表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
彼とカレと彼女編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/92

32.泣きの兄と泣かせの七瀬


「綾希、俺の後ろにいろ」


「駄目。そうするとタオル取られる」


「タオルくらい……」


「七瀬の匂いが付いてるし、七瀬の汗とか」


「それはまずい。てか、ソイツ誰? 何だよ、綾ちゃんって」


「そう呼びたい?」


 思ったよりも七瀬の方が興奮してる。どうすればおさまるかな。名前なのかな、やはり。


「許可してくれたらいつでも呼ぶ。それはともかく、ソイツを追い払わないと何にも出来ないだろ」


「綾ちゃん、このナンパ男は何だよ? お兄ちゃんに話してくれないかな」


「は? お兄ちゃん……? って、本物? そういや、家の人が来てるって、この人のことか?」


「いちお、このスーツ男は、兄の峻希しゅんき


「兄? そ、そうか。それならいいんだけど。でも、何か変態な人で安心出来ないぞ」


「なんだとぉう! ナンパ男こそ、俺の綾ちゃんに近付くなよ! しっしっ!」


 あぁ、うざい。七瀬に失礼な事言うし、するし。何でここにいるの。七瀬はいいとして、峻希をどうすれば追い払えるのだろう。


「兄。この人は、わたしの彼氏のたすくだから。邪魔しないでくれると、嬉しいから」


「か、彼氏!?」

「た、たすく?」


 あ、どっちも驚いてる。これはどっちにも効き目があったかもしれない。


「あ、綾ちゃん……うぅっ、グスッ――」

「綾希、お前の好感度が相当上がったんだな」


 あぁ、泣き出した。こんなことになるのは予想出来たけど、まさかこれが原因で出社拒否らないよね。


「……俺帰る。綾ちゃん、家には帰って来てね」


「当たり前。じゃあ、お兄ちゃん、さよなら」


 これを言えば素直になってくれる。「お兄ちゃん」なんて、ほとんど言わないけどこれが一番効果高い。


「ふー、やっと帰ったな。お前、兄貴がいたんだな。しかも、かなりやばい兄貴が……」


「七瀬が兄を泣かせたから帰った」


「って、あれ? 七瀬に戻った!? な、何でだ。俺、お前を助けたよな?」


「ん、救われた。けど、泣かせは良くない。だから、減点」


「いや、俺じゃないだろ。綾希が俺を紹介したから兄ちゃんが泣いたんじゃないのか?」


 そろそろ七瀬を許さないと、七瀬も泣きそうな気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