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アデルガーム物語  作者: 逆回転
第一章
3/8

目が覚めると

ゆっくりと目を開ける。


空には木々の合間から、青空が広がっていた。


雲一つない快晴だ。


どうやら俺は地面に横たわっているらしい。


段々と思考がはっきりしてきた。


さっきまで見ていた夢は何だったのか?夢にしては随分と生々しかった。


まるで、自分自身が体験しているようで、某アニメに出てくる「シンクロ率」で言えば400%を超えている感覚だった。


まあ、それは置いといて・・ 

置いといちゃダメな気もするが、置いといて・・・


現状を確認しよう。なるべく早急に。


俺はインターハイの決勝で走っていた・・・うん。間違いない。


トップでゴールをきって、電光掲示板を見て、ガッツポーズ・・・そうだよ。俺、9秒台出したんじゃん!色々あって喜び損なっちゃったな。明日のスポーツ新聞の見出しは確定だな。


なのに・・・


「ぐるるr・・・・」


獣の鳴き声が聞こえる。うん。目が覚めたタイミングから獣臭いなと思ってたよ。


「よっと」


寝転がった状態から、勢いを付けて飛び起きる。


正面を見ると、犬を「かなり」大きくした生物を俺が見て威嚇していた。


(なんで、森の中で、こんなデカイ犬に襲われているんだ?)


どうやって競技場から、森に移動したのか全く分からない。


分からないが、取り敢えずこの状況をなんとかしないと、俺の命がやばそうだ。


それにしてもデカイな・・・四つ脚状態で立っているのに、俺と体長が変わらない。土佐犬のようにガッシリした体格でドーベルマンのような姿と表現すればいいだろうか?こんな犬種みたこと無いな?RPGに出てくる敵キャラと言われた方がしっくりくる。首筋を噛まれたら、ひとたまりも無いだろう。


(ん?)


デカワンコの後ろを見ると、そのミニチュア版が木の陰に隠れている。子供か?・・・ということは、こいつらの「縄張り」に突然入ってきた俺を排除しようとしているのか?そりゃあ悪かったよ。でも、こっちも気がついたら此処にいたので勘弁して貰いたい。


俺は思考を巡らせながら、デカワンコの目をじっと見つめる。野生動物(?)と目を合わせる事は一般的にどうなのか俺には分からないが「経験則」から目を合わせてみた。


すると、今まで威嚇してきたデカワンコが一瞬「ビクッ」として、目に敵意以外の感情を見せた。


(これはもしかして・・)


自分で言うのも何だが、俺は動物に好かれる体質だ。中学生の時に拾ってきた白いワンコも、人間不信なのか家族の誰にも触れさせなかったのに、俺にだけは心を開いてくれた。


動物園では、檻の中から逆に動物に観賞されたり、猫が大量に生息している島に降り立った時は、自分が「マタタビの生まれ変わりなんじゃ?」と思うくらいに群がられた。


(物心ついた時からって訳じゃなく、中学生ぐらいからなんだよなー。)


何を言っているのか、良く分からないかもしれないが、基本的に動物とは仲良くできる自信がある。その自分でも良く分からない特性が、このデカワンコにも効いているのかもしれない。オオカミや狐等の野生動物や、熊等の大型動物に試した事が無いので、何とも言えないが・・


弱気はいけない。よし!そーゆー事にしておこう。そーしよう。


俺は更にデカワンコの「目」を「じー」と見つめてみた。


すると、デカワンコの脚がガタガタと震え出したと思ったら


「きゅーん」


と、その姿からは想像できない声を上げて、ペットのように伏せてしまった。


(あれ?なんか想像と違う・・・)


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