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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
恋敵クライマックス編

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88/92

88.別れのコトバ


「綾希」


「……ん」


「あいつにハッキリ言うつもりなんだろ? 俺が一緒に付いててやろうか」


 七瀬に付いててもらえば怖い事なんてないし、どんなに聞きわけが悪くても理解するはず。だけどこれはきっと、わたしがつけなくちゃいけないケジメ。あそこまで諦めの悪い男だとは思わなかったし、わたしひとりだけで言わなくちゃ駄目なんだ。


「んーん、いい。わたしひとりで言う。ありがと、七瀬」


「ん、そか。綾希は意外に強いんだな。それなら俺は教室の中で待っとく。ホントは別に元カレとかそこまで気にすることでもないんだけど、同じクラスにいる奴だしハッキリさせとけばもうお前に絡んで来ないはずだしな」


「うん」


 放課後になって、ずっと気にしていた梅雨空からは大粒の滴が降り出していた。七瀬は予想通り、真面目に傘を持って来ているらしく、コトが済んだら一緒に帰ってくれるということを約束してくれた。


「傘を差しながら綾希と帰るなんてあの時以来かもな」


 思えばあの時からわたしたちは付き合い出した。それでもあの時は、沙奈が七瀬にしたことがずっと頭から離れられなかった。でももう、そんなことはどうでもよくて、今はとにかく彼と一緒にいたいだけ。


 七瀬に背中を押されて……と、そんなに大袈裟なことでもないけれど、元カレが待つ玄関に向かうことにした。


「ヨリ戻しに行くんでしょ? ゆず君、イイ人だしきちんと返事してやれば? っていうか、あなたが彼に会いに行ってる間に、わたしは七瀬に告るけどね。じゃね~」


「……」


「おっ! ちゃんと来てくれたな」


「それはそう。ここからじゃないと外に出られない」


「まぁそうだけどさ。てか、雨降って来たし一緒に帰ろうぜ? 俺、傘持って来てるし。綾希は持って来てないんだろ?」


「ない」


「だと思った。じゃ、帰ろう」


「無理。了と帰れない」


「何? 何か用があんの?」


 予想以上に手に負えない男かもしれない。何だかわからないけど、わたしとまだ付き合ってると思ってたんだ。告白とか以前の問題で、初めからフラれたってことを理解してないっぽい。


「さとる。わたしとあなた、ただのクラスメート。友達でもないし、恋人でもない。だから、一緒に帰るとか無理だし、そんなに気軽に話しかけられても困るから」


「いや、お前……俺を振ったのって、学校が離れただけのことだろ? 何となく別れただけって自分から言ってたじゃん! あれってオレ的には、一時的なもんなのかなって思ってた。ってか、そうじゃねえの?」


「全然違うし」


「じゃあ何だよ、今はあの七瀬って奴と付き合ってんの? 沙奈って奴とキスした男なのに、そんなんでもお前、付き合ってるって言えんの?」


「好きだから」


 わたしの七瀬への言葉に、さとるが何かキレたっぽくてわたしに詰め寄って来た。どんなに圧をかけて来ても、もう無理だし。だから諦めて欲しいって思いながら、さとるからの返事を待つことにした。

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