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アデルガーム物語  作者: 逆回転
第一章
1/8

プロローグ

「位置について」


競技場内の喧騒が、スターターの声と共に一瞬で静まり返る。


「よーい」


高校男子インターハイ100メートル決勝。

全国から集まった「走り自慢」達が一斉にクラウチングスタートの体勢を作る。


パンッ


ピストルの音と共に、全員がゴール目指して走り出す。


4レーンを走る俺は、20メートル程地面を見ながらピッチ走法(歩幅を短くし回転数を上げた走り)を行う。そして、スタートダッシュの前傾姿勢から、中間疾走の体勢に切り替え正面を向く。


左右に人影はない。


目の前には夏の太陽と、無人のゴールのみ。


文句無しのトップスタートだ。


自分で言うのも何だが、中学生1年生から今日までの6年間、血の滲む様な努力をしてきた。時代錯誤とも言えるトレーニングをこなしてきたが、1度たりとも怪我をした事がない。よく疲労骨折をしなかったなと自分で不思議に思うくらいだ。父さん、母さん、丈夫な身体に産んでくれてありがとう。


信じられないかも知れないが、自己ベストは10秒00


高校生ながらアジア記録を持っている。


高校生活最後の夏。陸上を始めて以来、ずっと思い描いていた「目標」を「今日こそ達成してやる」という気持ちで一杯だった。


「五十嵐の奴!やっぱ速い!今日も10秒前半か!?」


観客席から聞こえてくる声に心の中で否定を返す。


違う。俺が目指してきたのは10秒の壁。日本人初の9秒台を出す事だ。


ゴールが徐々に近づいてくる。


60メートル


体が軽い。後半戦に入っても、体はいつも以上に動く。視界の端が少し白く見える・・今までにない現象だ・・かつて無い集中状態という事だろう。


80メートル


90メートル


・・・


この感覚はイケる!


最後の力を振り絞り、胸をゴールラインに向かって突き出す。


電光掲示板を見ると9秒95を示していた。


観客席から驚きと賞賛の声が響き渡る。


人生で掲げていた「2の目標」の内1つを達成した事により感情が爆発した。


視界の白い靄が広がった気がするが、興奮で気にならなかった。


右手を上げ、普段なら絶対にやらないガッツポーズを観客席に、いや「ある人物」に向けてした瞬間。


目の前が真っ白になった。


次の瞬間、日本で1番足の速い高校生

五十嵐 真人は「地球上」から姿を消した。






初投稿です。拙い文章で申し訳ないですが、宜しくお願いします。

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