表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
恋敵クライマックス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/92

86.無意味な告白と梅雨空。


 どうしてフったはずの元カレが同じ学校に移って来て、どうして今、わたしの隣に座っているのだろう。いつもの席と違った場所で、思わず窓の外を眺めたくなった。


 夏休みも近づいているけれど、空は梅雨空の色を出していた。今のわたしもまさにそんな気分だった。わたしの味方は近くにいないどころか、授業中ということもあって立ち上がって来てくれるといったことも期待出来そうにない。


「……なぜ?」


「ん? そりゃあ、綾希とヨリを戻したいからに決まってるだろ!」


「なにが?」


「いや、だから……」


 話しかけたつもりはなくて、わたし自身に答えを聞いていた。つまりは独り言。だけど、半分はコイツに聞いていたのかもしれない。どうしてわたしなの? って感じで声を出していた。


「どこが好きで?」


「綾希と付き合ってたし、やっぱお前、可愛いし」


「そう……」


 かろうじて声だけは出していた。でも、窓の外だけしか見えていなかった。それくらい、何の感情も表情も動かすことなく時間が過ぎて行くのを待っていた。


「やり直してくれないか? フラれた理由は後から聞いたけど、でも、好きなままなんだよ。悪いとことか直すから、だから俺ともう一度付き合ってくれ! 頼む。マジで好きなんだ、綾希」


 確か今って、授業中だった気がする。でも、後ろの席だからか、大きい声でもない告白は他の誰にも聞こえていないみたいだった。もちろん、すぐ隣のわたしにも隣の元カレの告白は全然、届いて来なかった。


「いや、授業中にごめん。俺、待ってるから。だから、返事は放課後に聞かせて欲しいんだよ。玄関で待ってるから。だから、頼む。諦めたくないんだよ」


「……じゃあ、放課後」


「おっ! っしゃああ!!!」


「何ですか? ゆずりはくん、質問ですか?」


「あ、いやっ、すみませんでした。なんでもないです」


 何て言えば相手に届くのだろう? どうしてわたしなのだろう……どうか、忘れて欲しい。放課後に何をどう言えばいいというの? わたしの心にはもう、あなたの居場所は無いというのに。


「返事をしたら、その返事に対しての約束……出来る?」


「おう! 守るよ! その返事に期待してるし。約束する!」


「それならいい。きちんと返事する……」


「分かった、放課後な!」


 わたしには彼しか見えていない。彼の近くにいられればそれだけでいい……彼のその手に触れたいだけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