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3話 空の魔女

あれから一週間経過した。被害状況が明らかになってきた。 ユニオンの迅速な行動により住民への被害は抑えられたものの、住民と隊員含め十数名の死者をだした。 未だに原因が判明しておらず、近隣住民は不安な毎日を過ごす事になるだろう……。




「初の任務は、どうだった?」

「あ、隊長。お疲れ様です。あの、先週のギガントは一体……。」

「現在調査中よ。今回の北区の悪魔出現に関しても、イレギュラーが多くてね。そういえばA號になった事だし、新しい配属先を決めてきたわよ。」

「そうなんですか!?その配属先とは一体!?」

「サチのサポートよ。」

「ですよね〜〜。」


こうしてエリカはまたサチの付き人として活動する事となった。この、サチという少女はエリカの上司にあたる。B號の時代から付き人としてサチの下で働いていた縁がある。A號になってもサチとは引き続き行動を共にすることになりそうだ。


「でも、今回の任務は別のA號と組んでもらうわ?」

「え?そのお方とは…。」

「エリカー、後ろよ!」

「あー、なんだ。ユイじゃん。」


エリカの後から車椅子に乗った少女が現れた。


「揃ったわね。今回はあなたとユイで池野山上空にいる、バルーンドラゴンの討伐に出てほしいの。二人の力が必要よ。」

「え……。ドラゴン……!?」


エリカはとても嫌そうだ。ユイもエリカの変化に気が付いた。


「池野山のドラゴンって最近噂になってる奴ですね?えっと、つまり私の使い魔で上空まで昇ってエリカの魔法で風穴を開けてやれって事ですね?」

「そういう事よ。では、検討を祈るわ。もう下に車両を用意してあるから。」



そうして隊長は、エリカとユイを残してこの場を後にした。エリカは渋々車椅子のユイを押しながら車両へと向かった。車に乗ってからも俯き加減なエリカを見て、ユイは話しかけた。


「どうしたの?ドラゴンって言っても、単体のA級だよ?もしかして怖いの??」

「違うんだよ〜。ドラゴンって聞くと過去のトラウマが〜。」

「トラウマ? ……。あ!あのエリカが数体のドラゴンに執拗に追われて、

『色々』漏らしたヤツね!」

「ユ〜イ〜!それは言わない約束だったよね!!」

「ゴメンゴメン!あれってベイエリアの事件よね? 確か、S級のブルーシードドラゴンが……。」

「10体よ!あの時はもう駄目かと思ったね〜。」

「あんたよくそんな状況で生き残れたよね……。」

「ま、まーねー!……でもあの時、あの人が助けに来なかったら……。」

「何か言った?」

「いやいや!何でもないさ〜。」

「しかしねー。私はたまたま海外に出張してたからベイエリアには居なかったけど、当時の話を聞くと背筋が凍るわ。



エリカとユイはB號時代からの仲間で、前年度の試験で先にユイがA號に昇格していた。ユイは魔女になる前の記憶と膝から下の足が無い。なので普段は車椅子生活をしている。本人は、記憶と自身の足については気にしてない様子だ。



「そういえば、ユイって航空隊に入ったんだっけ?」

「そうだよー。自分で言うのもなんだけど、飛ぶのだけは得意なんだー。」

「でも凄いじゃん!航空隊っていったらユニオン内部でも10人位しかいないんでしょ!?」

「そうでもないって〜。飛行能力がある魔女なんて殆どいない訳だしさ〜。」



エリカの調子も戻ってきたところで、車は登山道に到着した。池野山の山頂、見上げると確かに奴がいる。山頂にいるドラゴンから黒い煙の様な物が出ている。


「ねえユイ。あいつから出てるのって瘴気だよね……。」

「多分私達に気付いて仲間を呼ぼうとしてる…。山頂まで急ごう!ジェットブーツ発動!!」


ユイの膝下から複数の魔法陣が出現する。魔法陣から出て来たのは、ジェットブースター付きのブーツの様なマシン!それがユイの足の代わりとなる。


「おー、久々に、ユイのジェットブーツ見たわ!いつ見てもかっこいいわー!」

「今日の私決まった?エリカはこれに乗ってきて〜。エルキス発動!!」


彼女の使い魔エルキスは、大型のエイを模した使い魔で、人を乗せて飛行する事が出来る。エリカは恐る恐るエルキスに乗った。ちなみにユイはエルキス無しでも飛行する事が可能だ。ユイとエリカは山頂へと向かった。


「さてと……。見えてきたよ!!」

「あれが、バルーンドラゴンか……。今にも破裂しそうなんだけど〜〜。」

「エリカ!奴は氷属性の魔法が有効らしいからさっさとやっちゃいなYO!!」

「う、うん!わかっ……ってユイ!下!下!」


下から、何かが飛んできている。


「あれは……。まずい、飛竜だ!かなりの数だよ!!」

「あの大きさだとB級かな?ユイ!!あんたの使い魔の下に隠れて!まとめて撃ち落とすよ!!」


エリカは、エルキスの上で念じ始める。エリカの周りに複数の魔法陣が現れ始めた。そして、魔法陣はあっという間に辺り一面埋め尽くす数となった。


「何この魔法陣の数!エリカ!どうすんの??」

「あいつらに氷柱の雨を降らせてやる!召喚魔法アイシクルレイ!!」


魔法陣から大量の氷柱が降り出した。それは下から昇ってきた飛竜を次々と撃墜していった。彼女が使用した魔法は無から氷を召喚する魔法で難易度が高い術式である。


「あんたの魔法、相変わらずエグいね〜〜。」

「さて、邪魔者もいなくなったしアイツを倒しに行くよ!!」

「いいね〜。乗ってきたじゃん!!」


二人は、バルーンドラゴンの近くまで移動した。するとバルーンドラゴンの周りに魔法陣が出現しだした。


「あいつ、何か打ってくるよ!エルキス!シールドを張りなさい!、」


バルーンドラゴンから強烈な風が吹き始めた。エリカとユイはエルキスね作り出したシールドで耐え凌ぐ。


「エリカ!今のうちに魔法を!」

「わかった!アイツのからだに大穴開けてやんよ!!ブレイズボム!!!」


エリカから放たれた、冷気を帯びた球体は真っ直ぐにドラゴンへ向かっていった。ドラゴンも自らの魔法で防御を張るが、防御を突き破り着弾する。

聞いたことのない凄まじい爆音と共にドラゴンは砕け散り、それと同時に爆風がエリカ達を襲う。


「やばい、飛ばされる!!エルキス!ウェポンモードになって!!」

「え??あたし乗ってるんだけどーー!」

「着地する前に助けてあげるよ!」


慌てるエリカをよそにエルキスが光り始めた。エルキスは大型の斧に変身した。


「エルキス!爆風を掻き消すよ!エッジバスター!」


彼女は斧を大きく振り下ろした。斧からは大きな音と共に、衝撃波が現れた。ユイの斧から放たれた、衝撃波のお陰で爆風は消え去った。


「ユイーーーー!!!落ちてるーーーー!!!」


落下するエリカの姿ん見てユイが慌てて急降下した。そしてエリカを抱え込む。ギリギリ落下せずにすんだのである。


「エリカごめーん!」

「ちょっと!!死んだらどうすんのよ!」

「でも、無事に任務完了出来て良かったじゃん!」

「いやいや、あたしまた漏らすとこだったよ!」



無事?に任務を終えた二人は喧嘩しつつも、支部へと帰っていった。今回バルーンドラゴンと山に潜んでいた飛竜含め退治した事で、付近のエリアは平和を手に入れたのだった。


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