第十三話 新しいクラス
タイトル変更してみました。
内容そのものは変わっていません。
このタイトルはいかがでしょうか?
「はじめまして。稲荷学園より転校してきました木霊 空狐です。これからよろしくお願いします」
僕は壇上で一度頭を下げた。にしてもやりずらい。
朝の騒動は知れ渡ってるらしく、今もひそひそ話してたり、怖いくらいの殺気を放ってる人もいる。ほんと、僕が何をしたっていうんだよ。
このクラスの担任の先生は女の人で、名前は小泉先生。
いかにも新任といった感じの若い先生だ。制服着て先輩だ、って言われたら信じてしまいそう。
亜麻色の髪は肩まで届くほどで、目は綺麗な黒。
背はそれほど高くなく、ほっそりした体系で優しそうな雰囲気の人だ。
「はい、それでは木霊君の席は」
しばらくの間
「そこね」
そう言って指されたのは……
「やっほ〜」
舞さんが手を振ってた。その斜め前には刹那くん。
ええっと、目を擦ってもう一度。ちょうど舞さんの席の横に席はなかった。なぜこんなご都合主義的展開が?
「男子で取り合いになっちゃったのよ。だからしかたなく舞ちゃんの席は一番後ろにしたの」
「先生まで僕の心を読まないでください」
「なんのことですか〜?」
とぼけた笑顔を見せる先生。
この学校に通うと読心術でも身につくのか?
「じゃあ、木霊君は席に座って」
「はい」
しかたなく席に座る。うう、男子の視線が痛い……
「よろしくね、空狐くん」
舞さんが嬉しそうに笑った。僕は苦笑いするしかなかった。
「木霊ってどこから来たんだ?」
「ねえねえ、なんで灰色の髪と紅い目なの?」
「倉田さんとは本当はどんな関係?」
「呪ってやる」
休み時間になると、新しいクラスメイトに一瞬で囲まれた。
最後に不吉な声も聞こえたけど気にしないでおこう。うん。
どうも、みんな今朝のインパクトが強くて色々聞きたかったらしく、朝のHRが終わったらすぐに取り囲まれてしまった。。
「えっと、僕が前に暮らしてたのは秋田の山奥にある稲荷の里」
「遠いいな」
「聞いたことある?」
「ないよ」
まあ、普通は知らないだろう。妖狐の里なんて。
「髪は? 染めてるの?」
「違うよ。これは地毛。家は銀……」
慌てて口を塞ぐ。やべえ! 間違えて銀狐って言うところだった。(兄さんのことじゃないよ。種類のことだよ)ここは人外関係者の通う学校ではあるけど、一応表向きは普通の学校である。半分くらいから一般人の匂いがするし、隠しておいたほうがいいだろう。
「ぎん、ぎん、銀髪の家系だから」
なんとか誤魔化す。
「え? 灰色じゃん」
よかった。どもったことは気にされなかった。
「月明かりを跳ね返すと銀色になる特別な家系なんだ」
ふふ、けっこうきれいなんすよ、その色は。
「では、倉田さんとの関係は?」
にじりと輪が縮まった。これが目的か……
「従姉弟で幼なじみ。それ以上でもそれ以下でもないです。はい」
はっきり言い切る。これ以上、面倒なことは嫌だ。
「ふーん、ただの幼なじみね、ただの」
にやにやと笑いながら刹那くんが呟く。
えっと、刹那くん?あなたは何を言いたいのですか?
「舞さんの家に居候してて、今朝だって一緒に登校しるのにただの幼なじみねえ」
キミハナンカボクニウラミデモアルノデスカ? ソシテ、ナンデソノコトシッテンノ?
「いや、俺の賭け金がブラックホールに飲み込まれちゃってね。それの恨み。あと、舞さん部のみんなに嬉しそうに話してたし」
それは君が勝手にしたことでしょおおおお!君の一言で、みんなの視線が痛いよおおお!
「ふーん、同棲してんだ」
男子の一人がそう呟く。
「いや、親戚だから同棲ではないかと」
一応、反論してみたけど大して意味はなさそう。
「『MSN』の連中が聞いたら大変だな」
「うちのクラス会員何名だっけ?」
「確か二十人だったな」
それって、クラスの半分じゃ?
「ふふふふふふふ」
「くっくっくっく」
「ひひひひひひひ」
「けけけけけけけ」
「ははははははは」
不気味な笑い声が連鎖のように起こる。
ああなるほど、ここは肉食獣の檻の中か。そして、僕はその中に放り込まれた哀れな狐。
「がんばれよ」
ぽんと聞いてきた男子に肩を叩かれる。その目は、罪悪感と哀れみの色に染まっていた。
ああ、平和な学園生活の夢……もう届かないほど遠くに行ってしまったのか。
『死ねえええええええええ!』
「ぎゃあああああああああ!」
どもー、鈴雪です。
調子がよくて、土曜日より早く出せました、ブイ。
でも、なかなかアクセス件数が伸びません。
新参者のくせに偉そうですが、目指せ一万Hit! はまだまだ先です。がんばらないと!
評価、感想待ってまーす。