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聖徒会 (番外編) 希の子育て

作者: 麻生弘樹

蓮と希の住んでいる部屋から大きな泣き声がする。

「よしよし。

どうしました蓮君?」

と希はお母さんの様に泣いている蓮に近寄った。

希は赤ちゃんの様に小さくなっている蓮を抱っこしてあげる。

「また怖い夢を見たんですね?

大丈夫ですよ。」

希は慣れているのか蓮を上手にあやす。

やがて蓮は泣き止み、きゃっきゃっと笑った。

それを見て安堵の溜息をつく希。

再び蓮をベッドに寝かせて優しくとんとんをしてあげる。

蓮は再び眠りについた。

「安心して眠ってください。

私が側にいますからね。」

と、蓮に微笑んだ。


時は遡る事、一週間前。

蓮達四人は魔物の気配を察知し、現場へ向かった。

現場にいたのは猫の姿をした魔物だった。

「今回は猫の魔物みたいだね。」

「猫?

なんか可愛いな......。」

「蓮。

見た目に騙されるな。」

「倒してしまうのは可哀想な気もしますが......。」

「来るぞ!」

次の瞬間、猫が四人目掛けて飛び掛かってきた。

それをかわす四人。

「はあっ!」

仁が光の光線を放つ。

猫は素早さを活かしその光線をかわした。

「すばしっこいね......。」

「俺の氷で奴を足止めする。

その間に倒すぞ!」

敬介は氷を放った。

そして見事、猫の動きを封じる事に成功した。

「よし、今の内にトドメを!」

敬介が氷の剣を召喚させ動きを封じられている猫に近付いて行く。

そして剣を振り上げ......

その時。

猫は怯えた表情を見せた。

「待って!」

そこで蓮が敬介を止める。

「どうした?」

「今回は......、見逃してあげようよ?」

「何?

お前、何を言って......。」

「いくらなんでも、こんなに怯えているんだし、可哀想だよ。」

「......。」

「みんなにもお願いだ。」

蓮はみんなにお願いした。

「そうですね......、さすがに可哀想に思えてきました。」

「そうだね、今回は見逃してあげよう。

氷神君。」

敬介は不満そうだったが、小さく頷いた。

「分かった。

蓮、お前の好きにしろ。」

「ありがとう、みんな。」

と、蓮は猫の足についている氷を炎の能力で溶かしてあげた。

「さあ、元の世界に帰りな。」

と、頭を撫でようとした次の瞬間、

猫が蓮に向けて口から煙を吐いた。

「うっ!?」

その場に倒れる蓮。

「蓮!?」

「神島君!!」

「蓮君!!」

蓮の元へと駆け寄る三人。

猫は皆んなを威嚇するとその場から逃げていった。


その後、意識を失ったままの蓮を何とか連れて帰り、様子を見る事になった。

三人はしばらく様子を見ていたが疲れていたのか気付くと寝ていた。


何やら大きな音がする......。

いや、赤ちゃんの泣き声だ。

はっ!と三人は目を覚ました。

そして三人の目の前には信じられない蓮の姿があった。

何と赤ちゃんになっていたのだ。

「!!?」

「これは.....、どう言う事だ?」

「蓮君......?」

赤ちゃんの姿になってしまった蓮は大きな声をあげて泣いていた。

すると仁は今までの記憶を思い出した。

「まさか、あの猫の煙を浴びたから!?」

「何!?」

「そんな.....!?」

そんな三人にはお構いなしに蓮はひたすら泣いていた。

「とにかく今は泣き止ませないと!!」

「いきなりそんな事言われてもな.....!」

勿論、三人に赤ちゃんのお世話をしたことなど無い。

しかし、希は

「ほらほら、蓮君。

大丈夫ですよ?」

と、なんと蓮を抱っこしお母さんの如くあやした。

「女神君......?」

「女神......、お前!?」

するとあんなに泣いていた蓮が段々と泣き止んだ。

しまいには嬉しそうに笑っていた。

「さあ、もう大丈夫ですよ。

おねんねしましょうね?」

と、蓮を寝かせた。

そんな希は少し照れ臭そうに笑った。

「実は......、蓮君と私の子供が出来た時に慌てないよう少しですけど赤ちゃんについて勉強していたんです。」

「!?」

「赤ちゃん!?」

敬介と仁は呆然としていた。

希は顔を赤面させた。

「将来は蓮君と大切な家族を作りたいなと、思ってます。」


その後、一先ず敬介と仁は帰ることになった。

しかし、二人とも依然として、呆然としたままだった。


翌日、希は蓮を抱っこしてデパートへとある物を買いに行った。

目指すは赤ちゃん用品売り場。

希は事前に調べた知識を元にミルクにオムツ、玩具に更にはベビーカーまで購入した。

早速、そのベビーカーに蓮を乗せた。


「楽しいですか?

