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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第一章 始まりの日
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第一話 懐かしい顔

「じゃあ、行きましょうか」

 僕は荷物を持って立ち上がる。

「うん。でも、今日のご飯の材料買わないといけないから、先にに買い物に行こうよ」

 まあ荷物もそんなにないし、いいかな。

「わかりました」


 三十分後、商店街の雑踏の中。スーパーで大体の買い物を終えて歩いてる。

「大体の買えたし、そろそろ家に行こっか」

「は〜い」

 朗らかな顔。きっと、満足するぐらい買えたんだね。つーか、満足してくれないと僕の腕が死ぬ。

 正直予想より多めだったもので、荷物を持った両腕がプルプル震えてる。背中の荷物できるだけ少なくしてよかった……

「多いなら持つよ?」

「いえ、これぐらい大丈夫です」

 強がって歩き出して、アーケード街の出口まで、

「あ、舞ー」

 そこでどこかで聞いた声。振り向くと、一人の女の子が駆け寄ってくる。

「ねえ、例の話なんだけど」

 その女の子は、僕を見ると驚いたように目を見開く。

「おい、ハル。いきなり走り出すなよ」

 今度は男の人だ。

「ハル?どうし……え?」

 彼もこっちを見ると、黙った。

「やあ、龍馬りょうま、ハル、久しぶり」

 二人とも僕の幼馴染だ。女の子の方は柊 ハル。男の子の方は秋山 龍馬

 五年ぶりだけど、二人とも変わったなあ。

 龍馬は僕よりずっと背が高く、体もがっしりしている。男らしくて正直うらやましい。そして相変わらずきれいな茶髪だ。

 ハルの方は昔、ショートだった金髪が長くなって女の子らしくなっている。しかし残念ながら舞さんほどあそこは成長してないようだ。そして瞳から元気が相変わらずあふれている。

 ちなみにハルは舞さんと同じ制服。龍馬も基本は同じ制服。二人とも同じ学校か。

「え、空狐?」

 龍馬が僕を指差して聞いてきた。

「うん、そうだよ」

「うわー、久しぶりだね〜」

 ハルが、ニコニコ笑って再会を喜んでくれた。

「五年ぶりだけど、今回はどれだけこっちにいるの?」

 ハルがそう聞いてきた。あれ?

「舞さん、あれ(・・)まだ二人に言ってないの?」

「うん。明日驚かしてあげようと思ってたんだ」

 二人を見ると何を言っていることを余り理解できてないみたいだ。

「こほん、では、発表します」

 舞さんの言葉を僕が続ける。

「明日から、僕はこの街の常磐学園に通うことになりました」

 二人とも少しの間沈黙する。

『ええぇえぇえ!!』

 二人とも大声で驚いた。何事かと、周りに人が集まってくる。

「うそ! いつのまに!?」

「マジかよ!?」

 興奮した二人が詰め寄ってくる。

「お、落ち着いて二人とも」

「ひ、人が集まってきてるよ」

 野次馬から逃れるため、とりあえず、興奮する二人を連れてその場を離れることにした。



 というわけでまたも公園。

 四人でぶらぶらしながら話す。

「ふ〜ん。これからは舞の家で暮らすんだ」

 ちょっとばかし驚いたかのような顔をするハル。

「うん。そうなんだ。よろしく」

「女の子と同棲ってうちの学校OKだったっけ?」

「親戚だから平気だよ」

 たぶんと舞さんが龍馬の疑問に答えた。

 僕の父さんは舞さんのお母さんの兄なのだ。

 だから妖狐の母と人間の父を持つ僕は半妖なんだ。

「学校も明日から常磐学園だから、よろしくね二人とも」

「おう、明日から楽しみだよ」

 にかっときもちのいい笑顔で龍馬がばんばん僕の肩を叩く。

「うん、よろしく。空狐」

 それから、少しの間四人で話して、

「じゃあね、二人とも」

 そう言って龍馬たちは去ろうとする。

「え? もうちょっと話そうよ」

「わりい、まだ用事が終わってねえんだ」

「それに、久しぶりなんだから夫婦水入らずにしてあげないと」

 と、からかう様にハルが笑う。

 とたんに僕らの顔が赤くなった。

 ななな、何を言ってんだよ、ハル!

「あはは、二人とも顔真っ赤だよ」

 あうううう……

「ほら、ハルふざけてないで行くぞ」

 そう言って龍馬がハルの襟を掴んで引っ張ってってくれた。感謝。

 

 そして、二人が行ってからちょっと経って。

「……じゃあ、わたしたちも行こっか」

「はい……」

 そんな感じで僕らは歩き出したのだった。

前回週一と言いましたが、火曜と土曜に変更します。

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