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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレシ編

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29/92

29.トモダチとカレシと。


「あやきち、七瀬って優しい?」


「すごく」


「そうなんだ。ってか、七瀬って編入したての時に結構人気だったけど、あんまり話したがらなかったから、みんなで戸惑ってたんだよね。その点、上城わいじょうくんは、話しやすくて可愛い感じがするから、女子受けいいし」


「七瀬も可愛い」


「あーうん、それはあやきちだけだと思われる」


「……んん?」


 最近、わたしとよく話すようになったいずみ 由紀乃ゆきのは、沙奈と違って嫌な感じがしない子。と言っても、沙奈だってずっとそんな感じで来てたけど。それが七瀬と関わるようになって、保健室でのことがあってからは同じ教室にいても、ほぼ話すことが無くなっていた。


 だからじゃないけれど、由紀乃以外の女子も少しずつ、わたしと話すようになっていた。男子にもあるように、女子にも合わないタイプがいるわけで。


 沙奈といつも一緒にいる時は、確かに他の女子たちは近寄って来なかった気がする。派手めな沙奈と、地味すぎるわたしの組み合わせが何となく目立っていたかもしれない。


「あやきちって、上城くんとも仲がいいよね?」


「んー? 話は出来る」


「そりゃあそうだ。誰だって話は出来るし。そうじゃなくて、七瀬と彼は友達っしょ? 上城くんって、好きな子とかいないのかな? それってチャンスありそうなんだけど」


「分からないけど、チャンスは平等」


「あやきちに慰められてる!? まぁ……イベントは夏からも続くし、きっとありそう」


「ん、由紀乃頑張れ」


「お、おう。私のことはゆきのんと呼んでもいいんだぞ?」


「名前変えた?」


「違くて! いや、うん、その内でいいや。あやきちはそういう子ってこと理解してるし」


 親とか誰かとかに、名前をちょっと変えて呼ばれるのはいいけれど、わたしはそのままで呼ぶのが好きだったりして、だからじゃないけれど七瀬のことも下よりは上で呼ぶのが好き。


 ホントにそんな大した意味もなければ、深くもないことなのに、あいつと会ったあの日から、七瀬はそのことが気になってるみたいで、名前で何で呼んでくれないのか? なんてことを言い出すようになった。それって、あんな奴でもヤキモチをしてるってことだよね。本当に大してそんな深く無いのに。


「綾希、ゴミ捨て行くから付き合ってくれ」


「分かった」


 ゴミ捨て当番ってわけでもないけど、七瀬ってホント真面目だから。だから、気になったら捨てに行くくらい大真面目な男子。潔癖でもないみたいだけれど、でも、綺麗好きっぽい。そこがまた意外だ。


「だいぶ慣れたみたいだな」


「んー?」


「女子の友達が」


「由紀乃? 何か、ゆきのんって言われたいらしい」


「呼ばねえの?」


「そのままがいい」


「あーうん、お前ってそうなんだよな。俺が単に気にしすぎてるだけで、別に下の名前で呼んだからって差がつくとか、そんなんじゃないって分かるのに。俺も、まだまだだな」


「七瀬は忘れてるけど、好感度が上がればそれも変わるから」


「好感度……あー! そういやそうだった。ちなみに今は?」


 そんなのはほとんど今となっては、意味も無い位に好きだけど。その三文字で誤魔化してるだけかも。


「好きから一つ上がった」


「って、上限は?」


「限りなく」


「デスヨネ」


 苦笑しながらも、嬉しそうに笑ってた。だから、ホントにそのうちに。そもそも、普段は手を触れることないし、キスとかそんなのは無理。だから沙奈とわたしじゃ、その辺が違う。七瀬が言ってた慣れって、そういうことだったんだと今さらながら分かった。


「あやきち」


「却下」


「厳しいなお前。まだまだ難易度は下がりそうにないな。それも含めて好きだけどさ」


「どうも」


 川でのアレの言ってたこととか、沙奈の言ってたことが分かるのは夏以降だろうけど、わたしや七瀬にも全然関係ないことだし、気にすることでもない。


 こんなゴミを捨てに行く時間ですらも、彼との時間なわけで。関係ないことに不安がってもね。ホント、それ。だから、忘れよう。学校来る時だって、アレと会うことなんて無いし。うん、大丈夫。気にしない。

一部修正しました。

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