消えた村と生存者
「浩人。師匠の存在は消えていたんだろ?」
「あぁ……母さんに確認したけど父親は居ない事になっていた。」
「母にこちらの世界に居たのか聞かなかったのか?」
「聞けなかった……。」
「そうか……」
二人は黙ってしまい沈黙がしばらく続いた
リルが和ませようとお茶を用意し皆でティータイム
「あの…」
「どうした?」
「私の村…マカロ村はどうなったんですか?」
「……。消えてなくなった。」
「えっ!」
「大爆発して村は跡形もなく消えてなくなってしまった。助かった人たちもいるが大半は殺されてしまったようだ…」
アリッサは手で顔を覆いながら泣いていた
「どうして……。私がもっと早く気付いていれば……。早くに…」
そういいながら泣き続けた
アルが泣いているアリッサを見て頬に近づき頬ずりをした
【泣かないで。アリッサのせいじゃないよ。】
「ありがとう…ありがとう…」
アリッサは優しくアルを抱きしめた
「アリッサ…ゴメン…俺の父さんが関わっているかもしれないんだ…本当にゴメン…」
「………。でも貴方のせいではないので謝らないで下さい。私の力不足です…。助かった村の人たちに会いたいのですが…」
「分かった。ライルに連絡してみよう。」
ルナはそう言って席を立ち何処かへ消えた
リルはお茶菓子を持って来て
「アリッサ食べて元気だして!私たちも出来る事はするから!ねっ!浩人!」
「俺に出来る事はなんでもする。」
浩人はアリッサの手を握りしめた
何故か手が光だしアリッサを光が包み込んだ
「暖かい……なんだか気持ちが落ち着いてきたような……」
アリッサはそのまま眠ってしまった
「無理してたんだね……魔力回復してないのに村の人たちの事を心配して治ったふりしてたのかもね……。ありがとう浩人。私じゃ魔力回復までは出来ないから…」
「いや俺は………。」
【浩人は凄い勇者で魔男なんだよ!僕も浩人に救われたよ。アリッサだって救われたんだ。自分を責めないで…浩人は悪くない!】
「ありがとうアル……。俺も皆に救われてる。ありがとう…」
浩人は涙が出そうになるのを必死にこらえた
もう涙は流さないと心に決めたからだ
浩人の成長にリルはビックリしていた
「すぐ泣いちゃう浩人が泣かないなんて不思議!」
「あははは。ひどいなリルは!俺だっていつまでもへなちょこじゃないよ!」
【浩人は頑張りやさんだからね!】
「でも人ってこんなにすぐ変わる?!あっ精神老化剤か!」
「それだけじゃないよ!皆が俺を変えてくれたんだ。だから皆を守れるぐらい俺も強くなるよ!」
【僕もまだまだ強くなる!】
「じゃリルも強くなる!うふふ!」
「リルもアルもそれ以上強くなったら俺必要ないじゃん!」
二人と一匹は笑っていた
するとルナが現れ
「なんだ楽しそうだな!アリッサは眠ってしまったのか…」
「俺が強くなるって言ったら二人もっていうから俺必要ないじゃんって話してたんだよ。アリッサは手握ったら寝ちゃった」
「そうだったのか。じゃ私も負けていられないな!」
「ルナまで!勘弁してくれよ!俺、倍の倍頑張らなきゃじゃん!」
「あははは!」
皆ビックリしてルナを見つめていた
ルナが笑う事なんてなかったからだ
リルでさえルナの笑った顔を見たことがなかった
「ルナが笑った…どんなにリルが笑わせようとしても笑わなかったのに……嬉しい…」
「リル!大袈裟だぞ!私だって笑う時ぐらいあるぞ!」
【でも僕も初めてみたよ!】
「魔獸まで言うな!恥ずかしいじゃないか…」
「みんな嬉しいだけだよ。ルナともっと仲良くなりたいんだよ!」
ルナは恥ずかしそうにうつ向いていたがリルが抱きついて離れないでいると、また静かに微笑んだ
その姿を見てアルと浩人も微笑んでいた
「あっ、忘れる所だった…ライルが今は村に来ないでほしいらしいんだ。怪しい奴等が彷徨いてるみたいでな…魔術も強力なのを張り替えて隠しているがお前らが来るとバレてしまうからだ。そうだ…アリッサには辛いかもしれないが仲間を守るためだからな……。」
「そっか……ライルにも無理は言えないし…危険な目に遭わせるわけにも行かないしな……。アリッサに誰が話す?」
「私が話す。アリッサも理由を話せば分かってくれるはずだ。」
「うん…」
【アリッサ辛いだろうな……。】
「でも仲間を失うよりは我慢した方がいいんじゃない?助けてくれた村まで襲われたら立ち直れなくなるじゃん…リルは堪えられない…」
「しばらくは眠っているだろうから大丈夫だろ。落ち着いたら連絡くれるみたいだから、その時会いに行けばいいさ!」
「そうだね。」
「浩人と魔獸には賢者のキリという男の所に行ってほしいんだ。」
「えっ?!賢者のキリ?」
「あぁマカロ村の近くに城跡があるのだがキリはそこにいるはずなんだ。キリは変わり者だが頼りになる奴なんだ。キリと一緒に呪術師のラニを探してくれ!」
「分かったよ。とりあえずマカロ村跡地周辺見渡してからでいい?」
「なんでだ?」
「亡骸とかそのままだろうから墓ぐらいはなって。」
「そうか分かったよ。気をつけてな。」
「了解!行ってきます!」
そう言って光の中へ入りマカロ村付近に到着した
村の残骸が粉々になった状態であちこちに転がっていた
亡骸も消し飛んだようで見当たらなかった
「やっぱり…あの爆風じゃ何も残ってないね…」
【そうだね…本当にひどい奴だよね…】
「あぁ……」
地面を見つめているとチラチラ何が見え目を凝らして見てみると太陽で何かが反射しているようだった
「アル……あそこ光ってない?」
浩人が指差すとアルは指差した方に飛んで行った
【浩人!人の手が土から出てるよ!】
浩人もアルの所へ走りより手が出ている所を堀始めた
“生存者ではないだろうな…怖いな…”
そう想いながら堀進めると顔が見えてきた
上半身の土を払い脇の下を持ち引き上げた
「良かった…」
【どうしたの?】
「いやさ、爆風で半分しかなかったとかだったらどうしようかと思ったよ。」
【それはあるよね…でもさ一応息してるか確認したら?】
「あっそうだよね。なんか亡くなってる前提だったね。」
浩人は恐る恐る手を口元へやった
「!! アル……息してるよ…」
【えっ!本当に?!】
「うん……。でも俺がダメなのかもだからアルもお願い!」
アルも恐る恐る近付いてみた
【!!本当に微かだけど息してる!ルナに連絡した方がいいよ!】
浩人は急いでルナに連絡しながら助けた男の人を見てみるとアリッサから貰ったブレスレットと同じ物をしていた




