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立ち上がる勇気  作者: 月島裕
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兄弟の絆と兄の謎

ルナに連絡を入れアレクとアリッサが兄弟である事を伝えると戻るように言われキリも連れ光の空間を通りルナとリルの居る空間に戻った

「キリ急に呼び出してすまなかったな。」

「いえ、そんな事はありません。御用とは?」

「呪術師のシラーズを知っているか?」

「はい。今はカルヤ山の山頂付近に住んでいるはずです。」

「連絡は取れるか?」

「私の魔獸ルイに手紙を持たせれば二、三日で返事が来るか本人が現れます。」

「そうか。ならば手紙を出してくれ。私が会いたいと。」

「はい。分かりました。」

キリは自分の魔獸に手紙を持たせ旅立たせた

「あの…アリッサは?」

「今リルが着替えをさせている。しばらくすれば出てくるだろう。」

「分かりました。」

アリッサとリルが来るのを待つ間沈黙が続き浩人はその空気に耐えきれず話だそうとした瞬間、二人が現れた

「アリッサ!」

キリはアリッサに走りより全身を確認するかのように見つめ

「怪我はないんだな?体調は?」

「キリ兄さん。大丈夫…皆が助けてくれたおかげで。」

「本当に良かった…アレクも魔獸と浩人が見つけて助けてくれたんだ!」

「えっ!兄さんが?」

「そこのベッドに寝せてある。まだ目を覚まさないだろうがな。」

ルナが指差した方を見つめアレクの姿を見つけると走り寄って行った

「兄さん!兄さん!」

アレクの胸にすり寄り涙を流しながら「良かった…良かった…」と何度も呟いていた

「キリはアリッサとも知り合いだったんだな。」

「はい。幼なじみです。」

「そうか。アレクは何故あの場所に居たのだろうな……。アレクはしばらく前に村を出ていったと聞いていたのだが。」

「私はアレクが村を出ていたのは知りませんでした。村が襲われた事も……」

「マリが襲った……。マリを操っているのは多分タリアル……。」

「まさかタリアル様が……。何故ですか?あの方は…」

「それ以上は言うな。」

「タリアルって誰なの?」

話を聞いていた浩人が疑問を投げ掛けるがルナは黙ったままだった

キリが説明しようとするとルナがキリの言葉を遮った

「浩人。頼みたい事があるんだ。こちらに。」

「えっ!あっうん。」

キリから離され結局タリアルが誰なのか分からないまま終わった

「シラーズに会ったらこれを渡してほしいんだ。」

また前と同じ箱を渡された

「あのさ…気になってたんだけど、これって何が入ってるの?」

「魔法に近いかもな……。身代わり人形が入っているんだ。だからマリは無傷で立ち去れたんだ。」

「俺が間違えて渡しちゃったからだね。ごめん。」

「浩人のせいではない。奴の腕は確かだ。私たちも見ただけでは分からなかったからな。」

「マリって凄い強いんだよね?マリたちの仲間も強いって事だよね?俺で太刀打ち出来るのかな?」

「強いのは確かだがお前も段々実力をつけてきた。治癒魔法なんて私たちの比ではないじゃないか!」

「でも自分じゃよく分からないし…魔力は前よりはあるとは思うんだけどさ。勝てる気がしないっていうか……」

「そのための仲間探しだろ?」

「だってアルと二人じゃん!」

「いや。魔獸、キリ、アレク、アリッサ、シラーズが仲間になる。そして、もう一つのエルフ族に行ってもらう。そこのユリーカという娘を仲間に加えマリ達のいるカラミラ峠に向かってもらう。」

「なんか強制なんだね。」

「いや…運命という奴だ!御告げを受けたんだ。」

「そうなんだ…当てにならないね…御告げとか…」

「そういうな。私たちも色々調べて一番戦うのにベストなメンバーを探したんだ。でも御告げ通りになった。」

「そっか。やれる所までやってみるよ!所でさタリアルって誰?」

「………話したくない。時期に会うだろうから自分の目で確認しろ。」

「分かったよ。ルナが話したがらないって事はそれが答えて事だからね。」

そのまま無言で皆の所へと戻ってしまったルナを見つめているとアルが小声で話しかけてきた

【浩人。タリアル様はルナとリルの師匠だよ。やっぱりタリアル様が関わっていたんだね。】

「そうなんだ…やっぱり……」

自分が思っていた答えをアルに突き付けられ浩人は絶望に近い感情に打ちのめされた

“やっぱり…父さんが…なんで…”

