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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第十二章 夏休み
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第六十一話 天月の能力

 僕はいきなりの状況に口をあんぐり開けてしまう。あれ? 僕たち地下室にいたはずだよね? でもなんでいきなり海に囲まれた塔の上に?

「ここは結界で作った圧縮空間だよ」

 僕が混乱していると朱音さんがさわやかな笑顔で教えてくれる。

「圧縮空間?」

 うんと朱音さんが頷く。

「結界でかなり広い空間を圧縮してこの場所を作ったの。何重にも結界補助を重ねてるから余程のことがないと壊れないよ」

 ふへ〜、そう言えば前に聞いたことがあるなこんな研究。

 でも確かまだ実用化されてないんじゃなかったっけ?

「まあ、これはまだ研究段階で外の二時間分使ったら丸一日は使えないんだけどね」

 残念そうに朱音さんが苦笑する。現行技術ではそれが限界か……ってあれ?

「外ではってどういうことですか?」

 ああっ、と朱音さんが僕の問いに頷く。

「ここでは時間も圧縮されてるの。外の一時間はこっちでは一日だよ」

 な、なんと!? そんな恩恵が!

 んっ? そういえば……あまり驚いてない舞さんを見る。

「舞さんは知ってたの?」

「うん。この前からここで勉強してたよ」

 って、ことは舞さんが朱音さんに魔法を教えてもらい始めたのは一週間前だから、もう二週間分教えてもらってるってわけか。しかも、おそらくだけど休憩を除けばそれこそ二日分の時間でみっちり。

「もう式の勉強も始めたよ」

 と舞さん。

「舞って物覚えがよくてね、三日目、つまり六日で空気中のマナの魔力変換を覚えちゃったよ……さすがにびっくり」

 へ〜、すごいなあ。僕は物心ついた時からできたけど、人間ならある程度訓練必要みたいだし。

「それじゃあ、訓練始めよっか。あ、舞は四階でこの前の課題やってて。私は空狐を訓練部屋に案内するから」

 はーいと舞さんが返事をしてそばにある階段で下に降りていく。それを見送って朱音さんはくるっとこっちに向き直った。

「じゃあ私たちも行こうか」

 そして、朱音さんに連れられて僕も階段を降りるのであった。



 連れてこられたのは一階。目の前には南国リゾート顔負けの綺麗な砂浜が広がっていた。

 ……もう突っ込むの止めよう。でも、一言。あなたたち、単に海で遊びたかったからこれ作ったんでしょ?

 そして、脱力しそうな僕に、

「じゃあ、天月の他の姿見せてもらえないかな」

 なんて朱音さんがいってきた。はい?

 朱音さんの要請に僕は視線を逸らす。

「ナ、ナンノコトデスカ〜?」

「いや、棒読みになってるから……大丈夫。私はもう天月については知ってるから」

 ……木霊家の秘密なはずなんですがねえ。天月のことは。

 まあ、イヴも知ってたし、母さんたちとも付き合い長そうだから知っててもおかしくないかあ。

「天月、木霊家が代々受け継ぐ神剣。特性は形状変化。現在の名前は真名を守るための守護名、本来の名は」

『ストーーップ!!』

 イヴと一緒にストップをかける。まずいです! それ以上言われるのはまずいですよ!

 朱音さんはごめんね〜と笑いながら謝ってくる。

「で、なんで見たいんですか?」

 とりあえず、理由を聞きたい。

 信頼できる相手だけど、手の内をあまり見せたくないってのは少しある。できたら見たい理由を教えてもらいたい。

「しばらくの間は仕事も手伝ってもらうし、天月は持ち主によってできる形状変化が変わってくるからね。できたらどんなことできるか知りたいからかな」

 ああ、そういえばそうだった。僕は三つの形態だけど、母さんは二つだけだったもんなあ。

「じゃあ、見せてくれる?」

「はい」

 今度は素直に頷くのだった。


 砂浜で天月を構える。後ろで朱音さんが僕の様子を見ている。

 まずは二ノ太刀『夢想』から。

 鞘を左手で逆手に持ち、天月と同調。一瞬で鞘が小太刀ほどの長さの刀に変化し、それを軽く振ってみせる。

 さらにそこから三ノ太刀『桜花』へ。

 両手の刀の柄頭同士を合わせて念じると形状が変化。一体化し、僕の身長よりもずっと長い、だいたい二百三十センチほどの弓になる。これは弓自体が刀にもなっており、いざという時に変化させなくても接近戦に対応できるようになっている。

「と、この二形態ですが」

 振り向くと朱音さんはじっとこっちを見ている。

「……あのさ、天月の形態に槍ってないの?」

「? ないですけど?」

 なんだろう? 僕が質問に首を捻る。

「近、近ときていきなり遠ねえ……中距離はどうするつもり?」

 あ、そういうことか……

 確かに、中距離用の武器がないな。

「少し、装備のバランスが悪いと思うよ。新しい形態考えといた方がいいかもね」

「新しい形態ですか」

 一応魔術があるけど、決定打を撃てる武器も準備した方がいいかもしれない。まあ、二ノ太刀の夢想はそれ用の仕掛けがあるけど、これだって言えるほどじゃないしね。

 僕は考える。中距離用の武器かあ。新しい形態を作るのは時間がかかるからできる限り早めに作り始めた方がいいだろう。

 ならどんな武器がいいかな? 槍もいいけど、母さんみたいな連結刃もいいよなあ。

 少しそんな思考に耽るのであった。

鈴:「どうもみなさま作者の鈴雪です」

刹:「相方の刹那です」

鈴:「今回、砂川さんからご質問を受けましたのでこちらのスペースで回答させていただきます」

刹:「え〜、『刹那と朱音さんは神様なんですか?

(何話か解らないけど彼らの会話に入ってたので)』」

刹:「来たな……」

鈴:「来ちゃったな……じゃあ、刹那解説よろしく」

刹:「おう……ではお答えしましょう。一応俺と朱音は神です。千年前くらい前に神格を得て人間から神なりました。まだ、若輩の身だけどね」

鈴:「くわしいことを書くと長くなってしまいますので今日はこの辺りで失礼します。また、ご質問などがございましたら、感想または作者ページのメッセージからいつでもどうぞ。それでは、この番組は自衛隊人外部門と」

刹:「常磐学園空狐ファンクラブの提供でお送りしました」

鈴:「それでは、また次回に。さよなら〜」

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