番外三 第三回座談会
「どもー、座談会の時間です。本日は私、鈴雪と」
「刹那がお送りいたします」
そう言って二人が頭を下げる。
「本日は帽子猫さんからの質問の四つにお答しようと思います」
「それでは」
1.魔族や龍族はどうなっているのか、人間以外の種族はなぜ存在しないことにされているのかなど。
「鋭いご指摘です」
「ほれ、回答しろ」
「はいはい、えっと、基本は同じ。龍族は龍族の隠れ里に住んでますし、魔族もまだいます」
「ただし、魔族は人数少ないし、世界を滅ぼすために行動したいけど、主がいないから行動は控えている。それに、何にもしなくても存在し続けるだけの負の力が得られるからわざわざ動かない」
「まあ、一部の物好きとかは人間に溶け込んで世の権力者になり世界を混乱に陥れたりもするけど。いい例がヒットラー。正体は魔族で、退魔士によって滅ぼされている」
「ちなみにたまたまいた俺も殲滅戦に参加。頭はいいけど、弱かった」
「そして他の種族がいないことになってるのは人間に弾圧されないため」
「基本的に人間より妖魔の能力は高いけど、人間は人数が多いから、正面からぶつかり合ったら互角。どっちも滅んでしまう可能性がある」
そこで、刹那がため息。
「もう少し人間が賢い生き物ならそんな事にはならないんだけど、残念だけどそこまで頭いくないし」
「後は裏の存在である自分たちがわざわざ表に出る必要もないって考えが妖魔の長たちの考えだしね。暗黙の了解として不可侵規定が存在する。一部、空狐たちのような例外はいるけど」
「龍の方は一部除き他種族にたいして中立を貫いています」
「じゃ、次」
2.僕としては成長性が非常に気になります。例えば空孤、年齢15歳で桁違いの強さを持っていますが、一体子供の頃の実力はどれほどで、
どのように今の実力まで成長し、これからどうなっていくのか。
「まあ……そうだな」
刹那がたらりと汗をかく。
「うう、考えなしの設定が恨めしい」
だらだら汗をかく作者。
「まあいいや、今回はこれのためにわざわざスペシャルゲスト呼んでるから」
うむと頷く作者。
「空狐の母にしてもう一人の特級退魔士。息子たちがかわいくてかわいくてしかたないお母さん。その名も木霊 月狐さん! 本編より先に出ていただきます!」
そう言って現れたのは狐耳と尻尾の生えた美女。
「どうもー! みなさん! うちのクーちゃんがお世話になっています!」
「というわけで、彼女に聞いてみたいと思います。月狐さん、空狐の子供の頃はどんな子でしたか?」
「ん〜、スッゴくかわいかった」
大輪の華が咲いた。
「……あの?」
「あっ、別に今はかわいくないってわけじゃないのよ。でもね、小さい頃はフワフワ柔らかくて、本当に女の子みたいで」
「もしもーし、お姉さん帰ってきておいでー」
「ああっ、ごめんなさいセッちゃん。ちょっとだけ興奮しちゃった」
「危ないから」
「セッちゃん……」
ぷぷっと笑う作者。
「うるさい。で、月狐さん、子供の頃の空狐はどうだったの?」
「はいはい、クーちゃんの子供時代ね。そうね……はっきり言ってあの子は魔力の高いだけの子だったわ。その反面制御能力が低くてしょっちゅう暴走させて大変だったわ。友達も少なくて引っ込み思案だったし」
「典型的な半妖の子供だな」
「半妖は基本的に魔力は高いかわりに制御能力は低いという問題を抱えています」
「それであの子にはちゃんと自分の力を制御できるように訓練を積ませたの。おかげで六歳の頃には魔力を暴走させることはなくなったし、十歳の頃には魔術をちゃんと使えるようになったわ」
「確かその時点ですらAAランクとれたんだよな。末恐ろしい……」
「で、その後は私の仕事を手伝わせたり、私やギンちゃんが実戦に近い形式で訓練を積ませたの」
「で、五年間の訓練で一級退魔士になったわけね」
「私もびっくりしたわ。だから、もう少し後で渡すつもりだった月天を渡したし、木霊家の切り札を与えたのよ」
「なるほど」
「訓練とかも大好きだし、今もよくしてるんでしょ?」
「ええ。朝にちゃんと訓練してますよ。夜もこっそりやってますし(こっちに来てから二日目から)」
「授業中もな」
作者が目をぱちくりさせる。
「……マジ?」
「マジ」
「どうやって?」
「天月と思念通話しながら戦闘シミュレーション」
「いいんかそんな事してて」
「まあまあ。授業も平行してちゃんとやってるから」
「わかったよ。次、成長性ね。二十歳まで今の速度で成長。背も伸びるし、魔力もあがる。二十歳超えれば遅くはなるけど二十歳後半まで魔力や技術、身体能力が上がってその頃が魔力や身体能力のピークかな? そのくらいで成長は止まるだろうし、身体能力の緩慢な減少と技術経験の上昇が同時に起る」
「で、その後は老化による能力低下が起きるだろうから五十代で引退かな?」
「じゃあ、次行こうね」
3.倉田舞の潜在能力はどのような理由からか
「舞の潜在能力についてね」
「倉田家の人間で常磐市に住んでいるから」
「あの町はちょっと特別なの。残念だけど倉田家について含めて今は語れないけど」
「言ってみれば『スレイヤーズ』のリナがゼフィーリア出身であの故郷の姉ちゃんの妹に生まれたおかげで高い魔力を持ったに近いな」
「それでは次ですよ」
4.日本刀の精霊なのになぜイブという西洋風の名前で金髪碧眼なのか
「うにゅう、それについてはイヴの秘密に触れない程度で」
「もともと天月は木霊家があるお方から預けられたもので、預けられた当時は両刃の大剣だった。元の名前もいつの間にかつかわれなくなっていってったし」
「で、その剣には使い手に合わせて形状変化する機能があるから、それで木霊家の人間に合わせて刀の姿になっていったの」
「ま、こんな感じかな。次で〜す」
4.魔道士と魔術師の違いは何か
「違いはないです」
「人によって名乗るのが変わるから定義が曖昧なのよねえ」
「現在、魔道師協会で統一化を計画してるもののなかなか決まらない」
「正直、どっちでもいいし」
「と、一通りの回答は終わったな。二人ともなんかある?」
ばっと刹那が手を上げる。
「はい、刹那」
「一応、読者の皆様に主張、前回の座談会や人物紹介で朱音が自分の方が弱い的な発言をしたけど、あれは間違い。俺と同じくらい強い」
「そうなの?」
「おう。こっちのレパートリーが少ない中距離砲撃で攻撃されたら勝てないよ。威力あるし、あいつ空中機動滅茶苦茶早いんだ」
「だけど、人物紹介で朱音より強いって明言されてるわよ」
「あれは作者の凡ミス。純粋な魔力と破壊力に射程は確かに俺の方が上だけど、中距離戦で使える魔術が少ないんだもん。戦いようによっては朱音の方が上だって」
「つまり、お互いが得意な面で相手より上ってわけね」
「そ」
「じゃ、じゃあ、他に何かない?」
特に二人は行動しない。
「じゃあ、今日はこのくらいで……ここまでの放送は鈴雪と」
「刹那と」
「月狐の提供でお送りいたしました」
「それでは、みなさま」
「「「よい一日を」」」
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