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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
恋敵クライマックス編

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82/92

82.不慣れな女子との遭遇


 初めて行った七瀬の家から離れて数分、由紀乃と一緒に駅前を歩いていたら誰かに声をかけられた。もちろん、わたしにではなく由紀乃に。


「あれ~? 泉じゃん。珍しいね、ここで会うとか。どっか行ってたの?」


「まぁね。塾とか適当に探してた。彌生やよいは?」


「んーまぁ、暇つぶしかな。って言うかさ、隣いるのってゆず君の元カノの葛西さんだっけ……?」


「うん。綾希ちゃん。一緒に見て回ってた」


 なんか、何となく由紀乃の影に隠れた。やっぱり慣れてなくて見慣れない女子とは話が出来ないかもしれない。由紀乃も普段のわたしを呼ぶのと違うし、何か違和感を感じる。


「……誰?」


「うっわ、ひっど! 葛西さん、いちおーウチもおなクラなんだけどなぁ。席が違うし話をしたトキないから知らないかもだけど、ひどくない?」


「(あ、あやきち。えと、同じクラスにいる女子で、私の友達っていうかね。一年の時によく話してた子)」


「……何か用事?」


「話しかけただけだし。泉と友達だから声かけただけ。葛西さんって、ゆず君の言った通りの子だね」


「ゆず君って?」


「え? や、元カレなんでしょ? 葛西さんの……」


「知らない」


 知ってるけど知らない。関わりたくない名前だから、そう言うのが正解。由紀乃に声をかけてきたなら、わたしに声かけなくてもいいのにどうしてかな。


「キツイね。ウワサ以上にキツい性格かも。なのに、七瀬とか上城わいじょうって、ふたりして好きになってるとか、あり得なくない? ねえ、泉もそう思うでしょ?」


「やー……ごめん。私、この子の友達だから。悪く言うのはやめてくれるとありがたいかな」


 あ、なんかどこかで聞いたことのあるセリフ。これって、わたしが七瀬に最初の頃に言った言葉。沙奈のことを悪く言わないでって言ってたセリフなんだ。そっか、こうやって聞くと友達ってそういうことなんだ。


「ふぅん? お気に入りなんだ? わたしには関係ないけど、上城が好きな人って葛西さんだったんじゃないの? それなのによく一緒にいれんね。ライバル関係と友達続けてられるとか、泉も優しいもんだよね」


「いいでしょ、別に。彌生には関係ないし。てか、もういいよね? ウチら帰る途中だし」


「それもそうか。また教室で話しかければいいわけだし。バイバイ、泉。それと、葛西さん」


「……」


 そう言えば沙奈にばかり悪いイメージ持ってたけど、他の女子たちも七瀬とかヒロを狙っていたんだった。ずっと忘れていたというか、気にして来なかった。もうすぐ夏休みだから戦い挑んできたとか?


「あやきち、ごめんよ。気分悪くしたよね? このまま帰らずにちょっと、カフェ行こ」


「ん、行く」


「あやきちはちっともキツくないから。だから、ごめんね」


「平気」


 すごい謝ってるし、謝らせてる。他の女子……しかも話したことの無い女子。やっぱり関わってくるんだ。それも元カレのせいで。


 あいつがわたしのことをどう話しているかなんてどうでもいいけど、わたしのことで七瀬もヒロも、由紀乃にもひどいことを言うなら許したくない。わたしのことを完全に諦めさせないと駄目なんだ。

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