表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐火!~狐少年の奮闘記~  作者: 鈴雪
第三章 二日目
25/107

第二十話 刹那って?

「あーん。もっと触らせて〜」

「ダメだから! イヴおびえてるから!」

 なんとか舞さんからイヴを引き離す。

 イヴは半分涙目で僕の腕に引っ付いている。

「うう、空狐。あんたの事、幸せ者って言ってたけどあれ訂正するわ……この不幸もの」 

 僕も子供の頃あんな風に抱きつかれて頬ずりされてたんだよ。

 その事言ったらイヴに『幸せね』なんて言われたんだっけ。

「うう、またねイヴちゃん」

 諦めて舞さんが家に引っ込む。それを見てイヴが一言。

「いやよ、死んじゃうから」

 確かに。


 その後、ご飯を食べて現在学校に行くため家を出たところ。

「よっ!」

 いきなり後ろから肩を叩かれる。

「おはよう。刹那くん」

「おはよ」

 刹那くんがにかっと笑う。

 昨日わかったことだけど、実は刹那くんの家はうちの斜め向かいの屋敷だったのだ。舞さんの家もかなり広いけど、刹那くんの家には負けていた。

「おはよう。それと昨日はありがとな空狐」

 ポリポリ頬を掻きながら刹那くんが笑う。

「いいよ、僕もけっこう楽しんでたから」

 いい経験になったし。

 それと少し気になっていた事を聞いてみる事にした。

「ねえ、刹那くん」

「何だ?」

「君も退魔士なの? そうだとしたら何級?」

 ちょこっと気になっていたんだよね。刀を持ち歩いているし。家の人に退魔士いるし。

「んっ? そうだけど。ランクは」

 少し考える素振りをしてイタズラっぽく笑う。

「魔道師ランクはS+ランク」

 ちょい待て。

「だから、魔道師ランクじゃなくて退魔士ラン……ク」

 はい? S+ですと?

「S+?」

「S+」

 こくんと頷いて僕の言葉を刹那くんが肯定する。

 うん、みなさんご一緒に。さん、はい。

「ええぇええ?! S+!?」

 マジですか? と、だったら、刹那くんの退魔士ランクはもしかして……

「特級なの?!」

「まあ……な」

 母さん以外に初めて会った……

「ねえねえ、空狐くん。それってすごいの?」

 舞さんが不思議そうに聞いてくる。

「う、うん。特級は退魔士全体を見ても数人しかいないんだから!」

 確か十人くらいしかいないと母さんは言っていた。

 ふーん、とよくわかってなさげに舞さんは相槌を打つ。

 それから、舞さんは僕に顔を向ける。

「じゃあ、空狐くんは?」

「魔道師ランクはA+、退魔士ランクは一級」

 個人的にはこれでも、この歳では十分な能力であると思っている。

 ちなみに、A+ランクとS+ランクの差はけっこうある。アリと戦車は言いすぎだけど、少なくとも術の力だけで見るなら歩兵のライフルでバズーカに挑むような差がある。

「それじゃあ朱音さんは?」

 次に刹那くんに顔を向ける舞さん。

 僕もちょっと気になるなあ。

「S-ランクの一級。その内Sランク試験を受けるつもりらしい」

 ……実はこの町、化け物ばかり?

 それから、ふと気がついた。

「にしても、君が15歳だとすると最年少じゃないの?」

 特級の情報は協会内でも機密事項ではあるが、少しぐらいは噂ぐらい流れてくる。でも、人間の少年が特級をとったなどついぞ聞いた事がない。

 刹那くんはふんと鼻を鳴らして、

「別に俺が十五の人間だなんて一言も言ってないよ」

 え?

「もしかしたら人間ですらないかもしれないし、俺が本当の事を言っているとも限らないんだよ?」

 えっと、そんなの疑いだしたらきりがないんじゃ?

 でも、確かに刹那くんも人外なら、この匂いが変なのも少しは納得できるし……でも、やっぱ今まで会ったどの種族とも違うしなあ。

 本当に何者なんだろうか。

「ま、冗談はこのくらいでさっさと行こうや」

 そう言って刹那くんはすたすたと歩幅を大きくした。

「あっ、待って」

「わわ」

 僕らは慌ててスピードを上げた。

 いつかは、教えてくれるかな?

次にまた座談会をやりますんで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