第4話 強敵
読んでいただきありがとうございます
さて、今までをとりあえず振り返ってみようと思う
難易度ハードがどうしても引っ掛かるんだ。今までの相手は全て簡単に行き過ぎた
もしここが俺の予想通りなら今、目の前に立つ豚はおそらくここの主だろう
実際、俺たちが子供ってのもあるが手下たちが火炎放射器で燃やされてもビビるどころかいきり立ってやがる
これは相当な覚悟がいるか？
「貴様らは生かして売る予定だったがここまでやられちゃ俺の面目もたちゃしねえ。ぶち殺してやる」
「届け風よ！ウインドカッター！」
「ふん！こざかしい！」
エルーナがひそかに呟いて準備してたのは知ってた
奇襲したのもあるがあのおっさんの首を簡単にとばしたエルーナの魔法を目の前の豚は手で風を受け止めたぞ
風で毛皮がたなびき演出としてはかっこいいがその中心にいるのが豚じゃな
「貴様、さっきから豚、豚うるさいわ！俺は巨漢のガンジって呼ばれてるんだ！」
あ、やべ。声にでてた。
「ふん！手始めにそいつから殺してやるか」
これ、やばいやつ！
「グレッド様！何を！？」
俺は全力でアルトにタックルを決めると俺の頭すれすれを何かが掠めていった
うわぁ。ヒヤッとした！もうジェットコースターのヒヤッと感、半端ねえっす
「あぶねえな！この豚！」
「だから！俺はガンジだ！」
もう一発かよ！アルトを抱えてそのまま転がるとさっきまでいた場所に大きな剣が突き刺さっていた。俺の身長の倍以上ないかあれ？
「むふふ。驚いたか。これが俺様の大剣よ。今更謝っても許さんが泣いて媚びれば一思いに殺してやるぞ？」
「誰が謝るか！くらえ！」
火炎放射発射！俺の人差し指から凄まじい勢いで火を噴いたが豚は手を差し出しじっと耐えている
やっぱり何かあるな
「エルーナ横から魔法を食らわせ！」
「わ、わかった！」
エルーナは呟くとエアーカッターを豚の側面めがけて飛ばす
「ちっ！」
豚は瞬時にマントを翻すとその巨漢に見合わない素早い身のこなしで下がる
やっぱりな。あの手にはめてる小手に何か秘密がありそうだ
「小賢しい小僧だ！」
あぶね！間一髪！横に転がるとさっきまで立っていたところに片手で大剣を突いて突っ込んできた豚がいた。そのメタボ腹でよくそんだけ素早く動けるもんだ
「ちっ！これもよけるかよ！」
またかよ！そのまま横に転がると次々に大剣をめちゃくちゃ早い速度で振り下ろしてくる
「グレッド様！」
アルトが豚の腕にしがみつく。ナイス判断！
「食らいやがれ！」
溶鉄するようなイメージで指先からガスバーナーもどきを細めて豚の眉間めがけて飛ばす
「小賢しい！」
豚が慌ててアルトを盾にしようとしたところで横からエルーナが風を飛ばす
「ぐあ・・・」
風に注意が向き避けるのが遅れた豚の眉間をガスバーナーもどきが見事命中し頭を貫く
動きをとめ前のめりに倒れる豚いやガンジか
「はあ・・・疲れた」
「やりましたね！さすがグレッド様です」
「ふん！あんたにしては上出来ね！」
エルーナとアルトが褒めてくれてようやく勝ったという実感が湧いたよ
はぁ。ハードモードなかなかだな。
さてと親玉を倒したからにはもう他には強敵はここにはいないだろう
「あんた何してるのよ」
喜ぶエルーナとアルトを他所に俺はガンジの手から小手を外すとじっとこいつを観察する
「それ、魔法を弾いていたわよね。多分、そういう魔道具じゃないかしら」
「魔道具？」
「人が作れる魔道具とダンジョンの宝箱とかからでる魔道具とかあるんだけど知らない？」
はい！まったく知りません！ということでエルーナ先生教えてください
エルーナは小さく溜息を吐くと仕方がないわねとその小さな・・・ごめんなさい
胸を張って説明してくれる
「ようは魔法の力を閉じ込めた道具ね。魔力を通すとその効果を発揮するのよ。人が刻む魔道具職人が作る魔道具とダンジョンの宝箱からでる魔道具があるんだけどダンジョンから出るものは高性能の物が多いからその小手はどっちのかしら？」
「そこまではわからのか？」
「鑑定スキルを持ってれば作成者までわかるからダンジョン産かどうかわかるけど今の段階ではわからないわね」
ふーむ。ま、どっちでもいいか。呪われてなければ
とりあえず手に通そうとしたらこれがもうくっさいの
昔、剣道の授業ではめようとした小手を10倍ぐらい臭くした感じっていったらわかる？
ためしにエルーナの鼻に近づけたらぶん殴られた
涙目で次やったら殺すって・・・ごめんって・・・
チラッとアルトをみたらすでにアルトはすました顔で距離を取っていた。ほんと君やるね
さてさてガンジの使ってた大剣も気になるけど無茶苦茶重いからこれはパス
足の装備はいらないね。あとはマントだけど。こいつも魔道具かな？
わからんけどエルーナのぼろきれよりは良さそうだから剥いでエルーナに放る
嫌な顔をされたが意図がわかったのか体を隠すように羽織った。マントはそれほどくさいくないっぽい。よかったね
さて、とりあえず死体漁りはこれくらいでいいか。
「あんたどこ行くのよ」
どこにいくかって？そりゃ決まってるでしょ
「家探しだよ」
いよいよ本命を漁りに行きますかね
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