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キミのその手に触れたくて  作者: 遥風 かずら
隣の席のカレ編
12/92

12.嫌いじゃないし。


「綾希、何か怒ってたりする?」


「……なにが?」


「なんつうか、いつもよりも更に絡みづらい気がする」


「変わってないかと」


「ん~~いや、分かるって。だから、ごめん」


 わたしは、彼に怒っている。らしい。七瀬に彼女がいてもそれは正直言って、そうなんだくらいしか思ってなかった。だけど、勝手にライバル扱いされたのは嫌だった。だから怒る相手は彼にじゃない。それなのに、そう思わせてることが余計に、腹が立っていた。もちろん、自分に。


「好きなの? とか聞かれて嫌だっただろ。ホントにごめん。好きじゃないだろうし、あいつが勝手なこと言ってて、何かその、何て言うか……」


「あ、七瀬のことなら嫌いじゃないから」


「――えっ?」


 これは本当のこと。隠す意味も無いし。それ以上の言葉がまだ出て来ないだけ。それだけなんだよね。


「えと、あれ? マジですか!?」


「ん、嫌いじゃない」


「うん? キライジャナイ……あぁ、だよな。そりゃそうか」


「どうしたの?」


「何でもない。大丈夫ですホントに」


 直後に、何故かすごく大きなため息ついてた。何かおかしなこと言った? 


「ホント、面白い奴だな。ちと、聞くけどよい?」


「どうぞ」


「付き合ってる奴、いる?」


「今はいない。最近までいたけど、振ったから」


 これは隠すことでもないし、本当のことだから正直に言ってみた。七瀬の表情は出だし、喜んでたけどすぐに首をかしげてた。


「振った? 綾希が?」


「そう」


「何でかは聞かないけど、理想高いとか?」


「何となく」


「あー、うん……分かった。もう聞かない。そいつと俺は違うし、気にしない。俺、根性ある奴だし。それに、綾希の気持ちが聞けたのはマジで上がった。だから、やる気出す」


「よく分かんないけど、応援するから」


「そうか、サンキュな」


 お店に入るまでの途中で少しだけ、ムカっとしていたけれど、彼と話をしていたら良くなった。嫌いじゃない。今はこんなことしか言えない。気にしてるけど、まだそんな感じ。


「んじゃ、今日はサンキュ。また明日な!」


「ん、またね」


 その場で七瀬と別れて、家に戻ろうとしたら偶然にも、沙奈と比呂に出会った。やっぱり、そうなのかなって感じで歩いてた。


「あれ? 綾希じゃん。何してんの?」


「帰るとこ」


「同じだし、一緒に帰る?」


「いいよ」


 普段、沙奈が誰とどうしてるとかなんて、気にしたことの無かったわたしだったけれど、どうしてか今日は、そういうことを聞いてみたくなった。


「沙奈って、付き合ってる?」


 って、聞いた途端に、ふたりは顔を見合わせながら苦笑いしてた。おかしなことを言ったつもりなかったけど、違ったのかな。


「違う違う! あたしが好きな人、別だから。比呂とは全然、違うし」


「あ、そうなんだ。知ってる人?」


「んー……まぁ、そうかな」


 何となく聞いちゃいけない空気だったけれど、誰なのか知りたくて聞こうとしたわたしに、比呂は遮るようにして、意外な事を言ってきた。それも、まるで別人なのかと疑う位の口調で。ホントに別人かも?

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