水の国 1
八鏡国が水の国
この国は水が豊富である。皇族は水の鏡の力を持ちて、綺麗な水を作りだしている。
澄みきった川に青空が映りこむ。
川岸の平たい岩に少女が腰を下ろし、足を川の水につけている。
年の頃は14、長い髪を頭の横でくくり小さく輪にして髪を垂らしている。
火の国の皇女アキツ姫である。
アキツは火の力が強くコントロールできないので、水が豊富なこの国にご厄介になっている。
「アキツ!やっぱりここだった。」
息を切らせて可憐な少女がやってきた。彼女は水の国の巫女、ミツハ。髪を三つ編みにし輪っかにしてサイドでまとめている。アキツとは同い年だ。
「只今反省中なの。」
アキツが頬をふくらます。
「東の森を全焼させたこと?大丈夫よ。木々の弁償金は火の国に請求したから」
八鏡国は互いの力を借り合っている。例えば、木の国から木を対価を払ってもらったり、草の国から食物の苗や花をもらっている。
「…。ほんと、ごめん…。」
「焼けたのが東の森で良かったわ。女王様が東の森に植わってる木が気に入らないとおっしゃってたし。」
ミツハは、にっこりと笑って言った。
「…。ああ、それでもうちに請求するのね。」
げんなりとアキツは呟いた。
「帰省したら姉王に殺されるかも。」
アキツの顔が真っ青になる。
「水の国に逃げてくればよいわ。」
嬉しそうにミツハははしゃいだ声を出した。
「命あるといいなー。」
空よりも遠くをアキツは見つめた。
「あ、そうそう。クラオカミ様がお呼びしてたの。」
その名を聞いたとたん、アキツが凍りつく。
「さあ、参りましょう。」
ミツハはアキツを無理矢理立たせた。
アキツはよろめきながらも、ミツハに手を引かれて歩いて行った。