蓮君。」

蓮は買ってもらった玩具で遊びながら笑っていた。

それを見て希も笑う。

すると、

「女神さん!」

と声のした方を見ると......

「カヨちゃん!カヤちゃん!」

と、以前知り合った双子の能力者であるカヨとカヤがいた。

「お久しぶりです。」

「本当にお久しぶりです!」

「お久しぶりです!」

二人は笑顔で挨拶をかわす。

「えーと、希さん?

この子は......?」

「赤ちゃん......?」

双子が赤ちゃんの存在に気付く。

「はい。

蓮君です。」

「......え?」

「......へ?」

双子の頭の上に?マークが浮かんだ。


「この子が神島さん!?」

「な、なななんで赤ちゃんに.....!?」

二人は困惑していた。

実はと、希がこれまでの経緯を話した。

「そうだったんですか......。」

「人を赤ちゃんにする力を持つ魔物.....。」

二人はただ驚くだけだった。

「それで私が子育てのつもりで蓮君のお世話をしているんです。」

「......凄いです......!!」

双子は蓮の顔を覗き込んだ。

「確かに、神島さんの面影があります。」

「神島さんにそっくりです。」

すると蓮は双子に向かって手を伸ばす。

双子は手を握ってあげる。

「それにしても......、か、可愛いです!!」

「あの、抱っこさせていただいてもいいですか!?」

「勿論。

いいですよ。」

まず最初にカヨが蓮を抱っこする。

「可愛い〜〜〜!!!」

カヨは蓮にメロメロだった。

次にカヤが蓮を抱っこする。

「はあ〜!!」

カヤもメロメロ状態だった。

そんな双子を見て希は微笑む。

その後も双子は蓮の相手をしていた。

一緒に絵本を読んだり、お菓子を食べたりと双子はとても嬉しそうだった。

更には

「はい。

 神島さん、あーん!」

と、離乳食をカヨとカヤがスプーンで蓮の口に運んであげたりした。

蓮は嬉しそうに笑う。

「はわわ〜!!」

カヨとカヤは目をハートにさせていた。

それを見ていた希もにこやかに微笑む。


その後、双子と別れた希は家へと戻った。

蓮をベッドの上に寝かせ、希は夕飯の準備を始めた。


「はい。

蓮君、ご飯ですよ〜。」

赤ちゃん用の食器におかずを乗せて蓮の元へと運ぶ。

「では、頂きます。」

希はスプーンでおかずをすくい、蓮の口へ運ぶ。

「はい、あーん。」

蓮は口を開けてご飯を食べた。

「ふふ、美味しいですか?」

美味しそうにご飯を食べる蓮を見て希は笑う。

しかし、すぐに顔を曇らせた。

「蓮君......、どうしてこんな事に......!」

今の希の前にいるのは確かに蓮だ。

しかし、今の蓮は赤ちゃんの姿になってしまっている。

もうこのまま蓮が元の姿に戻らないとしたら......。

希は辛そうな表情を見せた。

すると

「ん?」

見ると蓮が希の頭を撫でていた。

「蓮君......!!」

その蓮の行動に希は元気を取り戻した。

蓮は希の大切なパートナー。

何としても蓮を元の姿に戻す。

希はそう誓った。


その夜、希は蓮の隣に寝ながら蓮の身体をさすってあげた。

そのまま眠り込む二人。

まるでそれは本当の親子のようだった。


後日、希は敬介と仁に呼び出されていた。

以前相手にした猫の魔物が再び現れたという。

「神島君を元に戻すチャンスだ!」

希は蓮と一緒に二人の元へ急いだ。


指定された場所は向かった希は敬介と仁と合流した。

「この付近で例の魔物の反応があったんだ。」

「何としてもあいつを倒さないとな。」

と、敬介は蓮を見た。

「......ダメだ.....。

調子が狂う......。」

「......早く、神島君を元の姿に戻してあげないとね......。」

その時、鳴き声とともに例の猫の魔物が姿を現した。

「現れたか。」

「蓮君!

