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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレ編
9/92

9.七瀬は優しさで出来ていた。


「じゃあまたな、綾希」


「また」


 大した話をしてなかったけど、気付けば夕方になっててその時点で解散。七瀬は「送るか?」なんてことを言うかと思ってたけど、言ってこなかった。


 そういう関係じゃないから断られるのがオチ。たぶんそれが見えていたんだと思う。当たってたけど。つくづく面倒すぎる女。これは自覚済み。やはりダークな部分は直ってない。


 もっと柔らかく優しく話すべきなんだろうけど、好きが芽生えたらたぶん、そうなるはず。


「おはよ、おやすみ」


「っておい! 早えな。ま、邪魔はしない」


「ありがと」


 翌朝、教室に入ってすぐにやることと言えば寝ること。お隣さんの七瀬は、だいぶわたしのことが分かって来たらしい。


「……って、あ!」


「お? 目覚めがいいな」


「じゃなくて、なんか課題出てた気がする。七瀬は、やってる……わけないか。忘れていいから。んー誰かに借りるしか」


「課題って昨日の奴だろ」


 あぁ、しまったなぁ。寝すぎてやってなかった。こういうときに、仲がいい友達がいないのが辛い。自分から積極的に話すタイプじゃないし、いきなりは変われないから困る。


「って、聞いてた?」


「え、何が?」


「貸すから」


 やってきてないこと前提で、周りを見渡しながら悩んでいたら、目の前にノートを差し出されていた。意外過ぎて、言葉が出なかった。


「でも、すぐ提出だしいいよ」


「名前を綾希に変えて出せばいい」


「そしたら七瀬が怒られるし」


「気にしない」


 借りるかどうかは別にして、中身を見たら字がわたしより綺麗で、きちんとしてた。やばい、真面目だ。


「字、ヤバイね」


「悪ぃ、読みづらいか?」


「や、じゃなくて、綺麗過ぎてひく。ウソ、ちょっと意外すぎて驚いた」


「そ、そか。サンキュな」


 ……で、結局七瀬に甘えた。昼前に彼が先生に呼ばれていた。罪深すぎる。そう思って正直に言おうとして、先生の所に近付こうとしたら、七瀬は片目を閉じながら「いいって」なんてことを口にしてた。


 今度こそ、奢ろう。今日、誘って奢る。そしたら、少しは罪が薄れるかもしれない。

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