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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレシ編

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22/92

22.真面目過ぎの七瀬は癒し系だった件


人間関係が変わりそうなんてことを思っていたけど、実際はそうでもなくて沙奈は普通に話しかけて来ていた。敵って言うのは、彼女的に七瀬限定だったらしい。七瀬に不意打ちキスしたことも悪いと思ってないみたいだった。


 七瀬は最初から沙奈のことを苦手と言っていたけれど、彼女はそうでもなくてむしろ、好意的に思っていたらしい。七瀬は優しいから、わたしには沙奈が苦手だとか言ってても、実際にはあからさまに拒否ってたわけじゃなかった。だから今でも、話しかけて来るんだと思う。


「綾希、おはよ」


「……沙奈」


「んー? 最近話してないから誰か忘れてしまったん?」


「なに?」


「別にだけど、ついでにそこのたすくも、おはよ」


「あぁ。っていうか、お前名前で呼ぶのやめろよ。そんなに親しくしてないぞ」


「それ気にしてるんだ? あー、綾希は七瀬って呼んでるかぁ。でも、そこの比呂ひろだって名前で呼ぶし。そこまで気になるものでもないと思うけど」


 微妙な空気を朝から作りだした沙奈は、悪気なく自分の席に戻って行った。


「綾希、あいつとどれくらいの付き合いがあった? 友達ってなってから」


「1年くらい」


「……ってことは、中学の時は違うんだ?」


「違う。そうだったとしても、クラス違ってたら覚えてないから」


「タイプ似てなくても友達か。ある意味で、綾希すごいな」


「んーん、似てる。沙奈もわたしも一人が好き。だから、他の女子と今みたいに話すことをしてなかった。集団が苦手」


「そっか。まぁ、いいや。俺は綾希と話が出来ればいい」


「……ん」


 中間が迫って来てることもあって、さすがにわたしも寝ることは無くなった。隣の七瀬をチラっと見てたりすると、やっぱりわたしよりも真面目なんだってくらいに、きちんと授業を聞いててノートも取ってた。


 隣で近いけど話をするのは休み時間くらいだし、前ほど話しかけて来ていない。それって、そういう関係になったからなのかなって思う。今まではたぶん、七瀬的に自分を見せていたんだと分かった。


 七瀬自身が真面目だから、やっぱり同じ真面目系のわたしが好きになったのかなって思った。でも事実は異なるけれど。自称真面目であって、そんなに授業に集中してないからそんな時、わたしでいいのかなって思う。


「どした? なんかさっきから俺のこと見てるけど」


「七瀬を見るのが好きだから」


「――お、おぉ」


 隣だから見ていられるけれど、席が離れたらきっとそうじゃなくなるんだろうな。なんてことを最近は考えるようになっていた。幸いにして、席替えは季節ごとというか前期中期後期で決まってるみたいだから、とりあえずは、七瀬と夏までは隣でいられる。それならいいやって思えた。


「綾希、どこで勉強したい?」


「嫌です」


「いや、そうじゃなくて、中間の対策の……」


「七瀬といられるところ」


「あー、うん。分かった」


 そんなに束縛るつもりもないけど、一緒にいたいって思う。七瀬のことが好きって自覚してから、それが物凄く強くなった。態度では強く見せてないけれど、沙奈のことがあったから余計にそう思えた。


 きっかけを作ってくれたのは何だかんだで、沙奈だったわけでそれに関しては一応感謝。ただ、恨みっこなしってなると、そこは別問題。やっぱ、誰かを好きになると依存じゃないけど、離れたく無いって気持ちが出るし、意識の高まりがやばい気がする。七瀬って優しいから余計にそんな感じ。


「図書ルームは……」


「却下」


「むー……お前、贅沢過ぎんぞ。どこだってふたりでいられるだろうに。どこがいいんだよ……」


「長くいられるところ」


 そんな感じで七瀬を悩ませつつ、気付いたら寝てた。七瀬見てたら眠くなるってくらい、隣の七瀬に癒されているかもしれない。そのうち、彼に甘えられるくらいの態度を取れるようになるのだろうか。

 

「寝てるし……まぁ、いいや。綾希、よろしくな」

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