第二十四話 ジョギング
と言うわけで二人(三人?)で走り出す。
現在、僕の体は融合によりイヴの姿になっている。
もう少し詳しく言うと走るために尻尾と耳に羽を変化の術で隠してあるが、イヴの姿をベースに尻尾と耳が生えて、髪と目の色が僕の色に変わっているのだ。一応、走るのに邪魔だから髪は一括りに束ねてある。
軽快なペースで走るイヴ。うーむ、背中に束ねた髪がぽんぽん当たるのってなんだか変な気分。
にしても、長い髪って事で段々実感してきたけど、今の僕って女の子の格好してるんだよなあ、なんか恥ずかしくなってきた……
僕だけがなんか周りより浮ついてるって言うかなんというか、女装してるときと似てる感じだけど、なんだかそれとも少し違う。
ううう。
「合体し続けるのって大丈夫なの?」
「うーん、まあ大丈夫かな?」
戦闘中はイヴの力で体を強化したり特殊能力を付加するけど、今はそんな必要もないから長くやれる。だけど、僕はさっさと解放されたい。こっちでも制限時間があればいいのに。
公園まで走り、
「はあ、いい汗かいたわ」
グイッとイヴが額を拭う。「休憩しよっか」と言って舞さんが自販機でポカリを買う。
舞さんがちょっとだけ飲んで、
「はい、どうぞ」
僕らにそのポカリを渡す。
「ありがとう」
グビグビとイヴが飲み、ふと半分ほどで考え込む素振りを見せる。
舞さんが不思議そうにこっちを見る。
それからちょっとたってから、
「これって間接キスだよね」
何言い出すんだイヴ?
「そうだけど、どうしたの?」
イヴはニヤリと笑って、舞さんに聞こえないぐらい小声で、
「喜びなさい空狐。大好きなお姉ちゃんとの間接キスだぞ」
そう。
「……ずいぶん淡白な反応ね」
いや、子供の頃かわいいって愛でられた時に散々、頬とかにされてたからいつの間にか気にならなくなっちゃった。
うろたえなくてごめんね。
「そう……」
イヴはつまらなさそうにため息を吐いたのだった。
そして、飲み終わったペットボトルをゴミ箱に投げる。きれいな放物線を描いて見事シュート。
「あれ? 舞?」
と、そこで聞きなれた声が後ろから、
「あ、ハルちゃん」
振り向くとハルがいた。今日は龍馬は隣にいない。
普段着でブラウスとカジュアルパンツと、動きやすそうな格好だ。
「ねえ誰? その人、知り合い?」
ハルがこっちに視線を向けながら聞いてきた。
「あっ、彼女は」
「初めましてハルさん。私は木霊 イヴ。空狐の姉です」
嘘つくの早!!
そして、いつの間にか服をジャージから母さんがよく着ていたブラウスとスカートに変えてあるし。全然気づかなかったよ。ひらひらしたものがたくさんついててなんか不思議な感じ。
ハルはあれっと首を傾げる。
「空狐って兄弟はお兄さんだけじゃないんじゃなかったっけ?」
「ま、正確には従姉ね」
「そうなんですか」
まあ、髪や目の色は同じだから嘘とは思われないかな?
イヴは上品に笑いながら、
「ハルさんの事はよく空狐から聞いてました。いい子だって」
「そ、そんな」
ハルがほんの少し頬を紅くする。
てか、イヴ。なんか猫被ってない?
さらに一言、二言話して、
「ハルさん弟の事よろしくね」
ぎゅっとハルの手を握る。ハルは目をキラキラ輝かせる。
「はい! 義姉さま!!」
ハル何かキャラ違う!! そしてオネエサマの部分ちょっと変じゃなかった?!
「じゃあ、舞さん行きましょうか」
そう言って、イヴはキラキラ目を輝かせるハルを置いて公園を出たのだった。
なんだか、嫌な予感がするなあ。
鈴:「みなさんやりました! ついに『狐火!』二万Hitです!」
刹:「おめでとー」
鈴:「ううう。なんかむっちゃうれしい」
刹:「うんうん。記念になんかしたらどうだ? キャラの人気投票とか」
鈴:「それは、調子に乗りすぎだよ。でも、やってみたいよな」
刹:「もう少し、物語の半分ぐらいになったらやってみたらどうだ?」
鈴:「そうだな。と、そろそろ時間。ここまでの提供は私、鈴雪と」
刹:「刹那の提供で放送しました」
鈴&刹「「それでは、みなさまよい一日を」」