第5話 家探し
読んでいただきありがとうございます
意気込んで豚がじゃなかったガンジが出てきた建物を漁っているがあんまりいいものがないな。これははずれか?
「グレッド様、こっちに箱がありました」
お?アルトが何か見つけたっぽい
なんだこれ?小さい宝箱って感じか鍵はかかってないけど開かないな
「どうしたの?」
エルーナが覗き込むと面白いものでも見つけたのかうれしそうな顔をした
「それエルフの小箱よ?」
なにそれ?
「純真な心を持つものだけが開けることができる小箱で開けれた人が一番必要なものが入ってるんだって」
へー。そんなものあるんだ。でも俺、今なにも必要なものないしな・・・
「とりあえず持っておいたら?ま、あんたみたいな欲望の塊みたいなやつには開けれないと思うけどね」
はいはい。どうせ俺の心は真っ黒ですよーっと
「なら、これはアルトにやるよ」
「え?僕ですか?」
「ああ。いつも世話になってるからな。主からの褒美として受け取っておけ」
首を振り遠慮するアルトに無理やり押し付けてやる。困るアルトも面白いな
さてさて他になにかないかなーっと。ん?ここの床下なんか浮いてるぞ
「エルーナここ壊せるか?」
「え?なにかあるの?」
「ああ。なんか床下にありそうなんだ」
「うん。ならやってみるね」
エルーナがエアーカッターを床下に向けて放つ
なんか毛皮がいい感じにめくれてエルーナの秘境がみえちゃった・・・
「・・・今、見た?」
「見てない」
「見たでしょ。今なら正直に言えば許すわよ」
出た!言っても許さない必殺ワード!
これは正直に言っても言わなくても許されない恐ろしい誘いの罠だ
というわけでここは逃げの一手に限る
「あ、なんか床下にあるな。なんだこれ」
「・・・あんた誤魔化したわね」
はいはい。みんな注目ー。くっそ重いなこれ
「鉄の宝箱?」
「みたいですね」
エルーナの疑問にアルトが答える。さてこいつは南京錠がかかってるがこんなものは
ガスバーナーでちょちょいっと・・・ほい開いた
「さてさて何が入っているかな」
「あんた今、相当悪い顔してるわよ」
「グレッド様、決して社交界ではその顔は駄目ですよ」
もう二人ともうるさいな。さてさて御開帳~
ん?なんだこれ。手紙?あ、金貨の袋に宝石の入った袋も入ってるか。結構当たりじゃないか?
「へー。しっかりため込んでたのね」
エルーナが横からのぞき込むので金貨の袋を投げてやる
「え?なによこれ」
「分け前」
「いらないわよ」
「お前の森に帰るのにどれだけ時間がかかるんだ?」
「ここからだとどうだろう。ひと月はかかるわね」
「なら、金は要るだろう?」
「うーん・・・そうね
いつまでもこんな毛皮でいたくないし国境渡ればエルフに差別意識が少ない国に入るからそこで買い物もできるか。じゃあ、ありがたくもらっておくわね」
「ああ、もらっとけ」
へー。たしかクルタイ王国だっけ?差別が少ないっていいよね
とりあえず俺もいつか行ってみるかな
「ん?アルトどうした?」
やたら難しい顔で手紙をにらんでるしどうしたよ
「読んでみてください」
なになに。アルバイン男爵の嫡男を拉致し殺せって書いてあるね。命令書かこれ?
差出人は、あー・・・コアネル=アルバインって書いてあるね。あの女の仕業か
ちょっとまてよ。これが命令書ってことはこいつらって・・・
「気づかれましたか?」
「まあな。ここがアルバインの砦ってことだろ?」
アルトが頷く
「連れ去られるときに荷馬車の動きで距離を測ってましたがこの洞窟につくまで約10日は経っています」
そういやぁ長いことずた袋に入れられて運ばれたような気がするわ
「ふむ。エルーナさっきここからならって言ってたな。ここがどこかわかるのか?」
「ええ。ここはダボル領よ。さっき殺した奴らが前に言ってたことがあるから間違いないと思う」
まじか・・・。俺の国はエアネール王国って言うんだがそのお隣がトイシムル王国
ダボル領はそのトイシムル王国に属する領土でうちのガドー辺境伯と領土が引っ付いていたはず。うちのアルバイン?アルバインはエアネールの王都よりの領土だからここからはかなり距離があるね
「ってことはうちはここで工作か何かしてたのか?」
「うーん・・・手紙やら宝石を見る限りが野盗に扮して街道を荒らしながら金稼ぎってところですか」
あらら。ってことは俺は自分の配下を一人やっちゃったわけね。ガンジ、君のことは忘れない。
多分明日には忘れるけど。
「うーん・・・手下どもは俺のことは全く知らなかったようだしどういうことだ?」
「多分、現地で集めた表では生きていけないような奴らを集めてここに砦を築いたんでしょう」
的確な情報をありがとう。アルト、ほんと君って頼りになるね。
「しかし親父が人攫いやら野盗やらを指示してたなんてちょっとショックだな」
「そればかりではなさそうですよ」
「ん?どういうことだ?」
アルトが一通の手紙に目を通し渡してくる
読んでみると同じ命令書でも差出人が違うな。ダビー子爵?
「現アルバイン夫人のご実家ですよ」
ああ。ってことはここはアルバインというよりダビー子爵の子飼いか。だからガンジの奴も俺に対して名前すら知らなかったのね。なーんだ。ちょっと罪の意識を感じて損したわ
「あなたの実家ってよくわからないわね」
話を聞いていたエルーナは両手をあげて肩をすくめている
うん。俺もよくわからん。というか貴族の社会ってそんなもんじゃないか?
「まあ、とりあえずここからさっさと出ようぜ。アルトはその手紙を・・・言われなくてもちゃんと保管してくれてるね」
アルトがしっかり袋に詰めてるのを確認したしここにある装備の中で手ごろなのを見繕ってっと俺とアルトは片手剣、エルーナは弓か
しっかりと皮ベルトも拝借して・・・
なんか体形に合わせて絞ったらタスキみたいになったけど仕方ないよね。皮ベルトに差し込んでこれでよしっと。子供用装備がないところが残念だけど仕方がない
エルーナを見ればぼろきれを頭にかぶってフード風にして毛皮のマントで身を包み皮ベルトで抑えるように着こなしている
「なによ・・・。じろじろ見ないでよ」
なんだ?急にエルーナがもじもじしだしたぞ
「トイレなら外でしろよ」
「うるさい!」
顔を赤らめてもじもじするもんだから突っ込んだら殴られた。理不尽だ・・・
あとは食料だけどすでに袋にアルトが詰めていた。さすがだね。エルーナもちゃっかり便乗するあたり旅慣れしてる感じがするな
「よし。あらかた終わったしここからおさらばしますか」
頷く二人を見て俺たちは砦を後にした
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