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キミのその手に触れたくて  作者: 遥 かずら
隣の席のカレ編
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2.声をかけるタイミング問題


 いつになくざわつく教室。学校に男子がいないわけじゃない。自分が入学する数年前までは、女子だけの学校だったらしくそこから共学になったとはいえ、女子だらけの学校にわざわざ入って来る男子が珍しいだけのこと。


 それでも一つのクラスに8対2くらいの割合でいることはいた程度。いたとしても、いつも話すのは女子だけになる。そうなると興味も意識も身近な所から生まれるかと言うと現実問題として厳しかった。


 そこへ他校から新たに編入してくるという話が昨日辺りから浮いて来てて、気にならないわけがなかった。結局のところ、新しい出会いにみんな惹かれるってところなんだと思う。


 朝のHR(ホームルーム)が始まって、教室内の視線は見ていないようでみんな、先生がいつも立ってる場所に狙いを定めていた。


「えーと、もう分かってると思うけど、今日から編入の男子ふたり。みんな、よろしくね」


 他校の名前を言われても分からなかったけれど、本当に簡単すぎる自己紹介が彼らの口からされた。


七瀬 輔(ななせ たすく)です。どうも」

上城 比呂(わいじょう ひろ)っす。よろしくです」


「それじゃあ、七瀬くんは窓側の……葛西さんの隣に座ってくれる? 上城くんは、廊下側の席へお願いね」


 葛西さんの隣……あ、わたしか。隣ってだけで、何か声をかけるべきなんだろうかなんて、思っていたけど、特に何も起こらなかった。


 名前からして個性を感じた女子たちが一斉にざわつき始め、予想通り休み時間になると同時に、質問攻めをする為に隣の席の彼と、廊下側の彼の席に人だかりを作っていた。


 わたしはこういう時に便乗しないタイプなので、似たタイプの沙奈が話しかけて来るのを待っていた。


「どっち系?」


「や、何とも言えないけど」


「席が隣なら七瀬でよくない?」


「そう言われましても……」


「てか、どこで声をかければいいのか問題ってやつ」


「だね」


 確かにすぐ隣に新たな男子が座って来た。だけど、決して簡単じゃない。真っ先に声でもかけようものなら、予想はつくけどあまりよろしくないことが起きることは目に見えてた。


「でも、よかったじゃん?」


「なにが?」


「どっちもよさげで」


「あー、顔よく見てない。名前だけしか入ってきてなかった」


「そか。まっ、その内に見れるっしょ? 隣だし」


「そのうちね」


 隣だから顔が見れるかって言われれば、割と微妙と言えば微妙だった。じっくり見つめないと分からないわけで。でもとりあえずは、声をかけるタイミングとチャンスを探らなければ始まらない。そう思えた。

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