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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
彼の心、わたしのこころ編

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52/92

52.彼と何かのライバル関係


「葛西さん。俺と泉さんのシフト上がりに、そのままご飯食べない? 七瀬も一緒に」


「奢り?」


「ごめん、財政状況良くないから。まぁ、でも友達価格で安くするから」


「ん、行く。七瀬も行く。オーケー?」


「お、おー。お前、食細そうだし、俺が目いっぱい口に食べモノ入れてやるよ」


「じゃあ、君はお水をたくさん飲んで、水分補給」


「望むところだ!」


 どういう状況になってしまったかというと、由紀乃は同じクラス、教室にいても全くと言っていいほど、進展しない仲に焦りを感じて、比呂と同じバイトを始めてしまった。同じバイトって言うのは、所謂チェーンのファミレス。それでも、ホールと厨房だから中々会えないらしいけれど、学校にいるよりは話が出来るらしい。


 そしてわたしと彼。彼への呼び方は以前に戻っていた。でも、彼は全くと言っていいほどわたしの呼び方を変えて来た。もちろん、嫌じゃない。むしろ嬉しい。でも、兄とイメージがかぶるのが嫌かもしれない。


 それもあって、前の七瀬よりも親し気になった気がしていた。よく言えば、イメージをくだいたキャラ。悪く言えば、兄の峻希しゅんきに似てきた? 


「いらっしゃいませ」


「来た」


「まだ普通にシフト中だから。ご、ご注文は?」


「水」


「嫌がらせですか?」


「由紀乃、会計」


「妨害だー!」


「ま、まぁまぁ、泉さん、綾ちゃんは待ちきれないらしいんだ。とりま、外に出て待ってるから。終わったら、席確保よろしくー」


「へいへい、七瀬くんはあやきちに大甘すぎんぞ?」


 ホールに出ている由紀乃は由紀乃らしくない。なんて思いながら偽注文をしてみたら、七瀬に叱られてしまった。


「綾ちゃん、水はひどいよ。せめてドリンクバーにしときなよ。そうすれば彼女も笑顔くらいにはなると思うし」


「七瀬は水が嫌い?」


「好きですけど何か?」


「なら、いいはずだけど」


「……生意気になってきたな。後でたっぷりとその口を塞いで黙らせてあげるよ」


「本当に……?」


 わたしは由紀乃から伝授された上目遣いで、七瀬を見つめることが増えた。彼がわざと意地悪なことを言って来ているということが分かる答えには、必ずと言っていいほど上目遣い。


「……お前、それ反則だろ」


「何のこと?」


「と、とにかくお前をお腹いっぱいにさせて、頬をプニプニしてやる!」


「じゃあ、わたしは七瀬のお腹をタプタプと……」


「そう言っておきながら、俺の体に触れられないだろうに。な、綾ちゃん?」


「さぁ……?」


 やはり聞けば聞くほど、七瀬は兄っぽくなった。もちろん、悪い意味で。でも、嫌いじゃない。

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