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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
わたしと彼の始まり編

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81/92

81.意味も無く、予想外のコトを。


「あやきちはこれから何度も来るわけか~。しかし、心配だぞ」


「泉が考えてることなんて起こさないけどな」


「はっ!? や、そんなこと考えてませんよ?」


「七瀬、そうなの?」


「……綾希はどう思ってる?」


 七瀬から答えを求められるとか予想外。七瀬の家。七瀬の部屋に何度も来ることになったら、どう思うかなんて、そんなのは分からない。だから、有り触れた言葉しか出て来ない。


「七瀬と座っていたい」


「あやきち、健全か!」


「泉、ちょっと大人しくしてろって。健全も何も、綾希から出てくる言葉ってこういうもんだって分かってる。俺は分かってるんだよ、コイツのことは」


「七瀬……?」


 コイツって呼ばれた。なんか、七瀬の呼び方が変わったかも。七瀬はどう思ってるんだろ? 部屋にわたしとふたりだけで、学校とかであまり出来ない話とかいっぱいしてくれるのかな。それとも?


「――んん?」


 わたしを見ながら何をするかと思えば、七瀬の手がわたしの頬に伸びて来て、そのまま頬を優しく撫でて来た。その手の行方が気になったけれど、頬から頭に上がって来て頭も撫でられた。


「こらこらこら、七瀬くん。わたし、いるんですよ?」


「あぁ。うん、でも、変なことしてないだろ」


「まぁ、そうだけど。あやきちが固まってるけど、急に何故そんなコトをしたのか説明よろ~」


 狙って上目遣いなんてしてない。単にわたしの目線の上に七瀬の顔があるだけのこと。だけど、なんか七瀬が照れたのか、顔を赤らめて背けてた。照れながら撫でたとか、七瀬が可愛すぎる。


「いや、意味なんて無い。だけど、綾希の頬に触れて、そこから頭を撫でたのは……コイツが可愛かったから。だから撫でた。理解した?」


「お、おぉ。す、すまんな~あやきち。たぶん、私がいたからだわ。私がいなければ、あんなコトやそんなことをしたかったに違いない」


「……合ってる?」


「さぁな。でも、由紀乃がいなくてもそんなコトしないし。綾希が大事だから」


「わたしも七瀬が大事」


「ああ、同じだな」


 由紀乃が一緒に来てなかったら、たぶんこのままキスしてたかもしれない。でも、今はこうして一緒の部屋にいて、すぐ傍にいてくれるってだけで凄く嬉しい。


「あ、あやきち……私、先に帰ろうかな~」


「んーん、わたしも帰る」


「だな、泉が帰るなら、綾希も一緒に行った方がいい」


 由紀乃がいるのに、少なくとも七瀬は変なコトしないし。でも、何となくお預けをくらってるような七瀬の表情を見ていたら、ここにいられないって思えた。今度はふたりでいられればいい。それでいいって思う。


「じゃあな、泉」


「またね、七瀬くん」


「七瀬」


「綾希。期末対策の時、俺の部屋な。じゃ、また学校で」


「分かった」


 軒先の所でわたしと由紀乃を見守りながら、軽く手を振ってた七瀬。また行くから待ってて欲しい。

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