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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
ラブ・カルテット編

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66/92

66.はじめから始めたい。


「あやきちー! こっち」


「あっちだって、七瀬」


「みたいだな。行くぞ、綾希」


「ん、行く」


 週末になり、約束の展望台に行くために七瀬とふたりで向かっていた。入口前には、由紀乃がすでに来ていて、もの凄く大げさに手を振ってた。誘ってくれたヒロはすでにチケット売り場に行っているらしく、由紀乃がわたしたちを待っていた。


「よくぞ来てくれました。七瀬くんとあやきち」


「来た」


「泉さん、来てくれてサンキュな」


「いえいえ、やっぱ、みんなで行かないと駄目っしょ!」


 当初は由紀乃だけがバイトの都合で来られなかった。けれど、それはさすがにおかしいだろってことを七瀬がヒロに詰め寄ったおかげで、由紀乃も来られるようになった。


 由紀乃と合流したところで、何だか唇が渇いてたのが気になって、近くの化粧室に行くってことでふたりから少しだけ離れることになった。


「泉さん、なんて言うか……応援する」


「あーうん。まぁ、アレですよ。わたし、しぶといんで。七瀬くんも、もう迷うのやめたんでしょ?」


「うん。あいつを悲しませたのも俺のせいだし、それに、俺はあいつが隣にいないと駄目って分かったんで、俺もしぶとく行こうかなと」


「そかそか、やっぱ七瀬くんはイイ男だなぁ。いい友達になれそう」


「いや、友達でしょ?」


「うむ! あやきちともども、よろしくっす」


「友達だから面白いのか、それとも泉さんって最初からそういうキャラ?」


「半々でございますよ。とりあえずあやきちが戻って来たし、こっち気にしてるっぽいからまた後でにしよか」


「そうだね」


 七瀬と由紀乃ってやっぱり仲がいいのかな。それとも何か共通の話題とかで盛り上がってるのだろうか。それでも、怪しい雰囲気とかそういうのは感じられなくて、何か楽しそうにしてるからたぶん大丈夫だと思えた。


「じゃあ、中に行きますか~」


 ヒロが中で待っていることもあって、由紀乃は声を出すとそのまま先に中に入って行った。ほんの数秒遅れで七瀬も中に向けて歩こうとしたので、わたしも付いて行こうとすると、何でかわたしに近付いて声をかけてきた。


「綾希、俺の手から離れるなよ?」


「七瀬、いつの間にか戻った?」


「ん? 何が?」


「わたしのこと。色々変えて呼んでた。気分が戻った?」


「あぁ、まぁそんなとこ。オレ的に、綾希って呼ぶのがいい。慣れって言うか、そう呼びたいだけな」


「じゃあ、七瀬」


「お前も最初に戻ってるだろ」


「……ん、七瀬」


 ヒロに誘われての展望台なのに、わたしも七瀬もまるで出会った頃の最初に戻った様な、そんな感じで呼び合ってた。最初と違うのは、何の迷いも無しにわたしの手を握っていること。嫌じゃなくて、むしろこのまま離さずに繋いだままでいたいって思えた。彼もそうなのかな。そうだといいな。

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