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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレ編
15/92

15.七瀬の席は、指定席。


「誰にコクられたって?」


「比呂」


「てか、名前呼びって。なんて答えた?」


「分からないって」


「お前、それ言いそうだな。まぁ、それはいいや。いいけど、綾希のおかげでめちゃくちゃ暑いし」


「夏が来た?」


「ちげーし! シャツってか、変な汗かいた」


 変な汗? ってなんだっけ。気になって、七瀬のシャツに近付こうとしたら、七瀬が何かに気付いて動きが止まってた。


「……ん?」


「綾希……七瀬に何してた?」


 振り返ったら、そこに彼女がいた。


「話?」


 思わず七瀬に聞いてみた。


「いや、俺に聞かれてもな。お前こそ何しに?」


 誰が入って来たかと思えば、先生に言いに行っていた沙奈だった。わたしの言ったことを信じたかは分からないけど、一瞬だけ疑いの目をしてすぐに笑顔になった。


「綾希いなかったから、探してた。そしたらここにいたし。綾希、隣人がいないから寂しく思ってしまったん?」


「たぶんそれ」


「先生に何を言えばいいのか分からなかったし。黙って行くのはどうかと思う」


「あ、うん。ごめん」


 沙奈に怒られたの、まずったかな。でも別にウソは言ってないし。


「で、七瀬は早退すんの? なんか、汗だく?」


「いや、さっきよりマシ。昼前に教室戻る。風邪うつさねえし平気だろ」


「分かった。その前に、確かめとく」


 って言ったすぐに、沙奈の手は七瀬の額に乗ってた。


「汗だくだから熱かと思ってたけど、違うぽいな」


「いや、いいって! そんなことしなくても」


「熱計っただけやし。なに、焦ってん?」


「そんなことされなくても、分かる。自分の体に触れられるのは好きじゃない。医者と親と……」


 七瀬がわたしをチラって見てた。そう言えば触った。というか、口つけてた。あれはセーフ?


「とにかく、大騒ぎすんな。先生にもそう言っといてくれればいいし」


「それならそれでいいし。昼前?」


「だから、ちょっとだけ寝させてくれ。綾希も教室戻ってていいから」


「ん、分かった。七瀬の席に誰も座れないように、指定席予約済みしとく」


「座らないだろ。でも、予約しといていい。あそこは、俺の場所だ」


 指定席とか、席にそんなこと必要ないけれど、もしかしたら休み時間に誰か比呂とか座りそうな気がした。わたしの隣は七瀬じゃないと駄目だから。


「……へぇー? 綾希、比呂のコクり、断ったんだ?」


「知らないし。断ってないけど」


「七瀬の席には七瀬以外は座らせたくないって、そういうこと言うか~」


「……ん? 勝手に座るのはよくないし。そういう意味。なんか、おかしかった?」


 なんか、さっきより怒ってる感じがした。なんで?


「とりあえず、寝るし。ふたり、早く教室戻っとけって」


「分かった。じゃ、また」


 友達の沙奈との関係が分からなくなってきた。そんな感じ。

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