第1話 パリ講和会議
1919年1月18日 フランス外務省内
「では、我々日本は独逸の潜水艦技術の一部を頂きましょう。他には何も要りませんので。」
「は、話が違うぞ!!あんたらは中華のリャオトン半島が欲しいんじゃなかったのか!?」
「そのようなことは申しておりませぬが?イギリス殿、先日の対談の時も、我々はリャオトン半島は利益は出そうだが割に合わないと言ったではありませんか。それとも、 耄碌してたった三日前のことも御忘れになったのですか? 」
「おやおや?イギリス殿は、日本に不良品を押し付けて、ドイツからは金をせしめようとしていたのですか?とても紳士的とは思えない行動ですね。まるで我々アメリカ合衆国の商人のようなヤリ口だ。」
「我がイギリスを愚弄するのか!?言い掛かりは止めてもらいたい!」
「まぁ、落ち着き給え諸君。我々ロシアとしては、幾分かの賠償金を頂ければ文句はないので日本の要求はとても素晴らしいと思う。日本は、周囲を海に囲まれているのだからね。それに、あれだけ中華で金を使いながらも賠償金は要らないと言うのだから。」
「確かに、そうですな。一時期中華に大量の要求をしようとしているという噂がありましたが、それも、ただの鉱山の借用でしたし。」
「それに関しては、我々中華民国も驚きです。独逸の租借地を丸ごとよこせくらいのことを言って来てもおかしくないと思っていたのですが拍子抜け致しました。」
「いくら我々が成り上がりの国でも、世界規模の戦争が終った直後に新しく争いを起こそうとするほど野蛮ではありませんよ。国内ではそのような意見もありましたが、全て黙らせました。」
「成る程、それもそうですな。何回も戦争をしていては国が持たないのは自明の理。聡明な判断です。」
「では、大日本帝国には独逸の潜水艦技術の資料としてUボート一隻とその図面を配布ということでよろしいかな?。」
「まことに遺憾ではあるが、仕方有るまい。」
「先ほども述べたとおり賛成である。」
「同じく。」
「問題ありませぬ。」
「では続いて、賠償金の配分について決めて行きましょう。・・・・・・