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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
ラブ・カルテット編

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63.構ってくん?


「七瀬くん、もうすぐひろくん終えるっぽいから、あやきちの家に行って」


「え? 何でアイツの家に?」


「一回行ってるんでしょ? それなら色んな言い訳しても、たぶん通じるし。店に行ってからだとひろくんが警戒するから。だから、お願い~」


「あ、あぁ。分かったよ。ありがとう」


「おけおけ。頼みました!」


 ※


 ヒロからもうすぐ終わるからお店に来ていいよって、連絡が来たので家を出ることにした。家を出たら、何でか彼がわたしを待っていた。何で彼が来ていたのかな?


「七瀬?」


「よ、よぉ……」


「なに?」


「お前、これからどこかに行くのか?」


「ヒロが奢ってくれるから店に」


「……そか。そう言えば綾希、あいつがバイトしてる理由は聞いてんの?」


「貯金?」


 確かそんなことを言ってた気がする。だから奢るとかって本当は遠慮した方がいいような気がしてるけれど、誘ってくれてるのにそれを拒否るのも悪い気がしてた。


「綾希、なら……俺がお前の分、出すから。だから、あいつに貯金させてやれよ。その方が少しは気が楽だろ? 週末も金使うのに、キツイんじゃないのか?」


「何で七瀬が?」


「お、俺とお前……友達だろ? それに俺が奢りたいだけだし」


「そうなんだ? じゃあ、七瀬が奢る。行こ?」


「お、おー」


「やっぱり、七瀬は子犬?」


「そうかもな……綾希に構って欲しいっていつも思ってるし」


「……そ」


 そうなんだ。離れたとか思ってたけど、七瀬はわたしからプチ家出みたいな感じで離れたのかな。それなら、わたしも七瀬には傍にいて欲しいかも。


「お前、あいつのことどう思ってんの?」


「ヒロ? ヒロは仲のいいお友達。とても優しくてイイ子」


「す、好きとかじゃないのか?」


「よく……分からない。なんで?」


「いや、何でもない」


 そう言えばヒロにはそんな気持ちにはまだなってない。何でだろ。七瀬の時は、はっきりと気持ちが出たのに。七瀬と終わったかと思ったのに、終わってないのか終わらせたくないのか、こうして来てくれてるし。よく分からない。ヒロは、優しい。けれど、やっぱり彼のことが好きなのは由紀乃だから。


 構ってくんの七瀬と、バイト先のお店に入ったらヒロの表情が暗くなってた。ふたりでって言ったのに、七瀬が一緒だったから、気を悪くしたのかもしれない。


「ヒロ、ごめん」


「あ、いや、いいよ。そうだろうとは思ってたし」


「悪ぃな、上城わいじょう


「……別に気にしてない」


「ってか、綾希の分は俺が出すから、お前は負担しなくていい」


「え?」


「ん、ヒロは貯金しないと。だから、七瀬が奢るから」


「で、でも、俺から誘ったし……なのに、何でお前が出すんだよ」


「貯金しとけよ。奢るとかそういうのはもっと……」


 んん? 何か空気が良くない。ふたりは友達じゃなかったのかな。沙奈と同じで敵になってしまってるのかな。でもそういうのを聞くのはおかしいし、見守るしか無い気がする。


「ま、まぁ、それはいいけど。何で邪魔するのか理解出来ないな……」


「顔を見てないと安心出来ないからだ。それだけだ」


「お前、自分から離れやがったくせにそんなことを言う資格なんて……」


「いや、だとしても俺は綾希を見てたい。それが上城の邪魔になってるんなら謝るけどな」


「……」


「七瀬、わたしの顔も面白くて好きなんだ?」


「面白くは無いけど、見ていたい。そんだけ」


 ずっと隣だったし、見られなくなって寂しくなったのかも? だとしたら、そうなってもおかしくないのかな。そう言われて悪い気はしないけど、ヒロは怒ったかな。彼にとって七瀬は敵なのかもしれない。

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