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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第六章 温泉へ
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第三十二話 温泉へGO!

 そして、金曜日を迎えた。

「しゅっぱーつ!!」

「ぱーつ!!」

 元気よくイヴが腕を振り上げる。それに舞さんも合わせて振り上げる。

 どうでもいいけど、リュックを背負ってる状態でよく飛べるなあ。

 僕はため息をつきながらリュックを背負い直す。

 そして、家を出て、

「よお、遅かったな」

 リュックを背負った刹那くんが立っていた。

 ……はい?

 あははーと刹那くんは笑いながらこっちに来る。

「まさか、俺たちが行こうとしてた旅館と同じ場所におまいらもいくなんてなあ」

 ええっと、まさか、

「君らも同じ旅館に行くの?」

 刹那くんが胸を張って、

「おう」

 そういえば、券を見せた時、朱音さん微妙な顔してたなあ。

 しかし、当の朱音さんは顔を出さない。

「朱音さんは?」

「車出してるよ」

 舞さんの質問に刹那くんが答えるのとほぼ同時に、家の前に車が止まった。

 ピカピカに磨かれた車体の紅が眩しい。

「やあ、舞、空狐」

 窓を開けて朱音さんが顔を出す。

 今日はいつもの黒いメイドさん風の服ではなくシンプルなカットソーにミニスカート。

「同じ場所だからさ、乗っていきなよ」

 僕らはお言葉に甘える事にした。


 そんなこんなで刹那くんたちの車に乗せてもらう。

 朱音さんの運転は上手くて、いい乗り心地だった。母さんの乱暴な運転とは天と地ほどの差がある。

「今日はイヴちゃん浴衣なんだ。いいね。かわいいね」

 そういえばイヴが着てきたのは浴衣だった。

 大きなヒマワリが描かれているかわいらしいデザインだ。

「やっぱり旅館なら浴衣でしょ!」

 と舞さんの肩の上で胸を逸らすイヴ。

 まあ、確かにね。

「ちょっと音楽かけよっか」

 そう言って、朱音さんがラジオのスイッチを入れる。

 流れてきたのはクラシックな音楽だ。

 イヴがそれにのって歌い出す。

 舞さんがリズムにのる。朱音さんがハンドルを叩いてリズムを取り、刹那くんがラジオの音量をちょうどよく調整する。和やかな雰囲気が車内を包み込んだ。

 僕は窓の外の空を見る。

 なかなか楽しい二日間になりそうだ。


 一時間ほど車に揺られて旅館につく。

「おお、なかなか風情があるなあ」

 刹那くんの言うとおり風情の感じる旅館だった。

 ちょっと小高い丘の上にあり、林に囲まれた静かな感じの旅館だ。

「すいませーん。常盤市から来たものですが」

 刹那くんが言うとすぐに女将さんが来て、部屋まで案内される。

 僕らの部屋と刹那くんの部屋は隣同士だ。

「じゃあ、荷物置いたらすぐに温泉な」

 そう言って刹那くんたちは部屋に入る。

 舞さんたちも楽しみにしてたっけ温泉。

 そんな事を考えながら僕らも部屋に入る。

「おお」

 部屋は畳のしかれた和室でなかなか広い。

 ああ、畳のいい匂い。

 荷物を置いてゴロゴロする。

「いい場所だねえ。風も気持ちいい」

 舞さんが窓を開けると、彼女の長い髪がはためいた。

「ですねえ」

 僕らがまったりしていると、

「二人とも、温泉行くよー」

 朱音さんに呼ばれた。早いなあ。

「「はーい」」


 脱衣場前で男女に別れる。

 そして、服を脱いでタオルを持って温泉に足を踏み入れる。

「わー、ひろー」

 思わずそう呟いてしまった。

 普通に広い温泉だけど露天風呂という事が余計に解放感を与えてくれる。

 と、先客がいるな。

「こんにちは。いい所ですね」

「そうですね」

 ……はい?

 今の声、聞き覚えあるような?

 相手が振り向く。

「「「あっ!?」」」

 その相手は、

「龍馬!?」

「空狐!?」

 意外な相手だった。

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