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狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第五章 迷子deパニック
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第三十一話 将来?

 僕が居間で新聞を読んでいたらがしゃんと言う音がした。

「まさか……」

 僕が新聞を畳んで立ち上がると同時に誰かが駈けてくる音。

 襖が開けられると、銀色の髪と紅い目と狐耳の女の子が入ってきた。

「パパー、りょーまがおさらわっちゃった」

 この子名前はイヴ。僕の娘。

「うん。わかったよ」

 台所に行く。

 すると割れたお皿と散らばったクッキーの前で右往左往している龍馬がいた。

 龍馬は尻尾が着いている子で、イヴとは双子の弟。

「あううう、とーさん」

 すぐにこっちに走り寄ってくる龍馬。

 僕は手を伸ばして……ほっぺを引っ張ってやった。

「ひあいひあいひあい!!」

 あっという間に涙目になる龍馬。

 意外と痛いんだよねえ。これは。

「な〜にをしてたのかな〜? 君は?」

 僕はひょんひょんほっぺを引っ張る。

 実は柔らかくてついつい楽しんでいるのは秘密だ。回してみたりいろいろやってみる。

 しばらくして解放してあげると涙目でほっぺを押さえる龍馬。

「イヴがクッキーをとってっていったからとろうとしたらおとしちゃったの」

 ほっほう。

 チラリとイヴを見ると視線をそらした。何となく本家イヴを思い出す。

 僕はイヴ近づいて、手を上げる。ピクッとイヴが身を縮める。

「次から僕に言いなよ。怪我したらお父さんもお母さんも心配するんだからね」

 そう言ってポンポンと頭を叩く。後ろで龍馬が『ずるーい!』と叫んでいるけど、まあいいか。相手は女の子だし。

 僕は二人に危ないから部屋の外に出るように言ってから割れたお皿を片付ける。

 と、そこで玄関のドアが開く音がした。

「ただいまー」

 聞きなれた彼女のキレイな声が家の中に響く。

 途端に沈んでたイヴと龍馬の表情が明るくなった。

「おかあさんだ!」

「ママ〜」

 二人がすぐに玄関に向かって走る。

 全く、まだまだ甘えん坊なんだな。

 僕はちゃんとお皿の処理が終わったか確認してから玄関に向かう。

「おかえり。舞」

 そこには、昔よりずっと大人っぽく、ずっとずっとキレイになった舞がイヴと龍馬、そして、舞さんに似た顔立ちの小さな女の子、末っ子のハルの三人の子に囲まれていた。

 舞はこっちを見てとびっきりの笑顔で

「ただいま、空狐くん(あなた)

 


 目を開けると見慣れた天井があった。

 ……えーっと。頭の回転が追いつかない。

 ゆっくりと現状を確認する。

 まずここは倉田家の一角にある僕の部屋で、今の僕はベッドに寝っころがっている。

 つまり、今僕は起きたばかりって事で、今のは……

「夢え?」

 みょ、妙にリアルな夢だったな。

 起き上がって頭を振る。

 やっぱりあれかな? 昨日の幸子ちゃん事件のせいかな? まあ、子供ってかわいいなあとは思ったけど、ここまで飛躍した夢をみるとは。

 ううう、今思い返せばなかなか恥ずかしい夢だったよ……

 僕は頭を抱える。

 はあ、こんなんで今度の温泉旅行を乗り切れるかなあ?


 部屋から出ると、いつも通り舞さんが洗濯物を抱えて歩いてた。

「あっ、空狐くんおはよう」

 僕に気づいた舞さんが明るい笑顔でこっちに顔を向けた。

 途端になんだか恥ずかしくなって顔が赤くなったのがわかった。

「お、おはよう。舞」

 ちょっと声が上擦っちゃったかなあ?

 ……じゃなくて!!

 ああ、舞さんがキョトンとした顔でこっち見てる。

「あれ? 空狐くん。今……」

「な、何でもないよ!? おはよう。舞さん!」

 慌てて誤魔化す。

 舞さんは納得のいかなさそうに顔を怪訝そうにするけどすぐにいつもの顔に戻った。

「うん。おはよう。空狐くん」

 そう言って、舞さんはいつもの仕事に戻った。

 その後、雑念を振り払うためにいつもより朝練に気合いが入っていた事は秘密である。


空:「うう、人の夢を公表するなんて……」

舞:「あ、あのね、空狐くん、こ、子供が欲しいなら……」

空:「いえ! まだいいです! まだいいですから!!」

舞:「う、うん」


はい、空狐の妄想大爆発な夢でした。

けっこうありそうなネタですけど、にまにまして見ていただけたら幸いです。

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