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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレシ編

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24.密かなカタオモイ


「葛西さん寝てるけど、起こさなくていいの?」


「起こし方にコツがあるんだよ。下手すると、好感度がスゲー下がるから気を付けないとな」


「好感度? お前って、葛西さんと付き合ってるんだよな?」


「そうだけど、それと好感度は別だから」


「へ、へぇ~いいこと聞いた」


 七瀬と上城わいじょうくんとで、中間対策の勉強に来ていたわたし。三人ってことだから、結局学校近くの図書館になった。図書館といえば、静かな場所。つまり、寝るにはいい場所。


「綾希……おい」


「……ん~」


 わたしを静かに起こそうとする七瀬。彼はわたしを起こすにはコツがあるんだ。なんてことを言ってるけれど、それは正しくない。日によって違うし、気分次第だから。


「綾希が起きないと奪う。いいか?」


「不可」


 要するに言葉攻めで起こしてくる。体に触れてくるのは反則だから。もちろん、この起こし方は七瀬だけ。顔を横に向けて寝てたけど、奪うとか言ってることの意味は分かった。何か嫌だったから顔を伏せた。


「な? 起きたろ?」


「……すごいけど、好感度落ちたっぽくないか?」


「いや、違うだろ。なぁ、綾希?」


 上城くんがいる前で、小声だったとしてもああいう起こし方は好きじゃない。


「気に入らない」


「え、マジで? な、何が不味まずったんだ!?」


 悩んで後悔している七瀬に、彼は笑いながら慰めてた。


「あれは無いだろ。一応、俺いるし。そういうセリフは、俺がいないときに言うべきだよ」


「――あ」


「七瀬、友達消えた?」


「はは、消えないよ」


「だとしても、ご、ごめん……悪気なかった。気を悪くしたよな?」


「冗談ってのは聞いてれば分かる。俺はいいけど、葛西さんにも気を使えよ。付き合ってまだ経ってないだろうし、嬉しいのは分かるけど……」


 まさに上城くんの言う通り。沙奈と一緒にいた時の彼は、空気読まなくて近寄りたくなかったけど、今は七瀬をいい感じに操作してくれてる友達な気がする。全然話してこなかったけれど、七瀬といることが増えたみたいだし、いいお友達になれればいいな。


「葛西さん、コイツ真面目で格好いいけど、時々言葉に工夫が足りない時があると思うんだ。そん時に、俺を頼ってくれていいから」


「うん」


「綾希、気を付けるから。機嫌直して欲しい……ってか、勉強教えるから起きてくれ」


「起きる」


 怒ってもいなかったけれど、反省してるし七瀬の為に勉強しないと。それに、七瀬はいい友達が出来たっぽい。なんか羨ましいな。中間終わったら、友達づくりの努力するしかないかな。


「葛西さん、機嫌良くなったみたいだ。良かったな、七瀬~!」


「ま、まぁな」


「上城くん、ありがと」


「あ、いや、どうってことないし。葛西さんと話せるようになって、俺は嬉しいから」


「……」


「静かな七瀬。虫歯?」


「ちげーし。何でもない。勉強教えるから、寝るなよ」


「わかった。寝ないから」


 七瀬を泣かさないためにも、中間はきちんとやっとかないと。そう思いながら、少しだけやる気出した。

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