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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第十四章 舞の頼み、そして挑戦
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第七十二話 僕と舞さんの口論

 舞さんのサプライズパーティーを終えて数日後、僕はいつも通り訓練を受けに天野邸の『アトリエ』に。舞さんも貰った杖の調子を見るために来ていたのだが……


 アトリエ内の砂浜で、舞さんがオートマチックタイプの弾装を杖に取り付ける。そして、一回だけガシャっと給弾。

「よろしくねムーンライト」

『よろしくお願いします。マイマスター』

 返事を返すムーンライト。あ、本当にAI入ってるんだ。無駄にすごいことで……

 僕は鋼糸の練習をしながら見るともなしに見ていた。

 大体十メートルほど離れた場所にターゲットとなる、二色に塗り分けられた七つの丸太が海面から突き出ている。

 えっと、ターゲットが四つ、障害物が三つ……密集部は斬るのは後回しかな。先にそばのを引っこ抜いてどかすか。別にどかしちゃいけないなんて言われてないし。

 僕はそう結論して絡めようと鋼糸を投げて……

『レディ』

「スターダスト・バスター!」

 真横から強い魔力反応とそれに伴う凶悪な光が視界を焼いた。すぱんと力加減を誤って目標を切断してしまう。

 なんだろう、今、すごく見逃してはならない事態がそばで起こっとるようだが……

 あえて僕はそっちを見ないように意識して、

「うわ、舞すごいわね。これだけの術を制御できるんだ」

 イヴが舞さんに賞賛の声をかける。

「そうね。たった一カ月でここまで腕を上げられるなんて思ってなかったわ」

 朱音さんが感嘆の声をあげ、

「まいちゃんすごーい!」

 アルトちゃんが純粋に尊敬の念を言葉に籠める。待て。色々待て君たち。

「俺が作った杖を使ってるから当然! と言いたいけど、こりゃ才能だな」

 と刹那くんが感心し、

「えへへ、そうかな?」

 と嬉しそうに舞さんが笑う。

「やっぱり待ったあ! あんたらなにしとんの!?」

 我慢できずに振り返ると先端から煙が出て、横のパーツが展開して放熱しているムーンライトを持った舞さんと、その舞さんを囲む三人。

 みんなぐっと指を立てて、

「舞さんを誉めてる」

「まいちゃんかすごいって言ったんだよ?」

「舞さんがすごいって言った」

 三人とも待とうか。だけどすぐに追い討ち。舞さんが胸を張る。

「魔術の練習!」

 うん、君ら色々待とうよ。むしろ待て!

「なんで攻撃魔術教えてるのさ!? 確か舞さんには手品用の魔法を教える筈だったよね?!」

 僕の主張に朱音さんが渇いた笑みを浮かべる。

「いや、最初はそのつもりだったんだけど……」


 だいたい一週間前、

 むー、と練習用の杖を持って舞が唸っていた。

「どうしたの舞?」

 私が声をかけると舞は頬をかいて、

「えっと、もう少し派手なのできないかなあ〜って思っちゃって」

 と零す。うーん、そう言うなら……

「砲撃魔術覚えてみる?」

 と聞いてみて……


「結果、熱が入り過ぎちゃって……」

 てへっと可愛く笑う朱音さん。かわいく笑ってもこの心の炎は消せませんぜ?

 それから舞さんがむうっと唸る。

「いいじゃん私が知りたいから教えてもらってるんだから」

 少し怒ったように言うけど、でもなあ……やっぱり心配だ。

「付き焼き刃だと逆に危ないし、あまり舞さんがこっちに関わるのも心配で」

 僕がそう宥めようとするけど、

「いいじゃん別に。私がしたくてしたんだから空狐くんが怒ることじゃないでしょ!」

 舞さんが怒ったように言う。そ、そりゃそうだけど……

 うう、これ以上言ってもかたくなになるだけかな? なら少しの間様子を見ておこうかな?

 僕はそう決めて、

「それに、空狐くんの方がよっぽど心配だよ。いっつも負けてるじゃん!!」

 舞さんの言葉にちょっとカチンと来た。

「ま、舞さんに心配されるいわれはないよ! 僕はこれでも子供の頃から鍛えてるんだからさ! それに今までのはみんなが強かっただけだよ!」

 よく考えると、ここ数カ月に戦った全員僕より格が上だったなあ……非殺傷設定とはいえ、よく生き延びた僕。

「だけど、この前刹那くんにまでぼこぼこにされちゃったじゃん。あの刹那くんに!」

「せ、刹那くんは普段ああだけど、実はすごく強いんだよ! 仮にも特級だよ特級!」

 僕らの言葉に刹那くんが膝を抱えて泣き始めたけど気にしない。

 僕らの口論はまだ続く。

「ふーんだ、どうだか!! 私なら勝てるよきっと!」

「な! ちょっと待て舞さん! それ俺が弱いと思うのか!」

 復活した刹那くんが叫ぶ。

「だって、いっつも朱音さんに尻にしかれちゃってるじゃん!!」

 それは単に弱み握られてるからじゃ? と、言いたいけどこれは勝機!

「ふ~ん? そお言うなら僕の前でやってみせてよ。もし負けたら攻撃魔術覚えるの禁止!」

「いいよーだ! やってみせるよ!」

 舞さんはあっさり条件を呑んでくれた。一方刹那くんは舞さんの言葉にいじいじとのの字を書いているのだった。


 こうして、舞さんの攻撃魔術習得を賭けた戦いが決まるのであった。

舞、刹那と戦うことになるの回。

予定では彼女の意外な才能を垣間見る予定。

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