森の中2~森を抜けて~
読んでくれてありがとうございます
と言っても......
「コルノさん達は一体どこに?」
勢い良く駆け出したのはいいのだが、全く人の気配がない。
...むしろ俺一人この森に取り残されている感じすらする。
「方向は多分合ってるんだ...多分...」
コルノさんが通っていった道は結構木が密集しているところだ。
...やっぱり方向間違ったんじゃ...?
「うぐぐぐぐ......道のないところで道に迷うとは...」
我ながら素晴らしいぜ!
チラリとスマホを見る。
先程まで核兵器と言ってもいい様な強さだったデバイスは、今は画面を真っ暗にしている。
電源ボタンを長押すると『充電してください』というアイコン。
...さっきまでバリバリ充電あったじゃんかよ。
と言っても...まぁこの世界に通信衛星なんてモノは無いだろうし地図アプリを使おうとするだけ無駄。
「はぁ...やっぱジッとしとけば...」
今更そんなことを思う。
すると不意にスマホが震える。
「...!!」
表示されていた文字は...
『フェーズ サーチ:自分を中心とした半径10キロのマップを表示。及び任意で相手にマーカーを付ける。』
これは...!今すぐ使うべきだ!!
「よぅし!いくぜ!フェーズ サーチ!...
フェーズ サーチ!............あれ?」
全く何も表示されないスマホ。
...おいおいおい...これ詐欺だろ。
「なんだよ!どうすれば使えるんだよこれ!」
するとスマホに新しい表示
『クリアランスレベル2以上』
「ちくしょおおお!!!後少し足りねぇぇ!!」
そう。俺のクリアランスは確か1。向上させる条件はわからないが...
取り敢えず分かったのは、スマホは使えないということ。
...というかなぜいきなりこのスマホついたんだ...?
充電は、3分の2程になっている。
もしかして...戦闘とかの状態と、普通の状態で何かしらあるのか?
目的を忘れかけ、その場に座り込む。すると...
「くそッ!あいつらは何してやがるんだ!トーヤを捕縛する位でなんでこんな時間かけてんだ!?」
「その目的を言えと言ってるんだ!」
頭上を、木の枝を飛び交うように戦うコルノさんと...あの緑の少年。
「チッ...トーヤに先に覚醒された感じか...?
マズイな。『ソードレジスタ』...いや、『デバイス』の獲得がまた困難に...」
「...やはりそれが目的か!」
少年とコルノさんが戦う。
少年は攻撃は仕掛けず、コルノさんの槍の連撃を交わしたり、袖に何か入れているのだろうか、腕で受けたりしている。
「...気付かれていない。だったら...」
スマホを起動。ロック画面を解除する。
「『アタッカー』&『シュート』起動!」
すると先程のようにスマホが光を帯びて光が剣の形になる。
『シュート:焦点を合わせ、引き金を引く。』
スマホに現れた文字に、何のこっちゃと思う俺だが、すぐにわかった。
光に包まれた手の中に引き金の感覚。きっとこれだろう。
焦点を合わせて...もちろんあの少年。
「...ジリ貧も飽きてきたな。そろそろトンズラする...かな。」
「逃がすか。『飛天 紅ノ華!』」
コルノさんが何かの詠唱。
すると驚く事に周りの木々が紅く染まり...それは炎となって俺達を包んだ。
今気付いたのだが...コルノさんはちゃっかりメアを背負いながら戦っている。それが多分手こずる原因だろう。
少年は炎を警戒してか、動きを少し止める。
「今だッ!」
その瞬間俺は引き金を思いっきり引いた。
「...気がつきましたか?」
頭上からは優しい声。...コルノさんだろうか。
俺は体を起こした。
「...すいません。言った通りにしなくて...」
「いや、それはそれでいいよ。メアさんも無事だし...ひとまずは安心だね。」
「ですが...俺が余計なことしたんじゃ...?」
あの時俺は引き金を引いた瞬間...視界いっぱいに光が広がり、コルノさんが炎の結界を張った空間を吹っ飛ばした。
俺はその衝撃で気絶。
敵は結界の破壊に乗じて逃げおおせたらしい。
メアは普通に無事だった。のだが...
「攫われて無駄な時間を取らせてしまい...メイド失格です...」
と、落ち込みモードに入ってしまっている。
「...実はね。僕たちが迷っていた理由はね。
あの少年が森に結界を張っていたかららしい。」
「...へ?」
「彼が途中、結界を貼ろうとして二重結界の印を結んだからね。だから多分先に結界を張ってたんだろう。多分術者が一緒じゃないと抜け出せない類の結界だね。多分トーヤくんも道に迷ったんじゃ?」
「そのとおりです。」
よかったぁ...方向音痴では無かった...
「とにかく、第一覚醒おめでとう。」
「...え?へ?...あぁ。はい。」
「嬉しそうじゃないね...なぜだい?」
「...コルノさんたちはどこまで知ってたのかなと思って。」
カリーナ王もコルノさんも、多分このスマホについては理解していたのだろう。今のコルノさんのセリフがいい証拠だ。
「伝承にね。ソードレジスタの1つ。『デバイス』を操りし勇者がいたらしい。それに、ターニャも君もそれを持っていると予見したからね。『覚醒』のこともある程度は記されていたんだけど...すまないけど『持ち主がある条件を満たせば覚醒する』ことしか分からなくて...」
「...なるほど。」
ターニャさんすげぇ......。
にしても、ということはこのスマホを以外にも同じような武器があるという事か。
「その使い方はさすがにわからないけど...制御は出来てないみたいだね。」
「ははは...恥ずかしながら。」
力は手にしたものの...先程のような暴発がいつ起きるかわからない。
...まだまだ危険だ。
「さて、後5日間はみっちり修行ですね!トーヤくん!」
コルノさんが嬉しそうにいう。
「...いやいやいやいや!大会まで後一週間もないのでしょう!?」
「どっちにしろ今の状態で出ても一回戦で力を使い果たして終わりです。まずは力の制御からしないといけませんね。それに...」
そう言ってコルノさんは前へ歩きだす。
「ほら、見てください。」
コルノさんが止まったのは少し高い...崖の上。
俺とメアはコルノさんに並んで崖を見下ろし...
「ほら。あれがここら辺で1番の大都市。『ホーピリア』ですよ。」
そこには夕日と共に煌々と輝く夜景。
ホーピリアの街並みが広がっていた。
ー了ー
読んでくれてありがとうございました