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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第十章 力をなくしたイヴ
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第五十五話 小さいって不便ね

 手当たり次第に探査魔術を使ってイヴを捜すけどなかなか見つからない。

 さっきみたいに一気に二百ぐらいでやりたいけど、あくまでそれは最大の範囲。三十メートル以内にしないとはっきりわからないし、時間もかかって魔力も喰うし……

 あーもう、こうなったら仕方ない。

 私はケータイを取り出し、


 只今昼休み、僕はお弁当を食べてから教室で刹那くんとしゃべってた。舞さんは途中から話についていけなくなってクラスの女子と話している。

「吹雪や不知火もいいけどやっぱ武御雷の方がかっこいいよな」

「だね。僕は月○中尉の赤が好きだな」

「俺は冥○の紫の武御雷だな」

 ただいま僕らは好きなロボットものの話をしている。純国産系列の機体はいい。ロシア製もいい。ただアメリカ製は嫌い。

 そんな風に議論していたら、刹那くんのケータイが鳴った。どーでもいいがギャルゲのメロディーっての止めといた方がいいんじゃないか? まあ僕も好きな曲だから止めないが。

「なんだ、朱音?」

 刹那くんがケータイを取る。なんの用事かな?

「なん……だと?」

 刹那くんの表情が変わる。眉間にシワなんか寄ってるよ。一体どうしたんだ?

 ああ、わかったと言って刹那くんが電話を切って椅子から腰を上げる。そしてボソッと一言。

「イヴがいなくなったらしい」

 はい? イヴが? 力無くしてるはずの?

「朱音が買い物に出た一時間の間にだそうだ」

 ……うそん。

 僕と刹那くんは顔を合わせて、走り出した。いきなりの奇行に舞さんやクラスのひとたちが目をまん丸にしていたが、気にしない。

 あんのバカ! どこ行ったんだよ!?


「くしゅん! うう、きっと誰かが噂してるのね。なんて罪作りな私」

 なんて冗談を言いながらパタパタ飛ぶ。できたら空狐や朱音が私を探してくれてたらいいけど……

 あの後、私は誰かが窓が開けられるのを見計らってバスから飛び出した。一応その前にちゃんと認識率を変化させて、おばあちゃんに乗るバスが違うことも言ってからね。さすがに放っとかないわよ。まあ、いきなり妖精が現れたのには驚いていたけど。

 そして、すぐにガードレール沿いに駅まで引き返して今度こそ常磐町に向かうバスに乗ることができた。何回も行き先を確認したから今度こそ大丈夫。で、今はどこか座るのにいい場所を探してるんだけど……

 私は誰かの手が当たって叩き落とされてしまい、顔面から床にぶつかった。その上、スカートも捲れてしまう。

 しかし、私を叩き落とした如何にもサラリーマンといった風情の中年男はまったく気づいてない。ええそうね、あなたは悪くないわ。だって私が見えないんだから仕方ないもの。でもね、私はすごく痛かったのよ。それにお気に入りのドレスが余計に汚れてしまった。だから……

「これで許してあげる!」

 体を起こし、床を蹴って飛び上がり、その男の手の甲に噛みついた。

「いでっ!」

 男が突然の痛みに手を降る。その勢いで私は投げ出されてちょうど空いていた席に落ちる。も、もうちょっと考えて行動すべきだったわね……目を回しながら私は頭を振る。

 男は噛まれた手をさすりながら周りを確かめる。ふふん、犯人は見えないから探しても意味ないわよ。

 まあ、ある程度溜飲は下がったから勘弁してあげるわ。さてと、バス停に着くまでのんびり……んっ? 暗い?

「どっこいしょ」

「ぴぎゅ!?」

 椅子に座ろうとしたおばちゃんに押しつぶされてしまった。

 重い、重い、重い〜〜!!

 私はじたばた暴れるけど悲しいかなこの勝負はまさに人間VS象、勝てるわけないわね……ってなに諦観してんのよ私!?

 もう一度暴れようとして、おばちゃんが腰を上げてこっちを向く。

「おかしいわね。なにか潰したと思ったのに」

 いいえ、潰してました。イヴちゃんというかわいい妖精を、

 まあいいわ。今は仕返ししても痛い目会うだけってわかってるから許してあげる。でも次はないわ!

 ビシッと指を突き付けてポーズを決め、またおばちゃんのでかいお尻が迫ったから慌てて逃げ出した。く、小さいってこんなに不便だったのね!


鈴:「なかなかイヴも苦労してんな〜」

刹:「まあ、俺たちが当たり前にできることができないからなあ」

鈴:「小さな妖精さんに愛の手を〜」

刹:「それでは、また次回に会いましょう」

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