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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
わたしと彼の始まり編

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78/92

78.七瀬の本音と、わたしの本音。


「綾希?」


「七瀬にもっと、傍にいて欲しい」


「こ、これは、あやきちの上目遣い……!」


「由紀乃さん、茶化すのはやめなって」


 隣に座る七瀬しか見えないし、見たくない。由紀乃の茶化しも今は、気にならないくらいに七瀬が見たい。


「綾希、お前……いや、だって、傍にいるだろ?」


「違う。今だけのことじゃない。教室でも、廊下でも、学校のどこでも……隣にいて欲しい」


 これはわたしの本音の気持ち。七瀬が何をどう考えているのかなんてわたしには見えて来ていない。だけど、やっぱり寂しい。彼の優しさと優しいキスをされているのに、それでも寂しい。


「俺は……」


「七瀬は……?」


「お前から離れるなんてこと、絶対あり得ない。もう悲しませない。辛い思いもさせない。そう思いながら学校の中はそれでも、俺自身を我慢させているんだ。そうじゃないと、ずっと綾希に依存してしまう。お前はもう、俺の彼女なんだ。隣の席にはいないけど、本当はお前にいて欲しいって思ってんだよ!」


「それが本音?」


「それで合ってる!」


 そっか。七瀬も我慢してるんだ。そうじゃないと歯止めがきかないって、分かってるんだ。そうなんだ。


「……それなら我慢する」


「そうしてくれ。じゃないと、俺が止まらなくなるんだよ。分かれよ、綾希」


「ん、分かった」


「おうおうおう、あやきち~それを七瀬くんに言わせるとは、おぬしも中々の小悪魔ですなぁ」


「由紀乃は悪魔?」


「ちがーーーう! それ、人じゃないから。ひろも何か言ってよ!」


「そ、そうだね。えと、綾希さん。七瀬は……いや、俺たちって単純だから。綾希さんの気持ち以上に、俺ら男って、それ以上に彼女のことを思っているんだよ。だから、我慢出来てる七瀬はすごいんだ。俺だったらもっと、ダメになってる気がするよ」


「ほっほぅー? じゃあ、いずれは私もひろの我慢を越えさせることが出来るわけだ~?」


「どうかな?」


「なんだとー!」


「由紀乃とひろ……付き合ってる?」


「えーと、どうなのかな。どう思う? 由紀乃さん」


「どうって……現在進行形? あやきちと七瀬くんの様な関係ではまだ……ですよ?」


「うん。でも、いずれはそうなりたいね」


「お、おお。期待してますぞ」


 由紀乃も変な言葉で誤魔化すけど、たぶん彼女なりの我慢だと思う。そうだよね、わたしだけの問題じゃないんだよね。


「てか、泉は綾希よりもお笑い系目指してんのか?」


「や、ないない! あやきちには勝てませんよ? あやきちの笑いに勝てなかったから、七瀬くんは好きになったんでしょ?」


「まぁ、うん」


「ならば、あやきちの面白さを維持してあげてくれたまえ! 期待しているよ」


「ははっ、泉も面白いな! もっと前に仲良くなっとけば良かったな。それこそあいつよりも前に」


「ですです! それは私も思ってるよ。おっと、七瀬くんは私じゃなくてあやきちだけを見ていなさいよ」


「……七瀬の気持ち、分かってる」


「あぁ、大好きだ。綾希」


「わたしも」


 あぁ、そっか。ここは学校で、お昼休み。これは確かに我慢しないと駄目なんだよね。ごめんね、ありがとう。大好きだよ、七瀬。

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