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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
彼とカレと彼女編

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36/92

36.七瀬の元カノ?との再会。


「……っしょっと。結構重いから、俺が全部持つよ」


「それ、良くない。お菓子の袋はわたしが持つから」


「そ、それもそうだよね。うん、それじゃあ軽い方は葛西さんに任せるよ」


「任された」


 コンビニで買い出しを済ませたわたしと上城(わいじょう)くん。打ち上げ的な何かと言っても、学校の中、しかも教室でやれるのはせいぜい、ジュースとお菓子を食べることくらい。だから、大した量と重さでもなかったけれど、彼はそこで優しさを見せて来た。それでも、全てを持たすことは嫌だった。


「しかし、七瀬もそうだけど、葛西さんも少しずつ変わって来たね」


「変化?」


「え、えーと、七瀬は俺に比べて他の女子とは距離を置いていたって言うか、葛西さんとだけしか話してなかったんだ。それが、最近は葛西さんの友達の、泉さんだっけ? 彼女とも話すようになってたから、いい傾向かなって思ってた。七瀬もそうだけど、葛西さんも少しだけ変わって来たかなって思ってる」


「背は伸びてないけど……」


「あ、あはは……そういうことじゃなくてね、話すときの言い方とかが何となくだけど、くだけて来た気がするんだよ。そうじゃなきゃ、たぶん俺とここまで話せなかったはずだし」


 それってつまり、以前よりは社交的になって来た? でも、七瀬と話すときでもそんなには変わってないって自分では思ってるし、そんなに感情を出す方でもないから、変わってないとも言えるような気もする。


「お、俺は、もっと葛西さんと話がしたいって思ってるから。だから、嬉しいよ。それが七瀬のおかげだとしても……」


「そうなの?」


「まぁ、うん。そうだね」


 七瀬のおかげでわたしは変わったらしい。そのことを上城くんは感謝してるらしいけど、でも、複雑な表情をしているようにも見える。その表情の意味は分からないけれど、聞いたところでたぶん答えてくれないと思うから、聞かないことにした。


 学校の近くまで差し掛かった所で、誰かが誰かに手を振っている光景に出くわした。それが上城くんへなのか分からないけれど、彼は知らない人って言ってたからそのまま通り過ぎようとした。


「ちょっ! ちょっと、そこの……えーと、(たすく)の隣にいたライバル! シカトすんな!」


「……誰?」


「いや、俺は分からないけど、葛西さんは知らないの?」


「だー!! だから、私だってば。輔の元クラの元カノなんですけど? 覚えてないの? いまカノさん」


「元カノ? ただの同級生って、七瀬が言ってた」


「あいつの元カノ? へぇ……そうなんだ」


 わたしと上城くんが顔を見合わせながら、自称元カノさんの話を聞くかどうかを悩んでしまった。なんか面倒そうな予感だった。何よりも、このまま付いて来られても厄介すぎるからだ。


「っていうか、七瀬は? そこのカレとはどんな関係? 付き合ってるわけ?」


「いや、俺は同じクラスなだけで」


「あ、そうなんだ。その割には……」


「……」


 上城くんを見ながらまるでバカにしたように話す自称元カノに、何となくムカついた。ムカついたわたしは、思いがけずに上城くんのいい所をアピールして、ついでに七瀬の良い所もアピールして追い打ちをかけることにした。

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