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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
ラブ・カルテット編

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61/92

61.それって、なに誘い?


「それじゃあ、まだどうするかは決めてないんだ?」


「ん、決めてない」


「でも綾希さんならどっちでも上手く行きそうな気がするけどね」


「どうして分かる?」


「えっ? い、いや、根拠は無いよ。だけど、何となくそんな気がしたっていうかね」


「……何となく? ん、その感覚は分からなくも無い。ヒロはどっち?」


「俺は~……人のこと言っといてなんだけど、決めてないんだ。だからバイト始めたってのもあるし、今の内にお金貯めとけばいいのかなぁって思った。まぁ、あんまり深くは考えてないんだけどね」


 昼休みの屋上でヒロと話をしながら、お昼を食べた。話すことと言えば、大したことは無いけれど、ヒロは本当に沙奈といた時とは別人で、すごく真面目な男子だった。


 高2は進路を考える時期だけど、将来どうするかとかそんなのを普段はあまり意識してない。だけど、ヒロはそうじゃなかった。それくらい真面目。


「あ、そうだ。あのさ綾希さん、高い所は平気かな?」


「ここ、高いとこ」


「はは、確かにそうだね。そうなんだけど、そうじゃなくて……今度の週末にさ、もっと高い所に行ってみない? 展望台とか行けば気分も変わるし、風とか感じられて気持ちいいよ」


 そう言えば席替えしてから、風を感じることが無くなった気がする。春と違ってあまり自然の風は入って来なくなってたし、そういう意味ではこの誘いは嬉しいかもしれない。だけど、これもふたりだけなのだろうか。


「風、感じたい。けど、これもふたりで? これ、何の誘い?」


「え、えっと、うん。俺は綾希さんとふたりで行きたい。そ、それはあの……と、友達! 仲のイイ友達としての誘いだから。だから、深い意味は無いよ」


「そうなんだ、じゃあ……由紀乃と七瀬も誘っていい?」


「……そ、それは」


 友達と行くならみんなで行きたい。男子とふたりきりで行くのは、まだムリって思った。ご飯とか食べるのとは何か違う。ヒロがバイトしてる所に行くのだって、人がたくさんいるし別にいいけど、そこじゃない所に行くなら……やっぱり、みんなで行きたい。素直にそう思った。だって付き合ってないから。


「わたし、カフェ食に行ってくる。七瀬と由紀乃に聞いてくるから。予鈴なったら、ヒロは教室に戻ってていい」


「……あ、うん」


 すごく嬉しそうに話してたヒロだったけれど、みんなで行くのは嫌なのだろうか。途中から何だか落ち込んだような表情になってた。それがどういう意味なのか、わたしには分からなかった。


「――で、七瀬くんの話ってなに?」


「あぁ、うん。泉さんも、もう知ってるかもだけど、俺と綾希は離れたって言うか……」


「別れたくないから離れるって言ったんでしょ? そういう風にしとけば、あやきちのことだからすぐに仲直り出来るって思ったんじゃないの? それが何でああなったの?」


「なんつうか、元カノといる所に綾希が来た。それを勘違いされた。追いかけたけど会えなかった」


「ってか、何で元カノと会ってんの? ヨリ戻すとか言われた?」


「いや、そうじゃなくて、逆ってか……前の学校のダチと今は付き合ってて、元カレの意見として相談されてた。それだけだよ。それを何か誤解されたまま、あんな感じになった。それも上城わいじょうと」


「あー……それはそうなるわ。綾希、七瀬くん信頼してたし。隠し事されて、しかも会ってたんならそうなるよ。それにひろくんは優しいからね。最初綾希は、ひろくんのことは全然何とも思ってなかったみたいだけど、何かで優しくされたんじゃないの? 保健室とか」


「――あ」


「うむ。それだよ、きっと。あやきち的には七瀬くんと終わったと思ったんじゃないかな? だからひろくんに傾きつつある……」


「泉さんはいいの? だってあいつのこと……」


「知ってるよ。あやきちのこと好きだってことくらい、見れば分かるし。それでも、諦めないよ。だからさ~七瀬くんがしっかりしてくれないと困るワケ。オーケー?」


「お、おーけー。なら、泉さんも泣かせないようにする。綾希に話してみる!」


「うんうん、ではでは……協力の握手をしようじゃないか!」


「だな、じゃあよろしく、泉さん!」


 カフェ食に着いて、七瀬と由紀乃の姿を探していたら、ふたりが仲良さそうに手を握っているのが見えた。


「由紀乃、七瀬……?」

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