第十四話 空狐は天才?
その後、すぐに授業が始まったおかげで何とか助かった。
そして、現在一時間目。内容は『物理』
「で、あるからにして」
にしても、なんだこの授業。
「ここではこの式を使います」
つまんない。こんなの家でもうやっちゃったよ。
暇なのでなんとなく空を見る。
ぽかぽかと暖かい。陽気の匂いがこの部屋に満ちているのを感じて、このまま寝たくなってきたなあ。
ざわざわとしているクラスの音も心地いい。
「ふあ」
思わず欠伸をしてしまう。
今日の晩御飯なにかなあ、そう言えば、今日日課の素振りしてないなあ。帰ったらやんないと……
「転校生」
取り留めのない事を考えていたら、いきなり指名された。
「は、はい!」
なんだ、なんだ? いきなり。
今、指名してきた先生は、えっと……名前忘れた。髪がだいぶ貧相になってきて、白髪も混じっていて、それなりのお歳を感じさせる人だ。背もそれほど高くなく、ちょっとお腹も出ている。
「えっと、名前は……」
「木霊です」
「そうそう、木霊。オレの授業中に欠伸するとはいい度胸だな」
だって、知ってるもんその内容。
「欠伸するぐらいつまらないならこんな問題くらい解けるよな? ん?」
ええ、楽勝です。
心の中で勝ち誇る。
「ちょっとやってみろ」
「はい」
席を立つ。
「大丈夫? 空狐くん。あの先生、気に入らない生徒に容赦ないんだよ」
ふーん、さっそく目を付けられてしまったってことですか。
「大丈夫、大丈夫」
そういって、僕は黒板に向かった。
一分後。
「はい、どうでしょうか?」
ちょっと長々と式を書いてしまった。
『……』
みんな黙ってる。
「あの?」
みんなハッとする。
「すご」
「てか、こんなの習ったっけ?」
みんなが口々に言う。
「知らなかった……」
なんか先生が自信喪失しているー!!
「すごいね空狐くん!」
舞さんが褒めてくれる。
そんなすごい? 魔術の制御のために勉強しただけなんだけどなあ……
「君、席に戻りなさい……」
肩を落とした先生の横を通り過ぎて僕は席に戻った。
その後、二時間目『数学』三時間目『現国』と続く。そして、四時間目の『外国語』。
これらに関しては問題なしなので飛ばします。
そして、昼休み。
「起立、礼」
四時間目が終わって昼休み。みんな休みだー! と、すごくにぎやかだ。
なんとなく、僕は机の上に身を投げる。
教室にいろんな食べ物の匂いが漂ってくる。そっか、昼休みだからみんな弁当食べるのか。でも、そういえば僕、弁当持ってきてないや。
「空狐くん」
舞さんがちょんちょんと僕の肩をつつく。
「なんですか?」
ちょっとお弁当を期待してしまう。
「ちょっと着いて来て」
そう言って、舞さんは僕の手を引っ張った。お弁当ではなくて少しがっかり。
この事に関して、
『倉田さんと手を繋ぐのは何ごとかー!』
と『MSN』の連中がきれたがそれは別の話。
僕が連れて行かれたのは、校舎の外れだった。人はあまりいなくて、日当たりが悪くなんとなく湿気くさい。
「どこ、ここ?」
「部室が集中している通称『部活棟』だよ」
ふーん、そういえば、バスケや野球のボールとかが転がってる。
「で、ここが」
そう言って案内されたのは、それなりに広そうな部屋。
「我らが演劇部の部室です」
舞さんが嬉しそうに扉を開けたのだった。
刹那(以下刹):「どうも、刹那です」
鈴雪(以下鈴):「どうも、鈴雪です」
刹:「このたびは、狐火を読んでいただいてありがとうございます」
鈴:「ありがとうございます」
刹:「このたびは作者が思い至った企画についてご報告いたしたいと思いますます」
鈴:「次回より、後書きの場において、作中の設定、もしくは作中の質問に関しての雑談をしたいと思います」
刹:「もし、よろしければ、どしどしご応募お願いいたします。それでは」
鈴&刹:「またの機会に」
どでしょ? この企画は? つまらなかったらはっきり言ってください。その時は別の事しますので。