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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第十七章 文化祭
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第八十六話 文化祭始まるよ!

 さて、ついに来ました文化祭!

 演劇部は体育館を一番最初に利用するから、校長先生の挨拶を聞きながら僕らは大道具をセットするなど準備を進めています。

「舞さん、服これでいいかな?」

 と、僕は自分の着ているメイド服を見まわす。特におかしいところは……男が着てるくらいかなあ。

「うん、大丈夫! ばっちり似合ってるから!」

 はは、まあいいか。

 にしても、学園祭ということで地域の人など学生以外の人もいるから緊張するな。

 それに、リハーサルで失敗はありませんでしたが、本番がどうなるか心配です。

 でも、今まで頑張ったんだから、絶対に成功させるぞと意気込みました。


 そして、公演五分前、衣装に着替えた僕は舞台袖からそっと外を覗く。

 思ったよりたくさん来てるなあ。あ、朱音さんと美狐さんいた。母さんと兄さんも。

 うう、やっぱり身内を見ると緊張する。

 そこでポンと肩を叩かれた。

「空狐くん、大丈夫、大丈夫だから」

 振り向いたら、そう舞さんが笑いかけてくれた。その舞さんも少し手が強ばってるように感じる。

 それを感じて、僕だけが緊張してるんじゃないと少しほっとした。

 そうだね。後はやれる限りのことをするだけだ。

 僕は気合いを入れ直す。

「ほら、集まって!」

 と、そこで先輩がみんなを呼んだ。僕らも戻るとこほんと咳払いをした。

「えー、では、これから私たちの成果をお客さんに見せます。練習してきたことを見せてみんなをビックリさせよう!!」

 と、桜子先輩が笑う。

『はい!』

 それに、みんなが気合いの入った返事を返す。

「では各員配置について!」

 先輩の号令にばっと、みんながそれぞれの位置に移動した。

 よし、やるぞ!



 そして、公演が始まる。

 幕が上がると共に僕はモップ片手に舞台に飛び出す。

「急げ、急げ」

 僕は魔王の従者ななせとして、魔王トワの館の掃除をする姿を演じる。

 と、そこに魔王トワを演じる舞さんが出てくる。

「ななせ、掃除は終わったか?」

 と低く声を作った舞さんが問いかけてきた。

「はい、トワさま!」

 僕も笑顔で返す。ななせは拾ってくれたトワに、感謝しているって設定だからね。

 よしと頷く舞さん。

「なら、私の手伝いをしてくれ」

「かしこまりました!」

 僕らは舞台袖に引っ込む。

 そして、袖に入って溜まってた息を吐き出す。最初の場面っていうのもあるけど、すっごく緊張したあ!!

 二回目の公演だから、少しは大丈夫だろうって思ったけど全然そんなことはなかった。

 むしろ一回目は生徒だけだったけど、今は外から来てる人もいるから、より緊張する。

 大丈夫、大丈夫だ木霊空狐。リハーサルはうまくいったんだから、今度も大丈夫。


 そして、話は進んでいく。と、一応物語の説明をしておこう。これは隠居する魔王トワが、一人の少女ななせを拾って従者にしたという設定。

 ハルが設定を説明した時、刹那くん少し複雑そうだったけど、どうしたんだろ? それに、役も立候補しようとして止めてたし。

 ななせは魔王という不吉な呼び名に反し、優しいトワのために一生懸命に働き、充実した毎日を送っていた。だが、ある日、近くの村にななせたちが買い出しに来た時に、その日常は破綻する。

 異端を狩る教会の聖騎士が、その村に訪れており、魔王であるトワを追ってきたのだった。

 なにもしていないというのに、しつこくトワに迫る教会の聖騎士。それから逃れようとするトワ。だが、ある町でトワはななせを置いていってしまう。

 それは、彼女を巻き込みたくないから。大切に思う彼女には幸せになってもらいたいから。

 だが、ななせは自らの力でトワを追ってきた。

「なんでついてきた?」

 トワのセリフに微笑みを作る。

「それは、私がトワさまの従者だから、だからお供します。この大地の果てまで……」

 それが、ななせの出した結論。平穏な世界よりも一生トワと共に生きることを選んだ。

 そうかと頷くトワ。

「なら、ついてこい。その命が尽きるまで」

「はい!」

 トワのセリフに頷く。

 そして、ナレーションとともに、みんなが舞台に出てきます。

『演劇部、"魔王と一緒"でした』

 きれいにみんなが揃ってお辞儀をすると、盛大な拍手が響きました。


 演劇終了後の舞台裏。

「みんなお疲れさまー!!」

 桜子先輩の言葉とともにみんながわー!! と歓声を上げる。

 確かに大成功。正直、リハーサルよりもうまくいったと僕は思う。ヒロイン役としてはすごくほっとした。

「やったね空狐くん!」

 舞さんが満面の笑みで僕の手を掴んで上下に振る。

「舞、お……トワ役御苦労さま」

 と、刹那くんが舞さんの肩を叩く。

 僕らはお互いに今日の星光を讃えあう。そこでがちゃっとドアが開く。

「御苦労さま、みんなすごくよかったよ」

 と、朱音さんが準備室に入ってきた。

「朱音先生!」

 みんなが慌てて並ぶ。

「先日はご指導ありがとうございました!」

『ありがとうございました!!』

 みんなで揃って礼をする。

 実は、朱音さんは合宿の後もちょくちょく練習に見てくれてたんだ。

「ううん、私はちょっと手伝っただけ。今日の成功はみんなの力だよ」

 と、朱音さんがほほ笑む。

「いえ、先生がそう思われてても、あの指導が今日の成功に繋がってます!」

 桜子先輩が憧憬の目で朱音さんを見る。

 ふと思ったけど、桜子先輩ってもしかして演劇とかの道に進むのかな? 練習はいつも一生懸命だったし、ちょっと気になるかも。

「空狐、舞、おめでとう」

 と続いて美狐さんも部屋に入ってきた。

 ただ、僕を見ると、ぶほっと吹きだしてお腹を抱える。

「改めてみて思うけど空狐。あんたのメイド服とドレス、無駄に、似合ってたわよ……くくく、アッハハハッ!」

 あー、言わないでください。自分でも半分諦めてるとはいえ、人に指摘されると余計に哀しくなります。と、高笑いをする美狐さんに心の中で訴える。

 にしても美狐さんって、こんな高笑いするんだ。クールに見えて、この人って意外と感情表現が豊富だよなぁ。

「それにしても、やっぱりあんたたちお似合いね。演劇見ててよく思ったわよ」

 目許に溢れる涙を指で払いながら、美狐さんが感想を述べた。にやにやとした笑みは相変わらずで。

「はい、ありがとうございます!」

 と、舞さんが美狐さんに笑顔で返す。

 お、お似合いかあ舞さんと……すごくうれしい。

 でも、舞さんはどう思ってるのかなあ?


 そして、着替えを終えた僕らは美狐さんも入れて校内を散策しようとして、

「ん? アルトは?」

 へ?

 いつの間にかアルトちゃんがいないことを、美狐さんの言葉で気づいたのだった。

鈴:「ひ、久しぶりに狐火投稿できた……」

刹:「ほんと久しぶりだな。約三ヶ月か」

鈴:「色々忙しかったのもあるけど、うう、こんなペースでほんとに完結するのかなあ?」

刹:「まあ、頑張れ。うん」


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