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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレ編
3/92

3.きっかけは、どこからともなく


 波に乗ることが出来ない。これすなわち、流行の波という意味。確かに新たな出会いに期待を膨らませてはいたけれど、みんな一緒に話しかける。なんてことは好きじゃなかった。そうなると、何かのきっかけでもなければ、声をかけることが出来なくなる。


 仲良くなるのがきっかけで付き合えるなら苦労はしない。そう言えば、元カレのあいつとはどうやって付き合ったのだろう。その辺をあまり意識しないまま、付き合っていたような気がする。


 考えても話せないし、無理に考えても始まることも無い。そう思っていたら、自然と机に伏して、春風と共に安らかな寝息を立てていた。色気を見せる、そんなのは全くの無縁……そう思ってた。


「おい、ちょっと……」


「ん~~眠い。ごめ、今気持ちいい所だから、声かけないでくれると喜ぶから」


「いや、じゃなくて、呼んでるんだけど?」


「はぁ~~? 誰が? ってか、さっきから誰……って、な、七瀬さん?」


「てか、顔やべえ。顔が机になってるって、マジで面白すぎ」


 顔が机って何? 手鏡を覗き込んでみたら机の痕が残ってる! しかも見られて笑われてるとか嘘でしょ? まぁそれはもう気にしないとして、何で声かけて来たんだろ。


「えと、呼んでるって?」


「何かの係とか? 俺は言われたから呼んだだけ。そんだけ」


「あ、どうも」


 そう言えばそんなものを受けてた気がした。意外な所からきっかけが生まれた。でも最悪だった。たぶん印象に残ったとは思う。机顔の女子としてだけど。隣の席ってこれがあるから怖いなぁ。


 一限が始まるまでに時間があったので、廊下に出て声かけのヌシを探してみると、すぐに声をかけられた。かけて来たのは友達だったけど。


「綾希、こっち! で、顔見た?」


「呼び出したのって、沙奈? や、顔見れてない。それどころじゃなかった」


「きっかけ作ったのに。何で? 何があったん?」


「寝てた。グースカと。いつも通りに机に伏して」


「期待を裏切らない子やね。そういうとこ、応援したくなる。でも、七瀬が声かけてくれた?」


「応援どうも。そう、七瀬さん」


「さん付けって、それはよろしくない! 距離離れるし。呼び捨てで呼んでみ? たぶん、喜ぶ」


「それはさすがに無理。そういうのは沙奈に任せるし」


「なら、そうする。恨みっこなし。おーけー?」


「何を恨むのか知らないけど、別にいいよ」


 沙奈のきっかけ作りで、隣の席の七瀬くんに声をかけられた。あんまりいい印象は与えられなかったけれど。それと、沙奈の言葉の意味がよく分からなかった。要するに、沙奈もどっちかときっかけ作りたいって意味だとこの時は思ってた。彼らが編入してからまだ数日。どうなるかなんてさっぱり分からなかった。

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