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転生した私の飼い主は大嫌いなアイツだった!?  作者: 雪村まりあ
第一章【早すぎる死、そして転生。】
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第五話【祖父母】

――お話、終わられましたか。

転生の儀式はこれで終わりです。最後に親族の方に会ってもらいます。

これは儀式ではなく、あなたのおじい様とおばあ様の願いです。


あなたが亡くなって天国に来てもすぐに転生すると神様から聞いた

おじい様とおばあ様が

転生の全ての儀式が終わってからで良いので孫に会わせてくれと

お願いしたのです。


幸いにも神様はすぐにお許しをくれて会うことが出来るのです。


本来ならば、この世で親族に会ってはいけないというルールがございます。

最初は今回のように親族と会うことは許されていました。

しかし、神様によって転生すると定められているのにも関わらず

親族との時間が楽しくてやっぱり転生を辞めますという方が続出したのです。


神様は優しい方々ばかりなので最初は許していましたが、あまりに

続出するので、親族に会うのは禁止するということに決まったのです。

この世にいる親族の人々は、やはり反発をしました。

子供に、孫に会わせてくれと沢山の方が神様に訴えていました。


しかし、神様は心を鬼にして

決してそれを許すことはありませんでした。


若くて転生後も幸せに暮らせる可能性があるにも関わらず

この世にいる親族と会うことによってそれも叶わなくなるなんて

可哀想だと神様は判断されたのです。


しかし、あなたはしっかりと自分の意思を持っていて

おじい様とおばあ様も決して転生の邪魔はしないと約束されていました。

あなたと同じで優しく、正しい方々だと神様は判断をして

お会いする事を特別にお許しになられたのだと思います。


素敵なご家族の元にお生まれになりましたね。


またお迎えに上がりますので

それまでの間、ご家族としばし幸せな一時をお過ごしください。

では、また後ほど。



私に対しての神様の信頼が凄すぎない?

でもそのおかげで祖父母に会えるのは本当に嬉しい。


私は祖父母が大好きだった。

いつも優しくて暖かくて笑顔を絶やさない人達だった。

家に遊びに行くといつも凄く嬉しそうな顔をして迎え入れてくれた。

自分の家よりも祖父母の家の方が落ち着ける場所だった。


そんな優しい祖父母だったが、礼儀にはとても厳しい人達だった。

一度、学校の先生に反抗した時に

両親が祖父母に話したらしく、祖父母の家に行って

めちゃくちゃ怒られた。


優しい祖父母しか見たことが無かったので、それはもう本当に怖くて

もう怒られたくないと思った私は、それからはしっかり

周りの言うことを聞くようになった。


そのおかげで私に反抗期は訪れなかった。

だからその時が最初で最後、祖父母に唯一、怒られた時だった。

それからはいつもの優しい祖父母に戻った。


しかし、数年前。


祖父が病に倒れた。癌だった。

体調はあまり良くなかったが、祖母に心配かけたくないからと

ずっと我慢していたらしい。


その判断が良くなかった。

もう既に末期で治療法もない状態だった。


祖父は治療を諦めて、最後にと二人は久しぶりに旅行に出掛けた。



久しぶりの二人きりでの旅行はとても楽しかったらしく

沢山のお土産を嬉しそうに持って帰ってきていた。

その一か月後、安らかな表情のまま、祖父はあの世へ旅立った。


そして最愛の夫を亡くした祖母は日に日に弱っていった。

食事も喉を通らなくなっていると聞いた私は

心配になり、頻繁に祖母の様子を見に行っていた。


しかし、どれだけ励ましても聞いてはくれない。

孫の初めて作った料理なら食べてくれるかなと思った私は

手料理を振舞ったが、それすらも食べてくれなかった。


それからも何も口にせず、祖父の遺骨を抱えて泣くばかりだった祖母は

祖父が亡くなってから一か月後、後を追うようにあの世へ旅立った。


凄く悲しかった。


祖父は助ける事が出来なかったとしても

祖母に関してはもっと私に出来ることはあったんじゃないかと

後悔しかなかった。


そんな二人が私に会いたいと言ってくれている。

神様にお願いをしてくれた。

その事実が私は何よりも嬉しかった。




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