アルは話し続けた

【タリアル様が相手だと僕も力が出せない…】

「俺も勝てる気がしない…。どうすればいいのかな?」

【シラーズが仲間になってくれるなら大丈夫じゃないかな。呪術師だから色々ね…】

「う…ん」

二人の間に沈黙が流れた

するとそこへアリッサが現れた

「浩人さん本当にありがとう!貴方のおかげで兄は救われました。」

「ブレスレットのおかげだよ。」

「えっ?」

「ブレスレットが太陽に反射して光ってたから見つける事が出来たんだ。それにキリに会えたから君の兄さんだって分かったし。皆のおかげだよ。」

「ブレスレットが……良かった…無理にでも兄さんに付けさせておいて……兄さん付けるの嫌がっていて村が襲われる前日に渡したんです。でもすぐに村を出ていったはずなのになんで村に居たんだろう…?」

「兄さんが起きたら聞いてみるといいよ。土の中に埋まっていたから、村が襲われたのに気付いて戻って来て襲われた可能性もあるから…」

「はい。本当にありがとうございました。」

「気にしないで!」

アリッサは礼を言うと兄の元へ戻った

浩人とアルも皆の元に戻りアレクが起きるのを待っている間に眠ってしまった

二人が寄り添って眠っているのを見てルナとリルが微笑み

キリが初めて見る二人の笑顔にビックリしていた

ルナもリルもいつも無表情で凛としていたからだ

浩人の存在が二人を変えたのではないかとキリは思っていた


そして時間が過ぎアレクが目を覚ました

「兄さん!」

「ア…リッ…サ?」

「そうだよ!良かった…目を覚まさないんじゃないかと思ったよ…」

アリッサは泣きながら目を覚ましたアレクに抱き付いていた

泣いているアリッサの代わりにキリがアレクに話しかける

「アレク無事で良かった。痛みはないかい?」

「あぁ…なんだかボーっとする…」

「なんで村に居たんだ?前の日に出ていったって聞いたんだけど。」

「……。なんでだったかな……。っつ。」

「大丈夫か?」

「少し頭が痛くなっただけだ……。」

浩人がアレクに近付き頭を触ると痛みは消え不思議そうに浩人を見つめる

「アレク。彼は浩人だよ。君を助けてくれたんだ。」

「ありがとう浩人。頭の痛みも消えたよ。」

浩人は微笑み会釈するとアルの隣に座り眠り始めた

「浩人も疲れているみたいだね。君が土に埋まって居るのを見つけてくれて治療して魔獸がここまで運んでくれたんだ。」

「そうだったのか…後でお礼を言わなきゃな……」

「村にいつ戻ったのか思い出せないのか?」

「………いや…村を離れて少しすると女が立っていたんだ。その近くにじぃちゃんが倒れていた……慌てて近付こうとしたら……女が……」

アレクは泣き出してしまった

「分かった……それ以上は言わなくていい!」

「兄さん……」

アリッサはアレクを抱き締め二人は悲しみを分けあっているようだった

「……ありがとうアリッサ……もう大丈夫だよ。」

「兄さん……」

「その事を見て村の皆に伝えなきゃと急いで戻っている時に捕まってしまって……そこから記憶がないんだ……」

「そうだったのか…でも君が無事で本当に良かったよ!」

「ありがとう…」

「マリの仲間にやられたんだろうな……命があって良かったな。」

「ルナ様、リル様。」

アレクはルナとリルに気付き慌ててベッドから飛び起き膝まずいた

「そんなにかしこまらなくてもいいぞ。」

「そうだよ!病人なんだから横になりなさい!」

ルナとリルに言われるまま、またベッドに横になった

「大体の事は分かった。またマカロ村に行って確認してきてほしい事がある。」

「はい!分かりました!」

「浩人が目覚めたら出発だ。それまで皆身体を休めておけ。」

「はい!」

3人は声を合わせて答えた

リルとルナは話が終わると違う部屋へと消えていった


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