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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
恋敵クライマックス編

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89/92

89.七瀬のお話


「たすく、他の学校に行っても会えるよね?」


「んーいや、どうだろうな。ってか、俺とは別れてんだし、俺じゃなくて奴と上手くやれよ?」


「それはそうだけど~あ! じゃあさ、遊び行っていい? いいよね?」


「赤点取らなくなったら来ていい。お前、勉強サボんなよ? じゃ、俺行くから。じゃあな、珠洲菜すずな


「むー! 絶対行くし!」


「はいはい」


 俺、七瀬輔ななせたすくは、今まで通ってた学校から他校に編入することになった。勉強を頑張りたい自分としては、進学に積極的な学校に移った方がいいと思った。


 元カノとなった珠洲菜は、悪い奴じゃなかったけど勉強をよくサボって遊びばかり誘う女子だったから、長く付き合う気にはならなかった。編入もきっかけではあったけど、たまたま珠洲菜に好意を持ってたダチがいたので紹介してあげたら、上手く行きそうだったのでそれはそれで良かった。


 俺が編入する学校は、元は女子高だったらしく今でも女子の方が多いと聞いた。俺自身はあまり騒ぎたくないし、女子に話しかけられても流行りの話とかについて行けないから、寄って来られてもどうすればいいのか分からないし困る。


 職員室で担任と話をしていると、これも偶然なのか俺と同時に編入して来た男がいた。パッと見、軽そうな奴に見えたけど、そういうのは前の学校にもいっぱいいたから気にならなかった。


 それにしても担任も女性とか、結構キツイかもしれない。頼れそうな男の先生はいなさそうだった。俺ともう一人の奴は同じクラスになったらしく、ほぼ女子だらけの教室に入って自己紹介をすることになった。


七瀬輔ななせたすくです。どうも」


 正直言って、名前以外に話すことが無かった。隣の奴もそんな感じだった。担任に言われて、窓側の一番後ろに座ることになった。もっとも、窓席はすでに女子が座っていたので俺はその隣。


 せめて隣になったってことで、声をかけようと思っていたのにソイツはずっと机に伏していて、顔を上げることなくずっと眠っているみたいだった。


 顔を見てみないとどんな女子か分からない。だけど、眠ってる女子に何て声をかければいいんだ。そんな感じで悩んでいた俺には、編入初日ということもあってか、複数の女子たちが俺の机を取り囲んできた。


 こういう時、もっと要領が良かったらすぐに友達になれたかもしれない。だけど俺は、騒がしいのが好きじゃない。だから多分、無愛想になっていたと思う。ただ、女子の中の一人に妙に男慣れしてる奴がいて、すごく近付かれた。


「へぇ~たすくの学校はあの辺なん?」


「あ、あぁ……そうだけど」


 早くも下の名前呼びって何だよ。コイツとは合いそうにない。すぐにそう思った。それよりも、隣の席の眠り女子の顔を見て話してみたい。そう思って、馴れ馴れしい女子の宮東沙奈みやひがしさなに頼んでみた。


「綾希はウチの友達なんよね」


 顔を見てみないと分からないけど、宮東の友達ってことはこの女子も馴れ馴れしいのだろうか。


「たすくの好み、聞いても?」


「面白い奴かな」


 俺自身、前の学校でもカタいだとか、真面目すぎるとか言われてただけに、好きになるなら面白くて夢中になれそうな子がいいと思っていた。


 そうして声をどこでかければいいのか分からなかった俺に、宮東が機会を提供してくれたみたいだった。ずっと机に顔を伏している女子。俺は内心、ドキドキしながら声をかけた。

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