水の国4
水波璃の間
皇女ミクリの部屋は白を基調とした涼やかな部屋である。
大きな水盆には水花が浮かび、青い小さな魚が泳いでいる。
「もう帰国なんて、寂しくなるわ。」
ミクリは繊細で可憐な少女だ。白い面に黒々とした長い髪を頭の上で輪にして白い花を飾ってある。
「私だってまだ帰りたくないわ。」
「仕方ないわよ。」
口を挟んだのは、ミクリの姉姫イザナミである。姉妹なのにミクリとは似てなく母のナミ女王に似たのか艶やかな顔に豊満な胸とくびれた腰のどことなく色気が漂う美姫だ。
「アキツがいたら、うちはどこもここも修繕しなくちゃいけないし。」
「う、」
アキツが縮こまる。
神殿や宮殿が火事にならなかったのは、イザナミやミクリが水の気でアキツの火を押さえていたからだ。
「ほんとーに申し訳ない。」
アキツは二人に向かって頭を下げた
「まぁ、修繕費は火の国持ちだし」
イザナミは口に手を当てて笑った。
「火の国は赤字かしらねー」
「もう、姉様たっら」
「あら、だって本当のことでしょ。」
「……。帰りたくなくなってきた。」
アキツが頭を抱える。
ミクリがアキツの手を握った。
「命が危なくなったら逃げてきてもよいのよ」
そんなに被害総額が凄いんだろうか。ミクリの言葉に安心できる所か不安で仕方がない。
「水の国に嫁いでくる?皇女のアキツを嫁に出来るのはクラオカミしかいないけど。」
イザナミの提案に、首をおもいっきり横に振りまくる。
「無理無理無理無理無理。」
なんて恐ろしいことを言うんだ。
「えー。クラオカミ結構人気あるのに」
ミクリが意外だと言わんばかりだ。
「それは見た目だけしか判断してないからよ!性悪口悪じゃない!」
力説するアキツにミクリが同情するかように呟いた。
「燃やす度にこってりお説教くらってたわね。」
「あの顔を見るだけで胃が痛くなるのに!絶対無理です!」
イザナミに向かって力説する