたし
反抗期もなく、いつも仲良し家族で居られたんだよ。
だから謝らないで。
あの時、私のために怒ってくれて本当にありがとう。
二人の事は絶対にこれからも忘れないからね。
転生して二度目の人生を全うしたらまた再会しようね」
――その日を楽しみに待ってるわね!
こうして大好きな二人との再会の時間は終わった。