第三十五話 ギャンブルは計画的に
仕方なくちょい離れた龍馬たちの部屋に訪れる。
「やっほう。龍馬、ハル」
ノックもせずに部屋に入る。と……
龍馬が土下座してましたーーー!!
部屋はとてつもなく重い空気。な、なんだこれ?
僕だってそれなりに修羅場はくぐっている。だけど、この空気はそれでも戦慄が走るほどだ。
「やあ、空狐何しにきたの?」
部屋に入ってきた僕をハルが底冷えする目で睨んできた。
あまりの威圧感に一瞬で土下座の体勢に。なんとなく、龍馬が土下座してる理由がわかった。
ううう、これなら舞さんと部屋で二人っきりの方がまだ気が軽いよ。
よ、よし! こ、こうなったら!
「ねえ! ハル、ポーカーしようよ!」
きらんとハルの目が光って、にやりと笑う。
「上限は?」
「千円」
「よろしい」
よかった……彼女が根っこからのギャンブル好きじゃなければ使えない手だったよ。
楽しそうにカードを切り始めるハル。僕の横では何でか頭を抱える龍馬。
この後、僕ら三人でポーカーを始めるのだが、もし、この時僕に未来予知の能力があったならすぐにでも逃げ出していただろう。
ところ変わって空狐と舞の部屋。
イヴと舞はなんとなく二人で外の景色を眺めていた。
「空狐って意気地なしね」
最初に口を開けたのはイヴだった。
舞は苦笑いする。
「そうだね」
そう言ってから二人ともまた窓の外の風景を眺める。
「がんばってね」
「うん」
あとは静かな時間が二人の間を流れていくのだった。
龍馬とハルの部屋にて、十分後。
「…………」
僕は燃え尽きて外の景色を眺めていた。
現在僕は二万も負けてしまっている。なんやねんこれ。
強いどころの話ではない。これはすでに強さを超越している。
龍馬がずっと下りていた理由がなんとなく理解できた。
「あのさ、空狐」
ハルが僕の肩を突っつく、
「君、ポーカー向いてないよ。すぐに顔に出るもん」
すいませんに顔によく出るタイプで。
あと、とさらに付け足される。
「君さ必ずカード同じのそろったらそろえるよね。ばればれだよ」
……まじ!?
ためしにもうワンプレイ……本当だ。無意識にやってた!
はあ、だからあんなに『ツーペア』とか『ストレート』って言い当てられちゃったのか。
恐るべし、ハルの観察力。
そして、また敗北。ふふふ、でも次からはその手ではわからなくなりますよ。
「他にもいっぱいあるよ? いい手なら前のめりになるし、悪い手なら心待ち少し引くし」
……二度とハルとポーカーするもんか!!
僕は固く決意するのであった。
と、そこでこんこんとドアがノックされる。
「お食事の準備ができました」
僕はその言葉に助かったと思ったのだ。
鈴:「どうも! 作者です!」
空:「空狐です」
鈴:「次で新キャラ追加です!」
空:「しかも、僕がよ〜っく知ってる相手。何だかなあ」
?:「まあまあ。クーちゃんと久しぶりに会えるんだから」
空:「ちゃんと次回で出てください!」
どうも、鈴雪です。
感想、ご指摘、何でもいいのでお願いしま〜す。