ここで良い子にしていてくださいね?」

と、希は蓮を置く。

「みんな!

素早く片付けて、神島君を助けよう!」

「ああ!」

「はい!」

三人は魔物を囲むようにし、攻撃を放つ。

魔物はその攻撃を素早くかわした。

「相変わらず素早いね......!」

「ならこれでどうだ!」

敬介が氷の波動を放つ。

しかしその攻撃も魔物は回避した。

「こいつ、前よりもスピードが上がっている!?」

「一体どうすれば......?」

その時、突如蓮の泣き声が辺り一面に響いた。

「蓮君!?」

その声に反応した魔物は蓮に目掛けて飛び掛かった。

「神島君!!」

「蓮!!」

「危ないっ!!」

希は蓮を抱き上げ魔物の攻撃を紙一重でかわした。

「危なかった......!!」

希は泣いている蓮をあやす。

「大丈夫ですよ!

蓮君は私が守ります!!」

そして蓮に微笑む。

その微笑みを見て蓮は笑った。

魔物は希を威嚇し、再び飛び掛かった。

「はあっ!!」

希は両手から風の波動を放ち、魔物を吹き飛ばした。

「今だ!

氷神君!!」

「ああ!!」

敬介と仁は同時に氷のつららと光の光線を放つ。

その攻撃を受けた猫は叫び声と共に消滅した。


「何とか倒せたみたいだね。」

「一件落着か。」

敬介と仁は安堵の息をつく。

その時、蓮に異変が。

蓮の姿が赤ちゃんからどんどん大きくなっていく。

そして......。

蓮は元の姿へと戻った。

「蓮君!!」

「神島君!!」

「そうか、魔物を倒したから......!!」

元の姿に戻った蓮は何が起きてるのか分からなかった。

「あれ?

俺は一体.....。」

「蓮君!!」

蓮は希を見る。

希は目に涙を浮かべて今にも泣きそうだった。

「希?

どうして......」

とそこまで言った瞬間、希は大声で泣きながら蓮に抱きついた。

「!?」

「良かったです......!!

本当に!!」

蓮はよく分からなかったがとりあえず希の頭を撫でてあげる。

敬介と仁はそんな二人を見てふと微笑んだ。


その後、家にて蓮は希からこれまでの経緯を教えてもらった。

「まさか......、俺が赤ちゃんになるなんて......!!」

「私達も本当に驚きました。」

「それで希が面倒見ててくれてたんだね......。

何か色々とごめんな。

世話かけたね......。」

「いいえ。

赤ちゃん姿の蓮君、とっても可愛かったですよ?」

希はそう言いながら微笑む。

蓮はただ赤面するばかりだった。

すると希があるものを見せてくれた。

それを見た蓮は

「......!?」

それは希がスマフォで赤ちゃん姿の蓮を撮影したものだった。

寝ている時、ご飯、ベビーカーに乗っている時、カヨとカヤと一緒に遊んでいる時。

「あ......、俺あの姿でカヨちゃんとカヤちゃんに会ったんだね......。」

「二人とも、とても蓮君の事可愛がってくれてましたよ?」

「.......そうなんだ。」

蓮は顔を赤面させた。

しかし次の写真を見た時、蓮はこれまで以上に恥ずかしくなった。

その写真は何と蓮が希と一緒にお風呂に入ってる瞬間を撮ったものだった。

「......!!!」

消えてしまいたい。

蓮はただそう思った。


「それにしても、何で写真撮ってたの......?」

蓮は聞いた。

それに対して希はただ一言。

「とても可愛かったからですよ?」

希は笑顔だった。

「赤ちゃん姿の蓮君、本当に可愛かったです。

こんな事、普段じゃありませんし。」

「......。」

蓮はただ俯くだけだった。

「でも......、本当は不安でした。

蓮君が元の姿に戻らなかったらどうしようって......。」

「え?」

蓮は顔をあげる。

「だから、本当に良かったです......!!」

「希......。」

すると蓮は

「俺、赤ちゃんの時の記憶は全然覚えていないけど、これだけは覚えてるんだ。

希が俺の事守ってくれた事だけは。」

「連君......。」

「ありがとう。

希。」

希は嬉しそうに頷いた。

そして二人はお互いに笑い合った。


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