第四十七話 朱音さまの仕返し・臨終
朱音が俺の黒歴史を発表した日の夜、俺はパソコンを起動させて自分のサイトを開いた。
もう安らげる場所はここしかない。そう思って今日は更新ができなかったから先に新しいSSをアップして、それから拍手を確認する。
何人かから拍手が届いていて、日記に返事を書こうとして……
「えっ?」
一つの拍手に俺は固まってしまった。
そこに表示された名前は常連さんの『ソラ』さんだったのだが……
『今日はお疲れ様。大変だったね。まあ、朱音さんもスッキリしたと思うからしばらくは大丈夫じゃないの? by空狐』
あいつ、うちの常連だったのか……
さららと自分の体が灰になって崩れた気がした。
次の日の晩、宅配便で荷物が届いた。朱音は晩御飯の準備をしていたため俺が代わりに対応する。抱えるくらいの大きさのダンボールで贈り主は不明。割れ物注意とだけ書かれていた。
不審に思いつつダンボールを開ける。衝撃から中身を守るためのプチプチやシートなどをめくると、その中には……スッポン、鰻、山芋、ツチノコの尻尾が入っていた。
さらに調べると段ボールの底にはドリンク剤が大量に並んでいる。マムシドリンクとツチノコドリンクがギッシリ。
この世界ではツチノコは二年前くらいに発見されている。その尻尾は栄養価が高く滋養強壮効果が非常に高い。味の方も一級品でお値段もなかなか。これを取り扱ってる店はまだ少なく、ドリンクも最近発売されたが、値段は四千円ほどするはずである。それが、こんなに……
そして、中に一枚のメモが置いてあった。
『これ飲んで食べて頑張ってね♪ by木霊』
…………すぐに処分しなければ!!
大急ぎでダンボールを持って逃げようとして、
「あらあら、なかなか高価なものをいただいちゃったわね」
すぐ後ろから声がした。ゆっくりとギリギリ音を起てながら、後ろを振り向くと……そこにフライパンを持ったままの朱音がいた。その顔はすごく楽しそうな笑顔であった。
「これは、送ってきた人のために今夜は頑張らないとね〜」
そう言って、朱音はダンボールを抱えたままの俺の首筋を掴んでずるずると引っ張っていくのであった。
次の日……
「せっ、刹那くん、どうしたの?」
教室に入って、席に行くと、刹那くんはげっそりとして机に突っ伏していた。な、何があったんだ?
刹那くんがノロノロとこっちに顔を向ける。目の下にはクマが浮かんでいた。いや、まじで何があったんだ?
そして、刹那くんはじっと僕を見て……
「怨むぞ、空狐、お前の兄貴か母ちゃんを」
そう言ってまた机に突っ伏する刹那くん。
……母さん、兄さん、あんたら刹那くんに何をしたのさ。こんなにやつれることを。
その日の帰り、買い物をしていた朱音さんに会った。刹那くんとは逆になんかつやつやぴかぴかなような……そんな感じを受ける。
朱音さんは楽しそうな笑顔で、
「あ、空狐、月狐か銀狐にありがとうって伝えといて」
それだけ言うと朱音さんはよほど上機嫌なのか鼻歌を歌いながら買い物に戻って行った。
いや、まじで何したのさ、うちの家族は?
刹:「やっと、終わった……」
鈴:「はい、ごくろうさま刹那。次回もよろしく」
刹:「まだなんかあるの!?」
鈴:「これからずっと朱音の尻に敷かれることになるから♪」
刹:「ぎにゃああああああ!!」
やっと刹那弄り編終了、評価、感想おまちしておりまーす。